温泉郷も!スペインのお風呂文化

お風呂事情

海外に住んでいる日本人が恋しく思うものの一つが、日本のお風呂ではないだろうか。特に寒くなってくる頃には、温かいお風呂に肩まで浸かりたいと思うのが日本人の性だろう。
ヨーロッパでは、バスタブのある家やホテルがあっても、日頃はシャワーで済ませている人が多い。とはいえシャワーだと体がなかなか温まらないため、体はきれいになっても、物足りない思いをしている海外在住の日本人も多いのではないだろうか。
実はスペインでも日本のようにお風呂を楽しむことができる場所がある。

海外のお風呂事情:スペイン

   著者:スペインgramフェロー 對馬 由佳理
公開日:2022年12月09日

西の温泉、南のハマム

スペインで日本のようなお風呂に入りたいと思ったら、行くべき地方は2ヶ所ある。一つはスペインの北西部に位置し、ポルトガルと国境を接するガリシア地方。もう一つは、フラメンコと強烈な太陽がトレードマークとなっているアンダルシア地方である。

ガリシア地方の温泉郷・オウレンセ

とにかく日本のお風呂、特に「温泉」を求めている方は、ガリシア地方へ行くことになるだろう。目指す街の名前は、オウレンセ(Ourense)。この街に流れるミーニョ川沿いに数多くの温泉があるのだ。

基本的にヨーロッパ大陸では火山活動はごく一部にしか見られない。しかし、このオーレンセは、どういうわけが温泉が湧き出ている場所なのである。

 オーレンセ市内を流れるミーニョ川沿いには数多くの温泉施設が並ぶ。中には無料で入ることができる施設もあり、地元の人々は気軽に温泉に行くことができるのだ。豪華な設備を揃えたスパを揃えたホテルも数多くあるので、そちらで温泉を満喫することもできる。

 オーレンセの温泉には1年中いつでも入浴できる。また、ガリシア地方自体はスペインの中でも北部にあり、夏でも気温はあまり上がらない地域である。そのため、夏にこのオーレンセの温泉を楽しもうと考える人もいるだろう。

 実はこのオーレンセは、ガリシア地方の中でも、いやスペインの中でも暑い街で、夏には気温が35度を超えることもしばしばある。もしも温泉を楽しむなら、春あるいは秋にオーレンセを訪れるのがおすすめだ。

 ちなみに、このオーレンセの温泉では、男女とも水着着用が必要である。

アンダルシア地方でイスラムの恩恵を楽しむ

日本の温泉と全く同じというわけにはかないが、思う存分お湯に浸かり体を温めたい人は、アンダルシアに行く選択肢もある。

  アンダルシアにはイスラムの影響を受けた建物が多く、日本でも有名なコルドバのメスキータやグラナダのアルハンブラ宮殿などがその筆頭に上がるだろう。そんなアンダルシアで見られるイスラムの置き土産の一つがハマム(Hammam)と呼ばれる入浴施設である。

 ハマムとは基本的に蒸し風呂なようなもの。室温が50度くらいに保たれた室内にある大理石の台の上で、垢すりやマッサージを受けるサービスである。スペインの場合、こうしたマッサージや垢すりに加えて大きな湯船に浸かることができる施設が多い。垢すりやマッサージ付きで大きなお風呂に入ることができるスペイン式のハマムも、お風呂が恋しい日本人には注目の施設だろう。

 ハマムを楽しむには、アンダルシアの大きめの都市、例えばグラナダ・セビーリャ・コルドバなどに行き、ホテルの中に併設されているハマムを楽しむのが最もお手軽な方法になるだろう。

 ちなみにハマムも水着が必要なので、お忘れなきように。

日本の銭湯はスペインに進出できるか?

この数年で日本に旅行するスペイン人が一気に増えた結果、日本の温泉やお風呂を経験するスペイン人も本当に多くなった。最初は人前で裸になることに抵抗を感じるスペイン人も、温泉や銭湯、日本家庭のお風呂を体験すると、「1日の終りにお風呂にはいれるのって、本当に幸せだよねぇ。」という人が多い。

 日本式の銭湯のようなものは現在のスペインではまだ見られない。しかし、日本に興味を持つ人が増え、日本の文化が少しずつスペイン人にも知られるようになっている今こそ、日本の入浴文化をスペインに広めてビジネスチャンスにかえる良い時期なのではないだろうか。

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