世界のお風呂事情:オーストリア・ウィーン編

オーストリア

オーストリアはEU及びシェンゲン圏でありながら、日墺間で二カ国協定が締結されているため、ノービザで180日滞在可能(他国は90日)な国です。また、永世中立国の筆頭に上がりがちなスイスに比べて物価が安い(日本とほぼ同じ)ので、実は日本人にとって長期滞在旅行がしやすい国となっております。ただヨーロッパでの長期滞在で気になることといえば、やはり湿度と温度の低さから来る肌の乾燥と寒さから来る関節の痛み。。。そこで今回はオーストリア・ウィーンのお風呂事情を紹介していきたいと思います。

世界のお風呂事情:オーストリア・ウィーン編

   著者:フィリピンgramフェロー フェルスマン伊緒奈
公開日:2023年 9月4日

オーストリア人は浴槽があっても浸からない?

オーストリア人はせっかく湯船のある物件に住んでいるのに浴槽の栓が無くてお湯をためられなかったり、浴槽をただの物置きにしてシャワーしか使わなかったりと、

「お湯を張って浸かる」

という用途に使う人をあまり見かけません。それどころか浴室と普通の居住空間に段差や扉のない家もあるので、もしどうしてもそういったタイプの浴槽に湯を張りたい場合は、絶対にあふれない量のみ湯張りをするか、床にビニールシートやタイルを敷くかして対策してください。  

ショールームにあったサンプル浴槽にも、栓の無いタイプがいくつかありました。もし借りたアパートの浴槽に栓がない場合はAmazon、あるいはお近くのBaumarkt (日本でいうホームセンター)でお買い求めください。

オーストリアの浴室メーカー

オーストリアの浴室メーカーであるHOLTER(ホルター)社は、会社自体は1873年に金物店としてスタートしましたが、水回りの衛生用品を手掛けだしたのはそこから75年後の1948年、サウナの販売開始は1961年と、だいぶ後にはじまった事業です。モデルルームはウィーン17区に1件、22区に1件、リンツに1件の計3件あります。

Oase Bad
ウィーン市内に7件、市外に2件ショールームがあります。21区のショールームには浴槽に栓のついていないタイプがまだたくさんありましたが、浴槽のふちに枕のついたタイプが2台、浴槽に橋渡しして使うタイプのミニテーブルがついたタイプが3台ほど展示されていました。浴槽でリラックスするという意識がオーストリアでも広がってきたのでしょうか。

中でも筆者が特に注目したのはMagic Bad(マジックバード)というタイプの浴槽です。

(公式HP:Magic Bad https://www.magicbad.com/

こちらの浴槽には密閉式の扉がついていて、浴槽への出入りの際の転倒事故が起きにくいことと、密閉式の扉だから浴槽に湯張りしても漏れないこととで、日本のシニア向けの住宅に導入すると介護者も高齢者ご本人様も入浴が格段に楽に安全に行えそうな印象でした。

密閉式の扉があって安全に出入りができ、かつ枕とテーブルでリラックスできそうなとても優れたデザインの浴槽です。

オーストリア国内では、2022年に浴室メーカー業界全体の従来型浴槽は合計 111,600 台、ジャグジー浴槽は 3,000台の売り上げがありました。

売り上げ全体の40%弱ものジャグジー浴槽が売れていたので、今までだとオーストリア人にとって身体を温める=サウナ、浴槽=シャワーの水ハネを防ぐもの、という認識だったのが、もしかしたら徐々に変わってきているのかもしれません。

単独女性にも安心の男女別公営サウナ

ヨーロッパ圏のサウナに行きたいけど二の足を踏んでしまう理由として

「男女混浴で全裸入浴の施設が多い」

という点を挙げる方は多いかと思われます。確かに会員制フィットネススタジオでも民間の健康ランドでも、男女混浴全裸の施設がほとんどです。

ウィーン市内では公営サウナの数は多いのですが、今のところ男女別なのが確認できているのは2件だけなので、本日はそのうちの1件を紹介します。

(参考:Jörgerbad – Kombibad der Stadt Wien – Öffnungszeiten, Eintrittspreise, Angebote
https://www.wien.gv.at/freizeit/baeder/uebersicht/hallenbaeder/joergerbad.html

ウィーン17区にある公営プール&サウナのJörgerbad(ヨーガーバード)です。

こちらの施設、HPには入場料7ユーロとありますが、これはプールのみの入場料で、サウナ+プールの場合は15.3ユーロになります。プールを使わずサウナのみの利用でも料金は15.3ユーロになりますのでご注意ください。

利用料金
プール7ユーロ
プール+サウナ15.3ユーロ
サウナ15.3ユーロ
2023年9月時点での利用料金

サウナエリアは全裸、プールは水着着用なので、泳ぎたい方は水着持参でお願いします。

受付でお金を払ったあとは階段を上がって女性の方はDAMENと書いてある方に、男性の方はHERRENと書いてある方に進んでください。

ロッカールームにはドライヤーはありませんので、ロングヘアの方は濡れないようにするか、帽子をかぶるなどして、帰り道の湯冷めにご注意ください。

バイオサウナは55℃、フィンランド式サウナは92℃です。フィンランド式サウナは一定時間ごとにオートロウリュウがあります。オートロウリュウの前にベルが鳴って、スタッフさんがアロマ水を手動で撒きにきます。そのあと『Nicht öffnen(開放禁止)』のランプがついてオートロウリュウが始まります。オートロウリュウが終わるまで出入場できないのでベルが鳴ったら水飲み場で水分補給してからロウリュウのスタート待ちをしたほうがいいでしょう。

サウナの外に水風呂と浴槽がありますが、浴槽のお湯はかなりのぬるま湯です(温度計が無いので正確な温度はわかりません)。

また、金曜日だけですが個室で浴槽の利用ができます。

こちらが入口です。この日はお休みでした。

「たとえ女性同士でも全裸に抵抗がある」
「小さい子供が居るので公衆サウナはまだ難しいけどどうしても身体を暖めたい」

という場合に利用すると良いでしょう。

まとめ

海外在住日本人の生命線であると同時に、長旅で疲れた日本人観光客の中休みにもあると嬉しいもの、それが風呂です。風呂にリラックスや瞑想に近い癒しを求めるのが日本人の気質というものなのです。

今回の現地調査で最も注目したのは密閉式扉付の浴槽Magic Bad(マジックバード)です。日本の浴槽メーカーではまだ見かけたことのないタイプの浴槽だったので、ぜひとも日本でも販売してほしいと思いました。

このタイプの浴槽は、介護施設のスタッフが安全な入浴介助を行えたり、また高齢者ご本人様自身で入浴が行えるようになったりと、シニア世代だけでなく介助者にとってもQOLの向上に役立ちそうです。介護業界やシニア向け住宅業界の皆さんにとって新しいビジネスチャンスになるかもしれません。

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