世界のアルバイト賃金事情:ドイツで働くならKFCがおすすめ?!従業員は店内商品が無料

ドイツ

ドイツでは食料品の価格高騰が続き、最低賃金は年々上昇しているが、物価も上がっている。アメリカ系チェーン店では平均的に時給が€12からで、日本でも同じような水準だ。しかし、ドイツのチェーン店での時給は、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、バーガーキングなどが€12以上である。また、インフレの続くドイツでは、お金の価値がモノの価値を下回っている。これにより、ドイツに住む人々のお財布の状況が激変している。

ドイツで働くなら、KFCがおすすめ?!従業員は店内商品が無料で食べられる?!

著者:ドイツgram fellow 千葉 よう
公開日:2023年4月25日

現在の最低賃金

2023年3月現在、ドイツでの最低賃金は1時間あたり€12,00(およそ1715円)である。
2022年1月1日~ 6月30日までは€9.82、7月1日 ~ 9月30日からは€10.45、そして2022年10月以降は€12と、去年は最低賃金の変動が大きかった。

最低賃金推移グラフ

2015年から2022年末までの最低賃金の変移

2015年1月より、ドイツ全土で最低賃金法が施行された。
これらはドイツの一般的な全国最低賃金であり、一部を除く全ての従業員に適用される。

(参考元:DGB Deutscher Gewerkschafts Bund https://www.dgb.de/schwerpunkt/mindestlohn

2015年から2022年までの7年間で、ドイツ全土の最低賃金は€3,50も上昇した。

モノの価値>お金の価値

インフレ(インフレーション)とは価格水準が一定期間にわたって上昇することをいう。

お金の価値がモノの価値より下回っている状況だ。

ここ数年新型コロナウイルスやロシアウクライナ戦争の影響を受け、ドイツではインフレが続いている。

2021年と2023年の食料品の値段を比較した投稿を参考に見てみると、ここ2年で倍以上に値上がりしている。

きゅうり等は特に買い求めやすい値段の野菜だと認識していたが、現在では1本当たり€1,49(およそ213円)もする。

年々最低賃金は上がってきているが、その分物価も年々上がってきている。

チェーン店の時給比較

マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、バーガーキングやその他ドイツのチェーン店での時給を見てみよう。

チェーン店名時給
マクドナルド€12,30から
ケンタッキーフライドチキン€12,16から
バーガーキング€12,10から
サブウェイ€12,00から
アメリカ系チェーン店の時給 (店内スタッフの1時間当たり)

日本でも知名度のあるファーストフード店はどこも€12からというのが平均的な様だ。

ヨーロッパではチップ制度が一般的で、実際はさらに気持ち多めに手にしている。

個人的に羨ましいのはKFCで、従業員は店内商品の飲食が無料と書いてある。

もちろん常識的な範囲内の話であると思うが、気前の良いことに休憩中にチキンやドリンクが自由に食べられるようだ。KFCファンにはたまらない話である。

その他ドイツで展開しているチェーン店の時給も参考に見てみよう。

Kamps

1時間あたり€12,00から
パン、軽食、サンドイッチを取り扱う、プレッツェルのロゴが可愛いチェーンベーカリー

Vapiano

1時間あたり€12,00から
ケルンに本拠を置くドイツ生まれのカジュアルなイタリアンファミリーレストラン
生麺やパスタの種類等を自身で細かく選べて、その場で調理してくれる。

Best Worscht in Town

パートタイム1時間€13,00から(マインツ店)
フランクフルト発の立ち食いカリーヴルスト店(ケルン発祥でグリルソーセージにカレーソースなどをトッピングしたドイツのファーストフード)
ソースの種類やトッピングが豊富。

ファーストフードは€12,00~€13,00+チップが平均的な時給相場である。
もちろん都市部や農村部との違い、就労意欲や個人の技能が評価されればさらに変わる。

日本のサービス、ドイツのサービス

日本はおもてなし、サービスに関しては世界でもトップレベルだ。
ファーストフード店でもにこやかに迅速に正確な提供をしてくれる。
提供ミスがあろうものならお詫びをしてくれるのが通常だ。

海外でファーストフード店に行ったことがある方ならよくわかると思うが、ドイツのサービスは日本人にはショックを受けることだろう。

特にアレルギーがある方は、注文したものを口にする前に気をつけた方が良い。
筆者はファーストフード店を週一位で利用するのだが、まず注文が合っていたことがほぼ無い。

いつも注文の一つ二つ忘れられていたり、ソースや飲み物、バーガーの種類を間違えられている。
ひどい時には何ひとつあっていないこともある。

店内にあるディスプレイで注文をし、受け取ったらまるまる違ったことがあったので、他の人の注文と取り違えたと思いさすがにその場で確認したが、単にその日が作り手の彼にとって嫌なことがあり適当だったということもあった(日本では考えられない言い訳だが、海外にいると色々寛容になってくる)。

何が出てくるかわからないギャンブルみたいなもので、ファーストフード等の割安のお店ではよくあることなのでドイツ人も諦めて怒ったりはしない。

店員さん達が楽しそうに盛り上がって注文に時間がかかることもよくある。
良い点としては、働き手がストレスなく楽しそうに働いているように見える。

ドイツ人の考えとして、お客は店員と常に対等であり、理不尽な人に対しては毅然とした対応をする。他人に対して下手に出ることはまずないし、常に笑顔で接客というのもファーストフードではほとんど見ない。

しかしチップを渡すと、明らかにサービスが向上することが多々ある。
良いサービス=お金を払うものという認識だからだ。
顧客はサービスにも対価としてお金を払うが、今後さらに激しくお金の価値が変わるとサービスも変わってしまうのだろうか。

サービスの価値としてもお財布事情としても、インフレはそろそろ落ち着きを見せてほしいところだ。

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