増加するラトビアへの留学生

2024.11.06

エストニア

ラトビアは留学先として日本ではあまりメジャーではないが、留学生の数は全体的に見ると増加傾向にある。コロナ禍には留学生の数ががくんと落ちたものの、行き来が自由になって以降その数は復活している。多くは医学部・歯学部や国際関係を専攻する学生だが、意外な目的でラトビアの地方にある大学で学ぶ留学生もいる。

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増加するラトビアへの留学生

増加するラトビアへの留学生

著者：ラトビアgram fellow さえきあき
公開日：2024年11月6日

国外からの出願は前年比130%にも

ラトビアにはいくつもの高等教育機関が存在しており、どの機関においても毎年国外からの出願が見受けられる。University of Latvia(ラトビア大学) は2024年入学への出願は2,000件以上あり、応募者数の前年比増加率は30％にものぼった。この大学における外国人は全学生数の約7％を占めている。

充分な割合だが、これ以上に外国人比率が高い大学もある。医学部・歯学部・国際関係学のコースを持つ大学 (Riga Stradiņš University) では留学生は全学生数の28％を占め、およそ3,000人弱になる。80ヶ国、世界のあらゆる地域からの留学生が在籍し、今年も400名の留学生が入学するという。

この2つ以外にも高等教育機関はあり、それらすべてに在籍する留学生を合計すると、昨年度は10000人以上、100ヶ国以上の若者がラトビアで学んでいたということだ。

増加する留学生の状況から海外分校を立ち上げ

以前の記事で紹介したように、欧州各国からラトビアの医学部に学生が集まっている。最も留学生の割合が高いのが医学部だ。その中でもひと際大きな割合を占めるのがドイツ人学生たち。Riga Stradiņš Universityという医学部があるラトビアの大学には690人のドイツ人学生が所属しており、留学生全体の21%を占めている。

ドイツ人医学部生は年々増加しており、この状況を受けて先日この大学がドイツに海外分校を設置した。バルト三国の大学としては、医学分野では初の海外分校となる。

医学部学生は実習が必須となっており、ドイツ人学生の99%は母国ドイツで実習を行うことを選択するそうだ。海外分校が設立されることによってインターンシップや臨床研究が行いやすくなるといったメリットがある。

意外な理由でラトビアの地方で学ぶ留学生

ラトビアの主要な大学が首都であるリガにほとんど位置しているため、首都が学生都市としての機能も兼ね備えている。留学生のほとんどがリガに住み、その他の地域でいわゆる「外国人」を見ることは稀である。しかし、ラトビアの東端にある「ダウガピルス」という地方にある大学では多国籍の留学生が見ることができる。この大学で学ぶ留学生の数は62人で国籍はナイジェリアやフィリピン、インドなど多様である。

なぜラトビアの地方都市に留学生がいるのかというと、ラトビア国内で唯一、交換留学の学生にロシア語の語学研修コースを提供する大学であるからだ。
ウクライナ侵攻以降、ロシアへの入国は事実上不可能になっているため、ロシア語を高い水準で学ぶ人にとってはロシア語話者が住む地域への留学が残された手段である。

この大学が位置するダウガピルスという地域は、ロシアとの国境に近いことからロシア語話者が多く住んでおり、街中の言語もロシア語が優勢である。同様の理由で、ロシアとの国境を擁する隣国のエストニアの大学のロシア語コースにも各国から留学生が集まっている。

ちなみにラトビアの公用語として定めている言語はラトビア語のみであり、ロシア語習得のために留学生が集まっているのは偶然である。