マレーシア雨期間近
マレーシア気象局は、南西モンスーンがまもなく終わり、10月から11月末まで北東モンスーンに変わる移行期に入ると発表し、不安定な天候に対する注意を呼びかけました。
マレーシアでは3月~9月が乾季、10月~2月が雨季(東と西マレーシアで若干時期は異なりますが)となっていて、雨季には例年マレーシアの東海岸を中心に洪水が発生して被害が出ています。
今回の記事では、気象局の報道の説明とマレーシアの気候、主にモンスーンについて詳しく紹介します。
マレーシア雨期間近
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2022年11月3日
ラニーニャ現象により多雨続く
サブリ首相は、北東モンスーンによる洪水対策として地区レベルでの災害管理委員会の稼働を指示しました。これは北東モンスーンが今年は11月から来年の3月まで続くという気象庁の予測を受けたものだそうです。
また気象局は「モンスーン移行期にはさまざまな方向からの弱い風が吹き、雷雨を引き起こす可能性があり、短時間の大雨と強風を伴う」と注意を呼びかけました。
太平洋赤道域東部の海水温が低下するラニーニャ現象が、初夏から晩秋にかけてインド洋東部で海水温が低く、西部で海水温が高くなるダイポールモード現象と合わさり、北東モンスーン期に平均以上の降雨をもたらし、11月には特にマレー半島東海岸で例年以上の降雨に見舞われる可能性があると予想されています。
昨年から今年の5月にかけては、以前の記事でも紹介したように、マレーシアでは100年に1度の記録的な洪水や鉄砲水に見舞われ甚大な被害が出ています。今年も温暖化の影響からか多雨が予想されています。
マレーシアのモンスーン
モンスーンはマレーシアの気候を左右していて、「北東モンスーン」と「南西モンスーン」の2種類あります。
モンスーンの切り替わり時期には、日本の梅雨のように、大気の状態が不安定になり大雨になります。
「北東モンスーン (11月〜3月)」
北太平洋で発生する雨量の多いモンスーンで、ボルネオやマレー半島の東海岸に大雨をもたらし、マレーシアの雨季はこの時期にあたります。
南シナ海では強風と高波が発生して海岸部に打ち付け、沿岸部では高潮が発生します。
「南西モンスーン (5月〜9月)」
オーストラリアの砂漠地帯で発生する雨量の少ないモンスーンで、風上にあるインドネシアの焼き畑農法で発生する煙害 (ヘイズ) をマレーシアやシンガポールにもたらし問題になっています。
「モンスーンの切り替え期」
上述のように気候の安定しない状態が続きます。雷を伴う強いスコールが毎日数時間にわたって降ったかと思えば、しばらく雨が降らないこともあります。
注意を呼びかけ
気象局はさらに「こうした気象パターンは水害を引き起こす懸念があり、脆弱な建物に損害を与える可能性がある」と指摘しており、モンスーンの移行期にはより慎重に行動するよう市民に対し呼びかけています。そして気象局の公式ウェブサイトや「myCuaca」アプリ、公式ソーシャル・メディアを通じて最新の気象情報をチェックするよう求めています。
間もなくマレーシアでは選挙が行われますが、異例にも国王がこのモンスーン切り替え時の選挙に対して苦言を呈されていました。消防局も雨季に向けて約1万4,800人の職員が厳戒態勢をとるよう指示しています。昨年の教訓を日々の生活に活かしたいと思います。