「喫煙製品規制法」施行 来年1月から職場も対象に

マレーシアのアハマド保健相が、電子たばこ製品等の規制も含めた「公衆衛生のための喫煙製品規制法」を10月1日に施行したと発表しました。
マレーシアの禁煙政策は、国民の健康を保護し、より一層健康への取り組みを強化するために施行されています。
今回はマレーシアの喫煙状況や禁煙政策について、あらためて解説します。

「喫煙製品規制法」施行 来年1月から職場も対象に
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年3月5日
本格施行開始

同法は、電子たばこを含むたばこ製品の規制の厳格化、18歳未満の未成年者へのたばこの提供の禁止などを目的としたもので、今年の2月に公布されていましたが、施行は先送りとなっていました。
待ち望まれていた施行規制が施行された理由は、減らない喫煙や、電子たばこやベイプなどの新たな喫煙器具の無規制な使用、そして特に若者や未成年者の間での公衆衛生への影響に対する懸念の高まりに対処する必要があったためと報道されています。
減らない喫煙率
マレーシアでは喫煙が依然として広範囲で行われていて、特に成人男性の喫煙率が高いです。統計によると成人男性の約40%以上が喫煙者であり、全人口の約20%の人々が日常的にたばこを吸っています。
特に低所得層や若年層においては喫煙率が顕著に高くなっていて、電子たばこやベイプといった代替製品の使用も若者の間で近年増加傾向にあり、社会問題になっています。
喫煙の健康被害
マレーシアでは喫煙による健康被害が深刻な問題となっています。
喫煙は心臓病や肺がん、呼吸器疾患など多くの病気の原因となり、毎年約20,000人が喫煙関連の病気で命を落としています。
受動喫煙も問題となっていて、非喫煙者の健康にも深刻な影響を与えています。
さらに、喫煙による健康被害に伴う医療費の増加が政府の財政に大きな負担をかけていて、たばこ関連の病気に対する医療費は年間数億リンギットに上り、医療費の増加により他の分野への財政支出に影響が出ることが懸念されています。
社会に大きな影響
喫煙はマレーシアの労働生産性にも影響を及ぼしています。
たばこを吸う従業員は非喫煙者に比べて病気になるリスクが高く、結果として欠勤率が高まる傾向があります。喫煙による労働時間の浪費や職場での受動喫煙問題も、生産性の低下や職場環境の悪化を引き起こしています。
さらには喫煙年齢の低下、特に若年層において喫煙やベイプの使用が増加していて、若者の健康や学業成績への悪影響が懸念されています。
喫煙習慣は依存性が強いため、若い頃からの喫煙がその後の生活習慣病のリスクを高める要因となっています。
前回の禁煙法後の減らぬ喫煙
マレーシアでは2019年1月1日から全ての飲食店での喫煙が全面的に禁止されています。
しかし、多くのレストランなどで一部のお客は喫煙を堂々と続け、掲示された禁煙サインを無視する行為も依然として見られています。
今回の法律の施行後も、地元ニュースでは飲食店で電子たばこやベイプを吸う人々の姿が紹介されていました。
社会的な取り組み
マレーシア政府は厳しい喫煙規制を導入し、公共の場での喫煙禁止区域を拡大するなどの施策を行うことで、上記の社会的な課題を解決しようと動いています。
2025年1月から職場での全面禁煙が施行されることにより、さらなる喫煙率の低下が期待されています。
政府の目標としては、喫煙率を2025年末までに15%に引き下げることを目標に掲げています。
これは長期的に社会の健康水準を向上させるための重要なステップで、実効性が再び問われています。