エストニアにベリーのシーズンが到来!一方で気候変化による問題も
エストニアには多くの種類のベリーがあるが、今年は全体的に不作で、採集が難しい状況になっている。特にイチゴは生産量が減少し、産地の偽装による安値販売が問題になっている。一方で土壌成分を分析するデータベースが完成し、偽造産地を摘発する取り組みが可能になった。このシステムは、イチゴに限らず将来的には他の作物でも利用され、消費者に信頼性の高い情報を提供することが期待されている。ベリーに限らず国産農作物を楽しむためには情報の透明性が必須であり、産地情報の確認が重要だ。
エストニアにベリーのシーズンが到来!一方で気候変化による問題も
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2023年8月16日
多様なベリーの種類
冷涼な気候のエストニアは、今が各種ベリーの収穫時期である。イチゴやブルーベリーなど様々なベリーが庭や森の中で採れるのだ。
ビルベリー、カウベリー、クランベリー、ワイルドストロベリー、ワイルドラズベリー、クラウドベリーなどなど。見た目も色もさまざまである。
この時期定番のベリーたち。
— たろさん🇪🇪 (@taro_letitgrow) July 11, 2023
全部わかりますか?😊 pic.twitter.com/9eFFI516TG
今年は全体的にベリーが不作で多くは採れない。それでも採集がしたい場合、目安がある。15-20分で1リットルのバケツいっぱいのベリーが摘み取れたらそのエリアで採集をする価値があるが、1時間を超えてもまだいっぱいにならないようであれば、諦める方がいいとされている。
産地の偽装問題
イチゴに関しては今年は生産量が減り、それに付随して産地を偽装し適正価格よりも安く売るという一種の詐欺も起こった。
今年は少雨と夜間の冷え込みで例年よりイチゴの収穫時期が早まった。収穫量が減り販売価格が高くなる可能性があると報道され、実際その通りになった。生産者によると、今年のエストニア産イチゴの適正価格は1キログラムあたり7~8€であり、5€を下回ることはないとされる。
こうした価格の高騰はエストニアよりイチゴが安く生産できる国からイチゴを輸送し、産地をエストニアと偽って販売するリスクを高めると報道されている。つまり価格高騰は、産地偽装商品が市場にでまわる可能性が高くなる。
なぜそんなことが起きるのかというと、マーケットで売られる農作物は基本的に売り場のかごや箱にそのまま盛られていて産地が印刷されたパッケージに包まれていないからだ。
エストニアのお隣のラトビアでは1キログラムあたり3€ほどでイチゴを購入できる。エストニア産イチゴの約半額である。
この状態で売られていれば、目利きでもない限り産地を当てることなどできない。消費者目線からすれば国産農作物を応援したい気持ちはあるが、安いものを買いたいというのも正直な気持ちである。産地が気になる場合、販売者にどこの農園で採れたものか尋ねたり、配達証明を見せるよう要求することが推奨されている。
(引用元:ERR https://news.err.ee/1609010453/poor-strawberry-season-may-lead-to-surge-in-sales-fraud)
産地偽装を防ぐデータベースも完成
実はこの産地偽装は今に始まった話ではなく、過去にはポーランド産のものがエストニア産と偽って販売されていたこともあった。こういったことから「METK(エストニア農村研究知識センター)」はエストニア産イチゴの品種をカタログにしたデータベースを約3年の活動の末に完成させた。
どのようにしてエストニア固有のベリーということを証明するのかというと、地域・国固有の土壌の成分から見るのだという。土壌の成分が果実の成分に影響を与えるため、近隣諸国のベリーとの違いがわかるようになったのだ。
このデータベースができるまでは、偽造の疑いがあった場合、証拠書類による検証を行っていたのだが、これからはイチゴそのものを分析することで偽造産地を摘発することができる。
エストニアでこのようなシステムが構築されたのは今回が初めてだが、オリーブやブドウなど他の作物ではヨーロッパ全土で広く利用されている。現在はこの方法をイチゴ以外の作物にも拡大することが望まれている。
(引用元:ERR https://news.err.ee/1609032500/estonia-s-strawberry-database-helps-fight-crime)
まとめ
ベリーのシーズンが到来し、豊富な種類を楽しむことができる。個人的に食べる量くらいなら森に入って取っていいので、天気のいい日にハイキングと合わせてベリーピッキングをする人もいる。今年は全体的にベリーが不作のため、採集する際には取りすぎてしまわないよう気を付けて楽しむ必要がありそうだ。