マレーシア:2023年の新学期は3月から始まる

マレーシア

2023年度の学年は2023年3月20日から始まり、翌2024年2月10日に終わることがマレーシア教育省から発表されました。
例年マレーシアの新学期は1月1日から始まりますが、この3年はコロナの影響で新学期の始まりが3月になっていて、当初の1月1日スタートに戻るまでにあと3年かかると併せて発表されました。なかなか日本人には理解しがたい対処法かと思います。
そこで今回は、この対処の仕方からみるマレーシアと日本文化の違いについて解説したいと思います。

「2023年の新学期は3月から始まる」マレーシア教育省が発表   

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年3月9日

新学期は1月スタート

例年、マレーシアの学校は、毎年1月から新学期が始まります。
マレーシアでは、いわゆる正月(のようなもの)が1年に4回あるため、1月1日はそれほど盛大に祝われませんが祝日の扱いです。新学年は1月2日からスタートします。学年末の11月下旬から1か月ちょっとの学年末休みに入るため、クリスマスと合わせてあちこちでセールが盛大に開催されます。それが年末気分を味わえる唯一のイベントになっています。

コロナ禍でスタートした教育ニューノーマル

2020年の3月18日にいわゆるロックダウン(活動制限令)により、政府機関のみならず民間企業がすべて閉鎖され、すべての教育機関が休校になりました。それに伴って私立学校ではすぐさまオンライン授業が開始され、公立の学校も2週間程度で授業がオンラインとなりました。

正直このスピード感には驚かされましたが、突然のオンライン授業への切り替えという対応を余儀なくされた各教育機関、教師達の柔軟な対応力にも驚きました。 教育用のアプリをしてオンライン授業への移行もスムーズで、Teams、Zoomといった様々なツールを組み合わせて活用されています。

政府がテクノロジー活用を支援

政府もいち早く、教育やビデオ会議目的でのインターネット接続の無料化や電子決済の促進など、テクノロジーの活用の支援を始めました。
インターネット利用環境が整っていないエリアも存在しましたが、コロナ禍を契機に普及と利用が一気に拡大しています。

既存の社会インフラが未整備の新興国が、先進国が歩んできた発展の段階を飛び越して一気に最先端の技術が広まってしてしまう、いわゆる「リープフロッグ現象」を現実としました。

型にこだわらないマレーシア人

日本人は決まった型や技を、忠実に確実に身につけるために反復練習を繰り返すことが身についていると感じます。

日本の世界に誇る文化の多くは、「型」を多くの先人の叡智や工夫によってつくり上げ、それをさらに磨き、魂を注ぎ込み「美」の段階まで昇華させたものだと思います。

基本的に日本人は、時間をかけてひとつのことをやり抜いていくのを得意にしていますが、急な環境の変化への備えや対応といった面は不得手であると思います。これは日本の自然環境や生活環境、長い歴史から培われたものです。

一方マレーシアは、世界でもまれに見る多民族多宗教国家です。マレー系、中国系、インド系などさまざまな民族で構成されていて、国教はイスラム教ですが、ヒンドゥー教、仏教、キリスト教など他の宗教の信仰も認められています。マレー系の中にも、サバ州にはカダザン族、サラワク州にはイバン族、西マレーシアのオラン・アスリなどの先住民も含まれていて、華人系とマレー系の混血(ババ・ニョニャあるいはプラナカン)やインド系とマレー系(チッティ)など、民族間における混血グループが複数存在し、それぞれが認め合って生活を続けてきました。

そのためか融通無碍というか、あまり物事にこだわらないという良さを感じます。今回のコロナへの臨機応変な対応ではいい方向でこの美点が活かされたと強く感じます。

原点回帰

本来ならば「守・破・離」を得意とする日本人が、自信を喪失し失敗と批判を恐れ、縮こまって「守」を守り抜くことのみに目を向けている気がします。諦め、明らめ、立ち向かうことを思い起こせば、必ず早々に復活ののろしをあげられると信じています。

関連記事一覧