徴収された車両通行料金 約26億円|マレーシア

マレーシアの2024年10月の国会でのローク交通相の発表によると、2024年の1月から9月の間に、シンガポールからマレーシアへ入国した車両から徴収した通行料金が、約8,800万リンギット(約26.8億円)に達したということです。
現在、シンガポールからマレーシアに車で入国する際には、外国登録のオートバイを除く自家用車は、通行量として20リンギットの料金が課されています。
今回の記事では、この記事を紹介するとともに、両国間、特にジョホール州とシンガポールの関係性と今後の展望について解説しようと思います。

徴収された車両通行料金 約26億円
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年2月20日
年間1億リンギットを超える見込み

今年の同時期に、シンガポールからマレーシアへ入国した車両数は約440万台で、1日平均で9万台の車両が通過している交通相は説明しており、その内訳は、自動車が 31,194台で、以下オートバイは5万3,000台、バス3,531台、トラック2,093台となっています。
今後シンガポールからジョホールにさらに多くの車両が入国すると予想されているため、年内には通行量が1億リンギットを超える見込みだそうです。
2本の大動脈
以前に何回か紹介しましたが、現在マレーシアとシンガポールとを結ぶ大動脈は、「コーズウェイ(Causeway)」と「セカンドリンク(Second Link)」の2つです。世界で最も交通量が多い道で、人々の移動と経済活動を支える重要なインフラであり、両国間の深い経済的つながりを象徴しています。それぞれについて見ていきましょう。
1. コーズウェイ(Johor-Singapore Causeway)
1923年に開通したコーズウェイは、シンガポールとジョホール州を初めて直接結ぶ交通路で、全長1.06 kmの道路と鉄道が併設された橋です。シンガポールのウッドランズとマレーシアのジョホール・バルを結んでおり、現在も両国の人と物資の輸送において重要な役割を果たしています。
現在、コーズウェイは毎日約30万台の車両と数十万人の通勤・観光客が利用しており、特にピーク時間帯には混雑が激しくなります。
コーズウェイは開通から100年近くが経過し、老朽化が進んでいます。また、交通量が急増しており、朝夕のラッシュ時には大規模な渋滞が発生するのが課題です。この混雑解消のため、2026年に開通予定のRTS(ラピッド・トランジット・システム)が期待されています。
2. セカンドリンク(Malaysia-Singapore Second Link)
セカンドリンクは1998年に開通しました。コーズウェイに比べて距離が長く、全長1.92 kmのこの橋は、シンガポールのツアス(Tuas)地区とジョホールのタンジュン・クパン(Tanjung Kupang)を結んでいます。
セカンドリンクはコーズウェイの混雑緩和のために建設され、主に商用車や貨物の輸送に利用されていて、特に大型トラックや商用車が多く利用しています。
セカンドリンクは比較的新しく、交通渋滞もコーズウェイほどではないものの、貿易量が増えるにつれて交通量も増加しています。
ジョホールの経済特区
ジョホール州には、いくつかの経済特区が存在しています。この地域は、シンガポールとの近接性を活かして、製造業、サービス業、観光業、教育、医療など多様な産業の拠点となっています。特に、不動産開発やインフラ投資が盛んで、シンガポール人をターゲットにした高級住宅地やリゾート施設が建設され、シンガポール人にとってジョホールは魅力的な生活拠点や投資先となっています。
この特区の成功は、ジョホール経済全体の成長に寄与しており、シンガポール経済との相互依存がより強まる要因の一つとなっています。
大きな波及効果が期待
ジョホール州とシンガポールの経済的な結びつきは、マレーシアとシンガポール両国の安定に寄与するだけでなく、アジア全体の経済発展や安全保障にも影響を与えます。
ジョホール州はシンガポールにとって「安全保障上の緩衝地帯」としても機能しており、経済的な相互依存が強まることで、両国間の政治的な安定が一層強化されると考えられます。
さらに、この地域の経済的な成功は、他のASEAN諸国にも波及効果をもたらす可能性があり、経済協力の成功モデルとなれば、他の国々も類似した経済特区やインフラプロジェクトに投資し、地域全体の経済成長を加速させることが期待されています。