菜食主義ブームの追い風に乗り、日本の「おかき」「あられ」に根強い人気

オランダ

オランダの、何の変哲もないごく普通のスーパーに入って、あたりを見回すことしきり。さて今日は、何を買おうか?と思いつつ、目の前に並ぶ野菜や果物の横を通り過ぎる。スープの素、パン、ソース類などを横目で見ながら通路を通り過ぎると、陳列棚の一角に何やら、「日本」を感じさせる品々が並んでいる。
そこには、「禅」、「武士」、「美」などの漢字が印刷されたセロファンの袋が、所せましと積み上げられているのだ。それらの袋に入っているのは、なんと「おかき」や「あられ」である。見てくれも、日本で売られている商品に決してひけを取らない上、何しろ種類が多いのは驚きである。

菜食主義ブームの追い風に乗り、日本の「おかき」「あられ」に根強い人気

   著者:オランダgram fellow 稲葉 かおる
公開日:2022年1月26日

数十種類のバラエティ

約20年ほど前まで、こういった「おかき」や「あられ」は特別な店でしか購入できなかった。アジア系食料品を取り扱う中華系スーパーマーケットであれば、手に入る程度だったのだ。
こうしたせんべい類は主に、インドネシアやタイなどで生産され、後にオランダへと輸出される。そして漢字やひらがなで彩られたセロファン袋等に入れられ、店頭で販売される仕組みだった。
それが今では、オランダの大手スーパーはもちろんのこと、駅のキオスクや自然食品を扱う店などでも販売されるようになった。ちなみにオランダ語でせんべいのことを、JapanseZoutjes(ヤパンセ ゾウチェス)という。その意味は、「塩味が利いた、日本のちいちゃなおつまみ」だ。言い得て妙なネーミングである。

人気の理由は、とある政党のスローガンから?

この「おかき」や「あられ」人気は、いかにして定着したのだろうか。
ヨーロッパ諸国では、約10年前に「菜食ブーム」が起きた。オランダでは、食肉用動物の権利を正当化する「動物の党」なる政党が結成されたほどである。「肉よりも、野菜をもっと摂取しよう!」なるこの党のスローガンの下、国民は菜食主義により一層注目するようになる。
この頃から、国民の食生活にも徐々に変化が現れた。無駄な殺生を行なわず、概してカロリーが低い野菜を摂取すれば、動物を殺して食べるうしろめたさや肥満問題をも解決できる、と国民は判断したのである。
こうした一般の菜食ブームに乗って注目を集めるようになったのが、日本食や和食材である。世界長寿ランキングで、ほぼ毎年1位を獲得する日本人の主食は米であり、大豆が原料の豆腐や醤油、そして海藻など物珍しくもヘルシーな食材に注目が集まり始めた。長生きで健康な日本人の主食・米から作られた「おかき」や「あられ」が脚光が浴びるまでに、あまり時間はかからなかった。間食にポテトチップスやクッキーなどを摂取していたオランダ人たちが、カロリー控えめな「おかき」や「あられ」にこぞって興味を示しだしたといわけだ。
オフィスの机の引き出しに入れておけば小腹がすいたときに重宝だし、ランチタイムにコーヒーを嗜みながら「あられ」をつまみ、週末は家でテレビを見ながら片手に「おかき」と、日本のせんべいはどんなシチュエーションにもぴったりマッチしたのである。
「あられ」や「おかき」の味は、一般的に辛めの味付けを好むオランダ人たちの味覚を満足させたようで、醤油の香ばしさと歯ごたえの良さを絶賛する人は多い。
日本で米は、炭水化物ゆえに太る、と思われているかもしれないが、こちらでは「カロリー低めにもかかわらず、小腹が十分に満たせる貴重な食材」とみなされているのだ。

それでは、どのような「おかき」「あられ」に人気があるのだろうか。

「おかき」「あられ」の種類

●ピーナッツ・ボール 
中に落花生(ピーナッツ)が入っているものは特に人気がある。オランダはかつてインドネシアに領土を持っていたが、ピーナッツを原料に用いたインドネシア料理は、多くのオランダ人たちにとってなじみ深い味となっている。

●ジャパニーズ クラッカー(「日本のクラッカー」)
こちらは、直径2センチくらいの「揚げあられ」である。油で揚げてあるため、普通のあられよりもカロリーは高めだが、口当たりの良さ、軽い歯ざわりが人気だ。味は、従来の醬油味に加えカレー味、青のりがまぶしてある塩味などバラエティに富んでいる。

●現地人が「ハイブリッド」とも呼んでいる、「チーズ入りあられ」
オランダは、世界屈指のチーズ輸出国である。国民にとって、チーズはパンと同様ほぼ主食のように毎日食べるが、そのチーズと日本のあられを合体させたのがこちらのチーズ入りあられだ。馴染み深いチーズの味と、歯ごたえがあるあられ、そして醤油の香ばしさが大好評である。

まとめ

現在、オランダには日本をはじめとして世界各国からこの「おかき」や「あられ」が輸入されている。しかしせんべい愛好家たちによると、そのせんべいが本物、つまり日本で生産された正真正銘の「日本の味」か否か、食べればすぐに見分け(味分け?)がつくそうだ。
米が原材料のため、カロリー控えめで肥満対策にもってこいの上、香ばしい味も素晴らしい!とオランダ人やヨーロッパ人たちに愛される日本の「おかき」や「あられ」。伝統的なそれらももちろん捨てがたいが、多少遊び心が感じられるような、新しい味のモダンな「おかき」や「あられ」が輸入されるようになれば、さらに人気に火がつくことは、間違いなさそうだ。

 

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