マレーシアのお正月?「ハリラヤ・プアサ」

コロナ時代

以前の記事でお伝えした「ラマダン(断食月)」が終わると、いよいよイスラム教徒最大の祝日といってもいい、断食明けを祝う「ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)」です。
この日は、多くの人が新調した服でお出かけしたり、お店はどこもハリラヤを祝う飾り付けであふれ、店内ではハリラヤを祝う歌 ( Lagu Raya ) が流れています。
今回は、マレーシアの「ハリラヤ・プアサ」についてお伝えします。

マレーシアのお正月?「ハリラヤ・プアサ」

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年5月18日

「ハリラヤ・プアサ」はモスリム(イスラム教徒)のお正月?

「ハリラヤ・プアサ」はムスリムのお正月と説明されることも多いですが、イスラム暦では10月なのでお正月にはあたりません。 日本人にしてみれば盆と正月が一緒に来たような、ムスリムの人々にとって1年で最もめでたい日なのです。

「ハリラヤ・プアサ」はどうやって祝う?

「ハリラヤ・プアサ」の数日前からBalik Kampung(バレ・カンポン)とよばれる里帰りが始まります。ムスリムの人々はみんな、長い休みをとって故郷に帰省します。個人で有給も使いますが、企業によっては、一週間くらい休業します。
Balik Kampung(バレ・カンポン)はおおよそ1週間ほどで、「ハリラヤ・プアサ」前後に学校も休日となるため里帰りや旅行する人々で高速道路は大渋滞となります。
一方首都クアラルンプールは人が少なくなり、日頃の渋滞が嘘のようにガラガラになります。
「ハリラヤ・プアサ」当日の朝、ムスリムの人々は礼拝に行き、お祈りをして先祖のお墓参りに行きます。また、新調したマレー衣装を着て、家族や親戚、友達、同僚などと一緒に断食明けのごちそうを食べます。
この日は王宮や首相官邸が一般人を招待し、お祝いの食事をふるまう「オープンハウス」を開催します。年に1度、国王や首相に直接会える日です。
多くのムスリムがオープンハウスでホームパーティーを開き、親戚や友人を招待して盛大にお祝いをします。
もしオープンハウスに招待された際には、なるべく露出を控えた服装を選ぶようにしましょう。Tシャツは一応OKですが、半ズボンやミニスカートはNGです。肌の過度な露出はイスラム教のタブーなので避けましょう。サンダルもダメです。

ハリラヤ・プアサのあいさつ

「ハリラヤ・プアサ」の意味は、マレー語で「ハリ (Hari)」は「日」という意味、「ラヤ (Raya)」は「大きい」という意味で「プアサ (Puasa)」は「断食」という意味で、別名アイディルフィトゥリ (Aidilfitri) ともよばれています。
『Selamat(スラマ/おめでとう) Hari Raya』とあいさつして、サラーム(右手で軽く触れる程度の握手をして、その手を自分の左胸の心臓のあたりをタッチする)というマレー式の握手を交わし「ハリラヤ・プアサ」を祝います。*
*左手は不浄とされているので絶対に使わない(左利きでも)。
*初対面の男性が女性に握手を求めるのはタブーとされている。
*子どもの頭をなでるのも厳禁です。
ムスリムのお宅を訪れるときは、ドゥイラヤ ( Duit Raya) とよばれるお年玉を緑色のポチ袋に小額の紙幣で入れて用意するといいです。
金額の相場は、RM 2~10(50~300円程度)です。

異文化と触れ合う機会

「ハリラヤ・プアサ」は「ラマダン」とともに、イスラム教徒の多いマレーシアをより深く知ることができる機会です。
イスラム教徒の食の掟であるハラール(Halal )にのっとったメニューを食べる機会が断然増えます。
アルコールや豚肉は御法度などの、基本のおきてをきちんと理解し、貴重な異文化交流の場を楽しみたいものです。


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