米オラクル、マレーシアにクラウド拠点開設へ

マレーシア

ソフトウエアメーカーの米オラクルは、マレーシアに65億ドル(約9400億円)を投じて、同国で初めて、アジアで3つ目のクラウドサービスセンターを建設する計画を発表しました。
世界的なテクノロジー企業の間で、東南アジア、特にマレーシアへの人工知能(AI)インフラへの大型投資が相次いでいます。
そこで今回は、前回の記事「アンワル首相 国家クラウド政策を策定」に続いて、マレーシアのデジタル経済の成長について解説します。

米オラクル、マレーシアにクラウド拠点開設へ

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年1月23日

世界有数のテクノロジー企業

オラクルは1977年に設立され、カリフォルニアに拠点を置いている世界有数のテクノロジー企業で、世界最大のシェアを占めています。
世界中で約136,000人の従業員を雇用していて、競争力を維持するためソフトウエアソリューションの提供から、クラウドプロバイダーサービスへとシフトしています。


すでに約30年間マレーシアで事業を展開していて、同社の目標を達成するためにマレーシアにデジタルハブを設立することが決定しました。

国際競争力の強化

マレーシアにクラウドサービスセンターを設立するというオラクル社の決定は、2030年までに「3,000のスマートファクトリーを創設する」というマレーシアのビジョンの実現に向けても、非常に重要な一歩でもあります。

マレーシアのアジズ投資貿易産業大臣は「この投資により、マレーシアの企業、特に中小企業は、革新的で最先端のAIとクラウドテクノロジーを活用して、国際競争力を高めることができる」と歓迎しています。さらに「デジタル投資の東南アジアの主要目的地として、マレーシアの地位が高まっている」ことを強調しています。

相次ぐ巨星の投資

近年マレーシアへの世界的なテクノロジー企業の大型投資が相次いでいます。

最近の進出例を紹介します。

1、Amazon Web Services (AWS)
2021年、AWSはマレーシアに新しいインフラ施設を開設することを発表しています。マレーシア政府や地元企業との提携を通じて、クラウド技術の普及を加速させる計画です。

2、Microsoft
2021年、Microsoftはマレーシアにクラウドリージョンを設置する計画を発表しました。このプロジェクトは政府の政策の一環としてデジタルエコノミーを強化するために展開されました。Microsoftはこのプロジェクトを通じてデジタルスキル教育を推進しています。

3、Google Cloud
Googleもまた、2020年にマレーシアでの事業拡大を発表しました。データセンターやクラウドサービスを通じてマレーシア企業のデジタル化をサポートしていきます。

4、NVIDIA
時価総額で世界1位になったNVIDIAも、マレーシアへの巨額な投資を発表しており、アジアの半導体ハブを目指すマレーシアの取り組みをサポートします。

マレーシアが人気の理由

1、地理的優位性
マレーシアは東南アジアの中心に位置し、シンガポールやタイなどの周辺国へのアクセスが良好です。企業にとって戦略的なハブとしての価値があります。

2、コスト競争力
先進国である隣国シンガポールと比較して、労働力やビジネス運営コストが相対的に低いため、多くの企業がマレーシアに進出しています。クアラルンプールなどの都市部ではビジネスインフラが整っているため、技術系企業がコスト効率良く事業を展開できる環境があります。

3、人材
歴史的・地理的に多言語対応力があり、英語が広く話されていることから、国際企業にとってコミュニケーションがしやすい環境です。教育水準も高く、特にテクノロジーやエンジニアリングの分野で優秀な人材を確保できます。

優位性を生かせるか

マレーシアのデジタル経済は今後も成長が見込まれています。

中国の「一帯一路」構想にも参加しており、これも今後のデジタルインフラやテクノロジー分野の発展に寄与すると期待されています。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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