【越境EC 第9回】大の親日国『台湾』におけるEC市場を徹底的に解説!

越境EC

EC事業が盛んになっている中華圏。
これまで、中国本土と香港のEC事情をご紹介してまいりました。

【第3回】中国大陸におけるEC市場を徹底的に解説!(その1)
【第4回】主要プレイヤーや主要なセールイベントは?中国大陸におけるEC市場を徹底的に解説!(その2)
【第6回】香港の越境ECのポテンシャルについて解説!

大の親日国と言われる台湾のEC市場も無視することはできません。

台湾はインターネットの利用率やスマートフォンの所持率が高い状態にあります。また、楽天が2008年に初めて海外でEC展開を行った地域として、台湾のネットショッピングは早い段階から注目されており、利用率も年々右肩上がりで成長しています。2020年からは新型コロナウィルス感染症(以下コロナ)の影響で、30代以上の消費者によるネットショッピングの利用が拡大しています。

以上の背景を踏まえて、今回は台湾におけるEC業界を掘り下げていきます。

コロナ禍における必勝策 市場拡大中 いま話題の「越境EC」を特集! 地域概要情報 台湾(Taiwan)

【越境EC 第9回】大の親日国『台湾』におけるEC市場を徹底的に解説!

台湾のEC事情

台湾のインターネット(以下にネット)利用率は高く、ネットショッピングの利用率も中華圏では高い方です。財団法人台湾ネットワークインフォメーションセンター(Taiwan Network Information Center, TWNIC)が発表した「2020年台灣網路(ネット)報告」によると、ネット利用者の60%近くはネットショッピングを利用しています。また、2018年から、ネットショッピング利用率は3年連続で全体の半分を超えています。そのうち25~39歳の利用率が最も高く、全体の74.7%を占めています。55歳以上のネット利用者でも、その31%がネットで買い物をするほど、Eコマースが台湾社会に浸透しています。

台湾経済部統計処のデータによると、小売業におけるオンライン取引の割合は2017年から年々増加し、2020年の第2四半期では全体の8.9%を占めています(図1参照)。さらに、小売業のオンライン取引額は2017年から右肩上がりで、2019年には2,873億台湾元(約1.08兆円)に達し、2020年には前年度より17.5%増加する見込みです(図2参照)。


【図1】2017~2020年上期小売業におけるオンライン取引の割合

【図2】2017~2020年上期小売業のオンライン取引額及び成長率

また、経済部の通信販売(ラジオ・電話・テレビ・ネット等を利用した無実店舗販売)に関する調査によると、通信販売の取引額は2011年から8年間右肩上がりとなり、そのうちネットを介した販売の割合が最も高く、全体の76.2%を占めています(図3参照)。


【図3】2011~2019年上期通信販売の取引額および成長率

以上の調査データから、近年の台湾小売業では、販売における実店舗の有無にかかわらず、ネットを介する取引の割合、つまりECの利用が増加していることが明らかです。ECが多く利用される反面、「値引き競争が激しく、粗利益が低い」ことが経営上主な難点で、「需要の複雑化」なども困難なポイントとして調査結果に挙がっています。

ソース:
https://report.twnic.tw/2020/
https://www.moea.gov.tw/MNS/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=7590
https://www.moea.gov.tw/MNS/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=6182

コロナ時代における台湾EC

2020年の台湾におけるEC産業は成長期にあり、小売業全体の売上においてオンラインが占める比率は11%と、アメリカや韓国の20%以上と比べるとまだ劣っています。しかしコロナの影響により、台湾消費者のオンラインショッピングの需要が多くなり、各ECサイトもこの波に乗り、自社の経営方針を転換しました。

台湾EC市場において押さえておくべきポイントは下記3つです。

(1)需要の多様化
経済部の調査によると、2020年上半期にコロナの影響によって、小売業のオンライン取引額は2019年に比べ17.5%増加したのに対し、実店舗における取引額は5.4%減少しました。さらに、全体の38.2%の小売業者がオンライン販売に対応し、コロナによる売り上げの落ち込みを補填しました。それに対して、オンライン販売に対応していない業者の取引額は5.4%減少しました。
なお、自粛による外出・外食の減少から、ネットで食品を購入する需要も増えています。イギリスの調査会社Kantarの調査によると、ポストコロナ時代において、オンラインにおける売上成長率が最も高いのは食品で、そのうち冷凍食品の成長が著しいです。
餌などのペット用品の販売数も増加をみせています。

(2)SNSの参入
Kantar同調査では、日用消費財の購入において増加するEC取引をソース別で「SNSから購入」「オンラインのみのECサイトで購入」と「実店舗のECサイトから購入」という三つに分けています。2020年上半期の台湾でのオンライン取引において、LINEやFacebookなどのSNSからの取引の成長率が最も高いです。また、日用消費財を購入するのに利用するオンライン手段ランキングでは、ECサイト以外に二つのSNS:FacebookとLINEがTOP5に入っています。
SNSを経由する「社群電商」(コミュニティEC)は台湾のコロナ禍で最も速い成長を遂げたECモデルです。SNSを経由したECは消費者のプラットフォームに対する信頼よりも「人間関係」を重視します。Facebookユーザーはインフルエンサーのおすすめで商品を購入、もしくはほかのユーザーと一緒にインフルエンサーが発起した集団購入に参加します。それに対してLINEユーザーは、LINEグループで友人と商品をシェアしたり、他人を誘って集団購入したりすることが多いです。
以上の結果から、SNSがコロナ時代にEC業界に参入し、重要な役割を担っていることが分かります。

(3)ECサイトの新戦略
各ECサイトもECの盛り上がりを機に、ブランドに自社サイトへ出店してもらい、新しい領域に展開しています。例を挙げると、電気製品やPC周辺機器に強いECサイトPChomeは、コスメの小売り企業ワトソンズに出店してもらい、コスメ出品を多様化させ、女性ユーザーの獲得を狙いました。女性ユーザーの多いECサイトMomoも2020年にRoots、NBAなど男性にも人気のあるブランドの店舗を増やしました。
また、従来他社にアウトソースしてきた物流に関して、台湾の大手EC企業は自社で物流システムを構築するケースが見られます。例えば、PChomeは自社用の物流会社を立ち上げ、一方Momoは自社配送車の規模を拡大しています。

以上のように、台湾のECサイトはコロナによるEC市場拡大を機に、各自の市場シェアを拡大し、システムを拡充した上でユーザーを確保しています。

ソース:
https://www.moea.gov.tw/MNS/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=7590
https://www.cna.com.tw/postwrite/Detail/283820.aspx#.YDiwHWj7TIV
https://www.kantarworldpanel.com/tw/news/20200917-2020Q2-RETAILER-CRP

EC主要プレーヤー

データサイトSimilarwebは、台湾で自粛が始まる2020年4月に、アクセス数トップ10のECサイトをまとめています(図4参照)。
今回はそこからトップ3のサイトをご紹介します。


【図4】2020年4月台湾ECサイトアクセス数TOP10
ソース: https://jtg.capsuleinc.co/blog/taiwan-ec

1.Shopee(蝦皮購物)https://shopee.tw/ )(CtoC・BtoC)

Shopeeはシンガポールに本社を置くECプラットフォームで、2015年にSeaグループにより設立されました。同年に台湾に進出し、台湾市場で勢いよくシェアを伸ばし、若い世代には大人気です。
Shopeeはスマホアプリを中心として展開し、個人の出品、物流と決済サポートが統合されたCtoCプラットフォームから始まり、その後競合と対抗するためウェブサイトを立ち上げました。最初はヤフオクのようなイメージでCtoCのみ展開し、「蝦皮拍賣」(Shopeeオークション)という名前を使っていました。2017年には「蝦皮商城」(Shopeeモール)というBtoCサービスを開始し、「蝦皮購物」(Shopeeショッピング)という名前に変更しました。それからは24時間内配達サービスを売りとする「蝦皮24h」や、ライブコマースのできる「Shopee LIVE」を開始し、総合的なショッピングサイトに進化しました。
個人から企業までが出品でき、新品から中古品が幅広く販売されている特徴から、「ほかのサイトで売っていなかったからShopeeで探そう」という目的で利用している人が多いです。しかし、個人販売や海外からの出品もできることにより、時々偽物がサイト上に出回ったりするようなトラブルもあります。
同サイトで「日本」と検索してみました。人気順で並べると、上位にあるのは日本のブランドではなく、台湾工場直送のジェルボール(洗剤)です。また、日本製のチャオチュール(ペットフード)や、浅草寺の銭亀お守りを代行購入する出品もかなり人気です。前回ご紹介した香港のECサイトのように、日用品が比較的人気ですが、CtoC・BtoC併行というビジネスモデルにより、日本製商品と「日本」をウリとする商品が混在し、BtoCメインのサイトのような正規品保証はされていません。

2.PChome Onlinehttps://www.pchome.com.tw/ )(BtoC)

台湾最大のBtoC型ECプラットフォームを運営する会社で、「台湾のアマゾン」といっても過言ではありません。BtoC型の「PChome線上購物」(PChomeオンラインショッピング)、モール型の「PChome商店街」など、複数形態のECサイトを展開しています。そのほか、傘下に海外103カ国・地域向けに台湾の商品を販売する「PChome全球購物」もあれば、日本とアメリカをメインとする、海外のECサイト・オークションサイトの代行購入サービスを行うサイトもあります。
上記のECサイトの中で最も古いのは、2000年に設立された「PChome線上購物」(https://shopping.pchome.com.tw/ )です。自社倉庫配送で24時間内配達保証の「PChome24h購物」と出店し配送をカバーしており、アマゾンと似たようなビジネスモデルを取っています。
このサイトで「日本」と検索し、販売数が表示されないため関連度の高い順で並べてみました。上位にあるのは空気清浄機や掃除機などのような、日本製家電製品です。前述したPChomeの「電気製品やPCの周辺機器に強い」特徴に合った結果です。また、日本関係の商品ページでは、日本語の商品紹介やチラシをそのまま使うことが多く見られます。日本製品の台湾における認知度の高さが分かります。

3.momo購物網https://www.momoshop.com.tw/main/M ain.jsp )(BtoC)

台湾の大手金融グループ富邦グループ傘下のECサイト。2005年にテレビショッピングチャンネルである「momo購物台」の放送を始め、その4か月後にチャンネルの商品をオンラインで購入できるサイト「momo購物網」が誕生しました。テレビショッピングから生まれたため、「momo購物網」はセレクトショップのビジネスモデルで運営しており、非正規品が出回る可能性が低い特長があります。前述したように、「momo購物網」は25~39歳の女性をメインターゲットとし、ファッションやコスメなど女性向けの商品を多く取り扱っています。近年は新規ユーザーを獲得し、市場シェアを拡張するために、スマホ・PC周辺製品やスポーツ用品の取り扱いを増やしています。多くの日本家電ブランドやコスメブランドもサイトに出店、もしくは代理店を通して出品しています。
「momo購物網」以外に、富邦グループは2014年にもう一つのBtoC  ECサイト「momo摩天商城」(https://www.momomall.com.tw/main/Main.jsp )を運営し始めました。モール型のサイトで、法人が自由に出店することが可能のため、商品種類が豊富な一方、商品が正規品であるとは限りません。

「momo購物網」で「日本」と検索すると、合計878点の結果しかなく(2021年2月19日調べ)、日本旅行に関するトラベルブックがほとんどです。日本ブランドの商品は多くありますが、「日本」というキーワードを使っていないからです。これで、日本製品が台湾においてかなり浸透していることが分かります。ちなみに「momo摩天商城」で「日本」と検索してみると、4万点以上の結果があります。人気順で上位にある商品はチャオチュールやジェルボールと、Shopeeでの検索結果に似ています。

台湾楽天市場https://www.rakuten.com.tw/)(BtoC)

上位三位には入りませんが、日系ECサイトの楽天市場が台湾においても展開しているため、ここでご紹介します。

台湾楽天市場は日本楽天市場と連動したサービスではなく、完全に独立した台湾境内限定のECサイトです。しかし楽天には「海外パートナー旗艦店」という、日本のブランド・メーカーから商品を買い取り、海外のECサイトに出店し商品を販売するサービスがあります。現在は、台湾楽天市場にも「日本楽天旗艦店」という形で出店しています。

台湾楽天市場は日本楽天市場で販売されている商品の代行購入サービスも行っています。そのため日本楽天市場で出品している店舗は、台湾ドルでの決済に対応していなくても、商品が台湾に販売されるチャンスがあります。

むすびに

前文で述べたように、台湾におけるECは近年幅広く展開し、またコロナを機に各世代に浸透しています。台湾において日本製品の認知度は高く、日本企業が進出しやすい環境ができている一方、台湾の消費者も日頃から日本製品を利用しており、目が肥えています。よって、日本企業が台湾に進出する際には、ユニークさよりも品質やサービスを重視するべきです。

なお、ここまでご紹介したECサイトのなかで、ShopeeとPChomeには海外から出品・出店が可能ですが、momoは台湾ドルでの決済のみの対応となるため、台湾現地の法人登記がなければ出店不可です。また、楽天の「海外パートナー旗艦店」サービスを利用し、台湾楽天市場に出品するのも一つの選択肢です。

ソース:
https://www.bnext.com.tw/article/58739/community-social-commerce-kol https://www.top10.com.tw/life/938/top-10-online-shopping-website/
https://jtg.capsuleinc.co/blog/taiwan-ec
https://netshop.impress.co.jp/node/7225
https://www.cw.com.tw/article/5099711?template=transformers
https://www.managertoday.com.tw/articles/view/60501
https://ecnomikata.com/original_news/24591/

コロナ禍における必勝策 市場拡大中 いま話題の「越境EC」を特集! 地域概要情報 台湾(Taiwan)

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