マレーシア在留邦人 減少続く

外務省が2025年12月に発表した「海外在留邦人数調査統計」によると、マレーシアに暮らす日本人の数は約2万人(2025年10月1日現在)。コロナ前の2020年には約3万1千人を数えていたので、5年間で3割近く減ったことになります。ニュースには「微減」と書かれていましたが、積み上げてみると決して小さな変化ではないでしょう。
今回は、この減少の理由を解説します。
(引用元:海外在留邦人数調査統計(令和7年(2025年)10月1日現在)|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_03172.html)

マレーシア在留邦人 減少続く
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年04月30日
減った理由は「ひとつ」ではない

まず理由として挙げられるのがMM2Hビザの厳格化です。2021年に取得条件が大幅に引き上げられ、それまでの制度で来ていた人たちが更新できずに引き上げるケースが続きました。加えて、日系企業の駐在員削減も大きいでしょう。円安・リンギット高という為替の問題もあり、日本からの新規移住者の意欲を削いでいます。
また、今年の7月から雇用ビザ(EP)の条件がかなり厳格化(最低給与額が倍増など)されることも、日系企業に海外事業のリストラクチャリングを促しているのも影響しているでしょう。
私がここに来た15年前には、クアラルンプールの日本人コミュニティはもっと活気がありました。日本人学校の運動会は大にぎわいで、週末ともなれば日本人会のレストランは満席でした。それが今はずいぶん静かになってしまいました。寂しくないといえば嘘になりますが、残っている人たちの顔ぶれは、以前より少しだけ”覚悟のある顔”をしているような気がします。
「住みたい国」と「住み続けられる国」は別の話
ロングステイ財団の調査では、マレーシアは長年にわたって日本人のロングステイ希望国のトップに選ばれ続けてきました。
しかしこの数字に私はいつも複雑な気持ちにさせられます。15年住んでわかったことは、住んでみたいという憧れと、実際に住み続けることの間には、かなりの距離があるということです。物価の安さ、温暖な気候、多民族文化の豊かさ——移住を検討する段階では輝いて見えるものが、いざ生活が始まると、ビザの壁、医療の不安、言語の問題として次々と顔を出してきます。
それでも私がここに留まり続けているのは、この国のゆるさが、どこか体に合っているからだと思っています。人生の後半をどこで過ごすかを考えたとき、整った場所よりも馴染んだ場所の方が楽だと感じるようになったからでもあります。
シンガポールから渡ってきて気づいたこと
マレーシアに来る前に12年間、私はシンガポールにいました。あの街は何もかもが整っています。交通も、行政手続きも、治安も。しかしその整然さの裏に、ある種の緊張感を常に感じていました。ルールは守られるが、空気は少し硬いと感じていました。
マレーシアに移ってきた時に最初に感じたのは、息が吸いやすいという感覚でした。クアラルンプールの渋滞も、突然の夕立も、おつりを間違えるスーパーの店員も——最初は戸惑いましたが、15年経った今では、そのでこぼこ感こそがこの国らしさであり、この国の体温だと思っています。
数が減っても、選んだ人たちがいる
2万人という数の向こうに、それぞれの理由でマレーシアを選んだ人たちがいます。企業に送り込まれた駐在員ではなく、自分の意思で腰を据えた人の比率は以前より確実に上がっています。教育移住の家族、リタイア後の長期滞在者、現地で起業した人——その一人ひとりの「なぜここに」という答えの中に、マレーシアという国の本当の引力が潜んでいるのだと実感しています。
数字が多少減っても、それは変わらない。15年前も今も私がここにいる理由も、きっとそこにあるのです。


















