シンガポールの最強パスポートが世界を席巻!経済的自由と格差の拡大を探る
シンガポールのパスポートが、5年連続首位だった日本に代わって、2023年の世界最強となりました。
ロンドンを拠点とするコンサルティング会社が国際航空運送協会 (IATA)のデータを基に作成した「ヘンリー・パスポート・インデックス」による最新番付が発表され、シンガポールのパスポートが1位にランクインされました。
今回の記事では、この「最強パスポート」に意義について解説します。
シンガポールの最強パスポートが世界を席巻!経済的自由と格差の拡大を探る
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年 9月8日
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世界192都市
発表されたランキングでは、現在、シンガポールのパスポートは、世界227都市中192都市にビザなしで訪れることができるということです。
5年間トップだった日本は189都市で、3位にランクインされています。
シンガポールは、過去の10年間で5ランク上げてトップに立ち、新たに25の都市にビザなしで渡航できるようになりました。
パスポート保有率は半数
人口 580 万人強のシンガポールでは、約280 万枚以上のパスポートが流通しています。すなわち、国民の約半数がパスポートを保有していることになります。
隣国マレーシアやインドネシアとは近距離にあり、域内での行き来が一般的であるシンガポールでは、パスポートの保有は欠くことのできない生活条件となっています。
ただ、コロナ禍の影響により2020年に発行したパスポートはわずか32万709件で、2006年以来最低数を記録しています。
一方、5年連続で世界最強のパスポートであった日本では、2022年には保有率は17%に低下しています。コロナ禍の影響で2020年、2021年とパスポートの発行数が激減したことが影響しています。
残念ながら「世界最強で、実態は世界最弱」とよく言われる表現は、日本のパスポートの現状を如実に示しています。
経済的自由の享受
強いパスポートは、単に「移動の自由を保障している」というだけでなく、国際投資やビジネス面で経済的自由という大きなチャンスを与えてくれます。
特に、地政学が政治経済に大きく影響を及ぼし、世界中で地域情勢の不安定さが増すばかりの現代では、強いパスポートの価値はさらに高まっていくでしょう。
格差の拡大
2023年以降は、人々が仕事や教育、レジャーのために国境を越えて自由に移動できた、コロナ禍以前の世界に急速に戻っていくことが予想されます。
これにより世界的な移動格差は拡大していきます。事実、最強のパスポートを持つシンガポールと、最下位のアフガニスタンでは、ビザなしでアクセスできる都市の差は実に165都市にのぼり、この差は、旅行のみならず、経済などの多くの面で大きな格差を生んでいくでしょう。 世界最大の人口となったインドは、ビザなしでアクセスできる国はわずか57カ所にとどまり、ランキングも80位と下位に位置しています。やはり、経済的に飛びぬけていけない理由は、パスポートの弱さが移動や経済活動の足かせとなっているところにあるかと思います。
経済損失はカバーし難い
「パスポートが弱い」ということは、移動や旅行のみならず、経済成長を阻害し、成長に対する野心をも抑圧し、制限してしまいます。それは、非常に長期にわたり経済損失をもたらし、回復し難い差となってしまうのでしょう。
最強に近いパスポートをもつことができる日本人やシンガポール人は、かなり恵まれているということを実感しています。