本音はバスタブに浸かりたい?カナダのお風呂事情
日本食と同じくらい海外在住の日本人が切実に欲しているのが、「日本式のお風呂」。
他の多くの国々同様、カナダにもバスタブに浸かる文化はなく、シャワーを浴びるタイミングや頻度も日本とは大きく異なります。
この記事では、カナダのお風呂事情はどうなっているのか見ていきましょう。
本音はバスタブに浸かりたい?カナダのお風呂事情
著者:カナダgram fellow Murayama
公開日:2023年10月10日
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「バスルーム」の定義
カナダのBathroomは、基本的にトイレとお風呂(シャワーを浴びるスペース)が一緒になっています。日本でいうビジネスホテルのイメージです。そのため、「トイレに行く」の意味で「Bathroomに行く」と言うことも珍しくありません。
受け皿としてのバスタブ
上の写真のお風呂にはバスタブがありましたが、カナダではバスタブにお湯を溜めて浸かる習慣はほぼありません。では何のためにバスタブが存在しているのかと言うと、身体を洗う時の「水の受け皿」という回答が適切でしょう。
当然ながら日本のお風呂のような洗い場はなく、バスタブの中でシャワーを浴びて、はい終了、というのが普通です。
あるいは、バスタブ自体がなく、ガラス板で仕切られた1辺1m程度のシャワーボックスがあるのみという家も多く見られます。
ちなみにシャワーヘッドは壁に固定されているタイプが多いです。
さて、このバスタブ、もちろんお湯を溜めればバスタブとして機能するのですが、日本人にとっては浅すぎるのが致命的。
深さが30㎝ほどしかないので、肩までお湯に浸かろうと思うと寝そべってバスタブの淵に頭を乗せる体勢になるのですが、この体勢は肩が非常に凝ります。
おまけに、すぐ横の便器が目に入るのも相まって、心からリラックスできる空間とは言えません。
カナダの人にとってのお風呂(シャワー)は、リラックスするためではなく単に汚れを落とすためのもの、という事実がわかります。
シャワーは時間との闘い
お風呂=身体を洗うためのもの。
それを裏付けるかのように、シャワーを浴びている平均時間はたったの5~15分。日々の疲れを取るためにゆっくりとお風呂に入る日本人の感覚とはかけ離れていますね。
シャワーの時間が短いのには「水の節約」という理由もあります。
いつでも好きなだけお湯が出る日本とは異なり、使えるお湯の量が限られているカナダ。
カナダの家庭では、予め一定量のお湯をタンクに貯めておき、キッチンやお風呂で利用するというシステムをとっています。そのため、1人が大量にお湯を使ってしまうと後の人の分が無くなってしまうのです。お湯を張るなんてもってのほか。
そして、冬は-20℃、-30℃が当たり前の極寒のカナダですが、シャワーで身体を温めるという概念が皆無のため、どんなに寒くてもシャワーだけで済ませるという習慣は変わらないようです。まあ、カナダのほとんどの家はセントラルヒーティングシステムがあるため浴室も温かいのですが。(ただし筆者のアパートは例外……)
シャワーの頻度とタイミングは?
基本的に毎晩お風呂に入る(シャワーのみも含めて)日本人。しかし、移民の多いカナダではシャワーの頻度もタイミングも千差万別です。
シャワーは1日1回が基本ですが、2日に1回、3日に1回、もしくはそれ以上という人もいます。毎日浴びない理由は人種や宗教、職業などによっても異なるのかもしれませんが、空気が乾燥しているカナダでは汗をかきにくいこともそのひとつでしょう。30℃を超える日でも汗でベタつくと感じることはほとんどなく、かいても5分もすれば乾きます。そのため、シャワーを浴びなくてもそこまで不快に感じないのではないでしょうか。
また、シャワーを浴びたとしても、髪は毎回洗わないという人も多く見られます。
カナダの水は硬水です。硬水のミネラル分が肌や髪の乾燥を招く原因となるため、「毎日洗うと髪の毛がパサパサになるから、3日~1週間に1度くらいにしている」という声もあります。調べていて、シャンプーのし過ぎはよくないと謳っているウェブサイトが多かったのも印象的でした。
(引用元:CTV News – Why more people are skipping soap and showering less
https://www.ctvnews.ca/lifestyle/why-more-people-are-skipping-soap-and-showering-less-1.4555683?cache=yes%3FclipId%3D64268)
では、シャワーを浴びるタイミングはどうでしょうか?
夜にお風呂に入る習慣のある日本とは異なり、カナダでは朝にシャワーを浴びる人が多いようです。
「えっ、汚れたままベッドに入って寝るのって嫌じゃないの?」と思うかもしれませんが、カナダでは人に会う前に身体を清潔にしておくのがエチケットとされています。また、朝シャワーを浴びることでシャキッと目を覚ます効果も求めているのだとか。
確かに理にかなっているといえるでしょう。ちなみに、筆者のアパートの隣人は毎朝3時にシャワーを浴びています。
とは言うものの、実は高いバスタブ人気
バスボムやバスソルト、石鹸などのお風呂用品の需要は高く、スーパーやドラッグストアではお風呂用品を多数取り扱っています。
友人のカナダ人も、「今日は仕事がめちゃめちゃハードだったから、お気に入りの香りのバスソルトを入れてお湯に浸かったよ!」と以前言っていました。
使えるお湯に制限がある、髪や肌がパサつくなど、デメリットがなければ普段から贅沢にバスタブに使ってリラックスしたいのかもしれません。
まとめ
カナダのシャワー・バス市場は、アメリカやヨーロッパなどの海外勢に圧されて突出した企業が見られないのが現状です。ここに日本企業の参入余地は大いにあるのではないでしょうか。
商品開発や研究をさせたら世界トップレベルの日本。
例えば、硬水で使用してもしっとり感の残るシャンプーやボディーローション、香りや泡が長続きする入浴剤など、入浴するメリットが感じられるアイテムがあれば、カナダの人々を喜ばせられるかもしれませんね。