【越境EC 第8回】大きな成長が期待される観光大国『マレーシア』 その越境ECのポテンシャルについて徹底解説!
第5回ではシンガポールの越境EC事情について解説しましたが、お隣のマレーシアも大きな成長のポテンシャルを秘めている国の一つです。その背景には、高いインターネット普及率と、それに伴うソーシャルネットワークの拡大があります。
日本人の旅行先として大人気であり、親日国として有名なマレーシアのEC市場がどうなっているのか、今後どのようになっていくのかといったことまで解説させて頂きますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【越境EC 第8回】大きな成長が期待される観光大国『マレーシア』、その越境ECのポテンシャルについて徹底解説!
マレーシア概要とEC事情
~人口とインターネット事情~
マレーシアはマレー系、中華系、インド系と主に三つの人種から構成される東南アジアの人気の観光立国です。
人口は約3200万人であり、そのうちの約2700万人がインターネットを使用しており、人口に対するインターネット普及率は83%と非常に高いのが特徴です。ソーシャルメディアの使用率もインターネットユーザーの割合とほとんど変わらない点ことからも、マレーシアに住むインターネットユーザーのほとんどがソーシャルメディアを使用していることがわかります。
ソース:
https://datareportal.com/reports/digital-2020-malaysia
~マレーシアのEC市場規模~
ドイツのオンライン市場調査・統計会社のStatistaによると、マレーシアのEコマースの市場収益は2021年に55億4000万ドルに達すると予測され、2021~2025年の年間成長率は15・0%と予測されています(2020年6月時点推計)。
シンガポールに本社を置き、クラウドサービスやEコマースプラットフォームを提供しているソフトフェア製品会社のCapillaryの記事によると、マレーシアのEコマース市場は「Nascent(初期、初めのという意)段階」であり、今後数年で、中国やインドといった大国と同じ、成長率20~25%の「Growth(成長、拡大という意)段階」にまで成長すると言われています。
インドのEC市場同様、多方面からのマレーシア市場に対する予測や、新型コロナウィルスによるEC市場の拡大からも、今後のマレーシアのEC市場は今後数年で確実に伸びていくと予測されており、引き続き注視が必要でしょう。
ソース: https://www.capillarytech.com/blog/capillary/ecommerce/ecommerce-in-malaysia-growth/
また、JPモルガンの調査によると、マレーシアの主要なオンラインショッピングカテゴリは下記の通りです。
マレーシア人は国境を超えた支出が多く、その比率はマレーシアのすべての電子商取引の10分の4を占めています。マレーシア人の海外からの購入において、日本からの購入は中国、シンガポールに次いで世界3位となっています。
マレーシアの買い物客が頻繁に越境ECを活用していることも、今後のEコマース市場の拡大の一要因として挙げられています。
ソース:
https://www.jpmorgan.com/europe/merchant-services/insights/reports/malaysia
越境EC主要プレーヤーの紹介
1.Lazada(ラザダ)
Lazadaは、シンガポールに拠点を置き、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシアにも展開する東南アジア全土でのEコマースの主要プレーヤーです。2011年ドイツのロケットインターネット社によって創設され、2016年にアリババグループの傘下に入りました。
扱っている商品は、携帯、家電から、おもちゃ、美容、食品と他のECサイトに負けない品揃えがあり、「東南アジアのAmazon」と呼ばれています。
ソース:
https://www.lazada.com.my/
2.Shopee(ショッピー)
Shopeeは、2015年にシンガポールで事業を開始し、2017年にはNASDAQ株式上場を果たし、中国の大手IT企業であるテンセント社が株式の39.7%を保有しています。マレーシアでは第二位の地位を確立しており、Lazadaのライバル企業と言えるでしょう。
Shopeeは売り手に手数料無料、買い手に送料無料サービスを展開しており、サービスの差別化を図っています。
ソース:
https://shopee.com.my/
3.Lelong(レローン)
1998年にマレーシアで創業された老舗マーケットプレイス型ECサイトであるLelongは、消費者間取引(BtoC)と企業間取引(CtoC)ビジネスを展開してきました。7,000以上の企業が出店しており、多くのカテゴリの商品を取り扱っており、マレーシア国民に信頼されている地場企業です。
ソース:https://www.lelong.com.my/
東南アジア:コロナウィルスによるEC市場の拡大
日本ネット経済新聞の記事によると、マレーシアを含む東南アジアのEC市場がコロナ禍で急拡大しています。Facebookは、2020年末までに東南アジア6か国のEC利用者数が従来の予想をはるかに上回る3億1000万人に到達するという見込みを発表し、東南アジアに展開するEC企業からも売り上げの大幅な拡大に成功したという声が多くあがっています。
これらの流れに伴い、アリババグループは、日本企業が東南アジア最大のECモール「Lazada(ラザダ)」へ越境EC進出する取り組みを支援するサービスを開始しました。商品をアリババの国内拠点に送るだけで現地に配送できるようになったことは、今後の日本企業のビジネスの幅が東南アジアまで拡がるチャンスが大きくあると言えそうです。
ソース: https://www.bci.co.jp/netkeizai/article/7850
むすびに
いかがでしたでしょうか。
マレーシアEC市場には、インドに似た市場成長性を感じるものがあり、その今後には非常に期待できそうです。市場が急激に成長する時期に入れば、シンガポールよりも魅力的な国になるかもしれません。日本との友好関係も深い親日国であるマレーシアは、EC市場に参入しやすい国の一つと言えるでしょう。