ゲオ 中古衣料の小売店舗の拡大を強化
名古屋市に本社を置く、ゲームやスマホ、家電などの買取販売を行う「ゲオホールディングス」は、2024年3月までに、現在マレーシアの首都圏で展開している古着の小売店「セカンドストリート」の展開を強化すると発表しました。
今回の記事では、ゲオのマレーシア戦略とともに、マレーシアの「中古市場」について解説します。
ゲオ 中古衣料の小売店舗の拡大を強化
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年9月14日
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5年で店舗拡大
「ゲオ」は、2018年にマレーシアに「セカンドストリート」で進出しました。
現在は、クアラルンプールと隣の州のセランゴール州を中心に、15店舗を展開しています。
同社は2024年3月までに17店舗体制にする予定で、24年3月の決算では、前年比で40%売上増を目指しています。
進出5年で大きく店舗展開をしています。
KLでの出店に注力
同社は、今後も首都圏であるクアラルンプールとセランゴール州を中心に、集中的にドミナント出店を行う予定です。
首都圏周辺での出店に注力しているのは、セランゴール州にあるクラン港(クアラルンプールへの海の玄関口)に日本から輸出した古着が到着し、そこから各店に配送する際の配達を効率化するため、人口が密集するクアラルンプール・セランゴール州に集中出店しています。
今後は「どれくらい離れた商圏まで出店できるのかをしっかりと見極めていく」と同社は述べています。
大きな反響を呼んでいる
「セカンドストリート」の顧客層は民族別ではマレー系と華人系が半々となっています。
交通量や人が多く、賃料が比較的に安いエリアを選んで出店しているが、出店時には約100人が並んだこともあると、同社は話しています。
進出した2018年には9,000万円相当の売上を掲げ、順調に推移していましたが、コロナによるロックダウンで営業できない時期を経て、事業を着実に拡大しています。
マレーシアは最大の輸出先
日本の財務省の貿易統計によると、2022年に日本から輸出された中古衣類は22万4,647トン。なんとそのうち約5割がマレーシアに輸出されているのです。
マレーシアの古着市場について、同社は、マレーシアは古着衣料の利用者が、顕在的にも潜在的にも多いと見ており、今後もさらにリユース市場が広がると期待を示しています。
マレーシアには同社のほか、以前この記事でも紹介した「ブックオフ」の中古品店「ジャラン・ジャラン・ジャパン」 を進出していて、店舗を拡大させています。
日本の中古衣料の認知度高い
アジアの周辺国に比べて、マレーシアは中古衣料の認知度が高く、前述のように日本からの輸入実績も抜群です。国内だけではなく、周辺諸国への販路の拡大も見込める利点があります。
ゲオも、マレーシアに現地法人を立ち上げ、専門業者を介さず自社で中古衣料の卸売り事業を行っており、事業の柱になっています。
最も急速に成長している分野の1つ
調査によると、マレーシアでは10人中8人が中古品を購入しているそうです。
もともと、中古車や中古家電、中古携帯が街の至る所で販売されるほど、マレーシアでは中古市場が確立されていました。コロナ禍や、サスティナビリティの考えが浸透するにしたがって、ファストファッションに代わり手頃な価格で環境にも優しい商品を求める傾向が高まり、古着はファッション市場でも最も急速に成長している分野のひとつになっています。
金額に見合った価値
以前は中古品店を見ても「安かろう悪かろう..」という店つくりや商品でしたが、確かに最近は状況が変わってきているようです。
よりサスティナブルなライフスタイルを実践することで、循環経済の支援につながるような環境が整ってきています。
調査によると、中古品を購入したことがあるマレーシア人の実に78%が、中古品を購入する動機は、「金額に見合った価値があること」を最大の理由として挙げているのです。
マレーシアの中古市場の今後に注目していきましょう。