2大会連続出場を逃した優勝経験国イタリア。国内のW杯への反応は?

イタリア

イタリアはワールドカップ4度の優勝を誇る、出場常連国である。しかし2022年カタールワールドカップ予選で北マケドニア代表に破れ敗退。国民の期待を裏切ることとなってしまった。
実は4年前の2018年ロシアワールドカップでもイタリアは出場を逃している。それにも関わらず、イタリア公共放送チャンネルでは一日中ワールドカップの試合を放送し、SNSでも常に話題になっていたりする。日頃からサッカーが身近にある国民にとって、自国のチームがいないワールドカップはどのようなものなのだろうか。今回はカタールワールドカップに対するイタリア人の反応について紹介する。

2大会連続出場を逃したイタリア。W杯の反応はどうか

著者:イタリアgram fellow たなかさき
公開日:2022年12月12日

屈辱の2大会連続予選敗退

出典:ガッゼッタデロスポルト https://www.gazzetta.it/Calcio/Nazionale/24-03-2022/disastro-italia-azzurri-fuori-mondiali-vince-macedonia-nord-4302007867123.shtml

イタリアは2018年のロシアワールドカップへの出場権を逃した。大会出場を逃すのは1958年大会予選以来、60年ぶりのことだった。一方で2020年に行われた欧州選手権(ユーロ2020)では優勝を果たし、ワールドカップ予選敗退のリベンジを成し遂げた。その9ヶ月後、意を決して臨んだ今年のカタールワールドカップ予選だったが、北マケドニア代表に0-1で破れまたしても出場権を得られなかった。ワールドカップ4度の優勝を誇る伝統国が予選敗退となった衝撃は大きく、様々なメディアで大きく報道されている。
イタリアの日刊新聞ラ・レップブリカは、「この信じられないような敗退は、イタリアの112年の歴史の中で最悪の出来事であることは間違いない」と綴っている。スポーツ新聞ガッゼッタデロスポルトでは、「さようならワールドカップ、さようなら欧州選手権、全部まとめてさようなら」と絶望感を露わにした。また経済的な打撃も大きい。

カタール大会は、賞金総額は史上最高額

​​ ​​今大会の賞金総額は史上最高額の 4億4000万ドル(約616億円)。優勝国は4200万ドル(約58億8000万円)準優勝国が3000万ドル(約42億円)、3位が2700万ドル(約37億8000万円)4位が2500万ドル(35億円)となっている。また8強が1700万ドル(約23億8000万円)、16強が1300万ドル(18億2000万円)で、1次リーグで敗退した場合も、900万ドル(12億6000万円)の賞金を得る。

4度の優勝経験があるイタリアなら十分優勝を狙うことができただろう。
ある調査では、ロシア行きを逃したイタリアの来年度国内総生産は、150億ユーロ(約1兆9950億円)の大型経済損失を被るという試算が出ている。

今大会は史上最高額だったため、イタリア代表予選敗退の経済損失はロシアワールドカップの時より大きいことは間違いない。

引用:日刊スポーツ https://www.nikkansports.com/soccer/qatar2022/news/202211200001162.html
引用:Number Web https://number.bunshun.jp/articles/-/829410?page=2

イタリア抜きのワールドカップだが国民の注目度は高い

イタリアサッカー専門メディアのイタリアンフットボールTVは公式ツイッターで、「今回のワールドカップでイタリア人が楽しめる場面は少ない。しかしドイツが負けるのを見るのは悪くない。ありがとう日本」とツイートしている。

日本対ドイツの試合進行中、ツイッターでは#germaniagiappone(ドイツ日本) がトレンド入りした。

彼らはとてもいい見本だ。まさに百聞は一見に如かず。というコメントと共に、日本のサポーターが試合後にゴミ拾いをする光景はおなじみだ。

余談だが筆者の義母(イタリア人)もニュースで日本人サポーターがゴミ拾いをする姿を目にし、「日本人は素晴らしい!」と称賛していた。

カタールワールドカップはイタリア公共放送Rai(日本のNHKのようなもの)が全試合を独占放送している。文字通り朝から晩まで全ての試合が視聴できる。11月27日のRaiニュースによると、イタリアが出場していないにも関わらず、Raiの視聴率は好調。夜の試合では視聴率25%を超え、 若年層では30%近くになった。 夜8時から放送された9試合は平均500万人の視聴者を記録し、視聴率は26.3%だった。 特に注目すべきは20歳から34歳の視聴者層で29.1%と平均を上回る結果となった。 これまでで最も注目を集めたのはアルゼンチン対メキシコ戦で、平均視聴者数は6357万人で視聴率は31.6%に達した。 日中に放送された試合でも平均視聴率は18.7%と200万人を超え、イタリア人のワールドカップに対する関心は高い。

まとめ

2大会連続予選敗退という屈辱的な歴史を残すことになったイタリアだったが、それが今大会に対する国民の関心低下にはつながっていないようだ。やはりサッカー大国イタリアだ。イタリア代表は次回のワールドカップ出場に向けてすでに動き出している。国民の期待に応えるためにも、次の出場権は何としてでも勝ち取らなければならないだろう。

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