シンガポールが世界で最も家賃の高い都市に

シンガポールの地元のメディア会社「インディペンデント・シンガポール」によると、シンガポールは現在、世界で最も家賃が高い都市となったことがわかったとのことです。
世界を代表する都市国家となったシンガポールの家賃事情について再び紹介します。
シンガポールが世界で最も家賃の高い都市に
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 3月6日
驚異的な価格

現在シンガポールのワンベッドルームのアパートの家賃は、月額で3,636ドル(約41.5万円)と驚異的な額に達していると報道されました。
シンガポールと同様に、長年住宅費の高騰に悩まされてきた香港の月額家賃が2,911ドル(約33.2万円)で2位となっています。
東京が9万円弱なので、シンガポールの圧倒的な家賃の高さがわかります。
急激な家賃上昇の原因
シンガポールが世界で最も家賃の高い都市と報じられる背景には、複数の要因が考えられます。
①限られた土地と人口密度
シンガポールの国土面積は約720平方キロメートルで、東京23区と同程度しかなく、この限られた土地に約600万人が居住しており、非常に高い人口密度が不動産価格の上昇を招いていると考えられます。
②HDB(公共住宅)の高価格化
シンガポール国民の約80%はHDBと呼ばれる公共住宅に住んでいます。ですが比較的低格だったHDBも高額取引が増加していて、2024年には過去最高を記録しています。
③経済的魅力と外国人労働者の増加
シンガポールはビジネス環境の良さから多くの外資系企業が進出しています。これに伴い、外国人労働者や富裕層が増加し高級住宅の需要が高まっていて、これが家賃の上昇を引き起こしていると考えられます。
外国人駐在者の負担増
シンガポール人は多くの人が割安な価格で購入できるHDBに住んでいますが、その家賃もこの数年で急上昇しています。
HDBを購入できない外国人の駐在者は、比較的立地の良い場所にあるコンドミニアムに住まざるを得ないため、生活費への負担増が深刻化しています。
外国人駐在員の減少や忌避の傾向
シンガポール国民や新規移住者の需要が急増しているにもかかわらず、コロナ禍以降は住宅の供給が遅れているため、外国人駐在員が賃借しているような民間物件の家賃は平均で20~40%上昇しており、以前の2倍の家賃を要求する家主も多くいます。
家賃の上昇に伴い企業は駐在員への住宅手当の見直しや、駐在員の配置先を再検討する動きが見られます。一部の企業では、スタッフの一部をシンガポール国外に移すことを検討したり、リストラクチャリングで事業の展開地域を変更して対応しています。
日本企業の声
在シンガポール日系企業にとって、人件費の上昇や外国人就労査証の発給基準の度重なる厳格化など、人材に関わる問題が最大の経営課題となっています。
中でも家賃高騰により駐在員の生活費が増加し、企業の負担が増加することを最も懸念しています。十分な住宅手当を支給できない企業も多く、駐在員の生活満足度や業務遂行に支障をきたす可能性も指摘されています。
適切な対応策を講じることが必要
日本企業を含む多国籍企業は、シンガポールでの人材配置や経営戦略を再評価し、コスト管理や人材確保のための新たな施策を検討する必要があります。例えば、現地採用の強化やリモートワークの推進などで高コスト化に対応することが考えられます。
シンガポールの家賃高騰は、外国人駐在員や企業にとって大きな課題となっており、今後の動向を注視し対応を講じることが求められています。