「創業者シリーズ」希少なコーヒー豆の栽培に挑む! My Liberica の挑戦 ②「創業者シリーズ」

マレーシア

マレーシアを代表する創業者たちを紹介する創業者シリーズ。

希少なコーヒー豆の種類である「リベリカ種」の栽培に挑戦しているジェイソン・リュー(Jason Liew)氏。シリーズ2回目は、創業後の最大の試練のコロナ禍に直面して、ジェイソン氏はどのように乗り越えてきたのかについてお伝えします。

「創業者シリーズ」希少なコーヒー豆の栽培に挑む! My Liberica の挑戦 ②「創業者シリーズ」  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年2月6日

農園ツアーを開始

マレーシアを代表する創業者たちを紹介する創業者シリーズ

現在ジェイソン氏は43種類の特別な豆やその他のコーヒー製品を生産し、カフェを運営してリベリカ種を広めながら農園ツアーを実施しています。

コロナ禍の数年前からチームを編成し、地元の学校を中心に農園ツアーの取り組みを開始しました。観光代理店と提携し消費者と業界関係者からのツアー客を積極的に受け入れ、リベリカ種の栽培の実際を丁寧に時間をかけて伝えていました。

私が農園を訪れた翌日も、バス3台の学生さんの訪問団を受け入れる準備で忙しいところ、時間を取っていただきました。

エデュケーションツアーではコーヒーの栽培過程やリベリカ豆の特性について学べる機会を提供していて、地域の観光資源としても活用され、訪問者はコーヒー作りの知識を深めるだけでなく地元の経済活性化にも貢献しています。

コロナ禍で活動がストップ

順風満帆な年月がたった後、コロナ禍という大きな問題に直面します。

マレーシアは大変厳しい外出制限(ロックダウン)を長期間にわたって行ったため、チームはツアーを続行することができなくなり、クアラルンプールにあった人気店舗も閉店することになりました。小売業に依存していた同社にとっては壊滅的な打撃となりました。

世界バリスタ選手権で好機到来

世界バリスタ選手権は、世界中のバリスタがさまざまなコーヒー豆を試し、バリスタとしての技術を競い合う大会です。

2021年、「My Libelica」コーヒーの豆を含むブレンドで、オーストラリアのバリスタであるヒュー・ケリー氏が世界バリスタ選手権で3位に輝きました。

これにより多くの世界的なバリスタが、典型的なアラビカ種やロブスタ種ではない、ユニークなリベリカ種に注目するようになり、競技レベルの豆の注文がくるようになりました。

スペシャリティコーヒー

最近日本でもスペシャリティコーヒーの店が増えています。スペシャリティコーヒーとは、品質が非常に高いと認定されたコーヒーのことを指します。具体的にはアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)の定めた基準に基づき、「栽培環境」や「チェリーの収穫方法」などの4つの要素で100点満点中80点以上を獲得したものが「スペシャリティコーヒー」として認定されています。

スペシャリティコーヒーの隆盛

スペシャリティコーヒーが人気を博した背景にはいくつかの要因がありますが、コーヒー文化は長年にわたり進化しており、特に第三波コーヒームーブメント(Third Wave Coffee)がスペシャリティコーヒーの普及を牽引しました。このムーブメントでは、コーヒーを単なる飲み物ではなく「一杯ごとの芸術作品」として捉え、産地や農家のストーリーに重点を置くようになりました。

また消費者の嗜好が変化し、より高品質で個性的な風味を求めるようになり、ワインやチョコレートと同様に大量生産品では満足できなくなり、産地や豆による風味の違いを楽しむという考えが広まりました。

スペシャリティコーヒーは産地や生産者が明記されており、フェアトレードやオーガニックなどの持続可能な農法で作られることが多いため、より透明性を求める層に強く支持されています。

成長市場

スペシャリティコーヒー市場は今後も成長が見込まれています。

高品質のコーヒー豆は気候条件に敏感なため、世界的な気候変動が生産地にとって脅威となる可能性が高く、栽培技術や品種改良による対応が必須と考えられています。

また、より多くの消費者がコーヒーに関する知識を深め、高品質なコーヒーに対する需要がさらに高まることが予測されています。

ジェイソン氏は積極的にコーヒー教育を行いその価値を伝えていく計画で、チームの再建にも力を入れています。

次回はジェイソン氏の新たな取り組みや、今後の活動について紹介します。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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