シンガポールの富裕層 ワークライフバランスに不満

シンガポール

100万ドル(約1億5千万円)以上の資産を保有するシンガポールの富裕層は現在のワークライフバランスに不満を感じていると、スイスに拠点を置くプライベートバンクが発表しました。

シンガポールは世界から富裕層が集まり、国民の世帯月収が100万円を超え、日本の倍になっています。 

今回の記事では、この調査結果を中心にシンガポールでの働き方について紹介します。

シンガポールの富裕層 ワークライフバランスに不満

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2024年 2月2日

残業増加

現状のワークライフバランスに満足している富裕層の割合は、シンガポールがアジア太平洋地域で最も低い、わずか30%にとどまったことがわかりました。タイが72.7%で首位となり、オーストラリアがそれに続いています。

今回、シンガポールの結果が低かったのには職場で過ごす時間の長さにあるとされ、回答した富裕層の26%が残業が多いと答えています。

シンガポールの1週間あたりの労働時間は45時間と、アジア太平洋地域の調査場所10ヶ所の中で最も長い結果が出ています。

若い世代で認識変化

この調査によると、世界の巨額の富が迫り来ている中でアジア地域、特にシンガポールでは、若い世代が「仕事は人生」「人生は仕事」というアジアの伝統的な考え方から離れつつある傾向にあることがわかります。

ワークライフバランス改善の必要

シンガポールの人材紹介会社ランスタッドは、 2022年の調査で、10人中7人のシンガポール人が仕事量が多すぎるためワークライフバランスが不十分だと答えていると発表しています。また63%が「不必要で過剰な残業」によってワークライフバランスが悪化していると回答しています。

さらに2023年の調査では、調査したシンガポールの会社の従業員の実に41%の人が「ワークライフバランス改善のために仕事を辞めるつもりだ」と回答している結果が出ています。

効率重視

シンガポールは今や世界のハブ都市として、さまざまな場面で大きな役割を果たし、多くの海外企業がシンガポールに進出してビジネスチャンスを狙っています。

シンガポールでの働き方の特徴としては、効率を非常に重視した、圧倒的に生産性の高い働き方にあります。ひとり当たりのGDPを比較すると、2023年はシンガポールは5位と非常に高く、31位の日本と比べるとその効率の高さが抜きんでています。

フレキシブル

フレキシブルに働けることがシンガポールの働き方の魅力の一つです。

時間に関してはそれほどシビアではないため、ストレスをあまり感じることなく働くことができます。

また、コロナ禍以降は在宅勤務がデフォルト化していて、働き方の自由度がさらに増していると感じます。

残業が少ない

日本と比べると残業時間が圧倒的に少ないのがシンガポールでの働き方です。

残業しても会社側は残業代を全額は払う必要がないため、社員が定時で帰ることが多いです。

競争激化で働き方に変化が

世界を代表するような会社が数多く進出して競争が激化し、また、伝統的に欧米の文化が浸透しやすいためか、シンガポールにおける仕事に対する価値観や共通する信念、労働文化が劇的に変化しているようです。

外資系企業は、欧米、オーストラリア、中国、インド、など働く人の国籍が多様になっており、さまざまな企業文化が混在し始めているようです。

人財の流動性が非常に高いい

シンガポール社会は高齢者や障がいがある方にも働く場所がたくさんあり、企業も幅広く採用しています。また、日本とは違いニートのような人はほとんどいません。

終身雇用はまずなく、人々も新たなチャンスや可能性を求めて常に新しい仕事に移っていくことが多く、社会全体で適材適所が実現していて非常に働きやすい社会です。

世界の富や優秀な人材がわずか500万人ほどの人口の小国家に流入することで、この先どのような変化や変革がシンガポールにおこるのか興味深いところですが、変化に対する対応能力がずば抜けているので今後もうまく対処していくのでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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