「もっと早く相談すればよかった」イタリアで身近な夫婦カウンセリング

「今思えば、二人だけで解決しようとしていたことが間違いでした。」
そう話してくれたのは、イタリア人の夫と夫婦カウンセリングを受けた日本人女性です。イタリアでは、問題を抱えたときに専門家へ相談することが比較的身近な選択肢となっています。


「もっと早く相談すればよかった」イタリアで身近な夫婦カウンセリング
著者:イタリアgram fellow たなかさき
公開日:2026年09月11日
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イタリアで身近なカウンセリング文化

イタリアでは、夫婦や家族の問題に限らず、専門家へ相談することは比較的身近な選択肢です。
イタリア国立統計局(ISTAT)によると、2024年の離婚件数は7万7,364件で、人口1,000人当たりの離婚率は1.3件でした。日本も約1.5件と大きな差はありません。
離婚率に大きな違いはないものの、問題が起きたときの向き合い方には日本とは異なる一面があります。
北イタリアで暮らしていると、私の周りでも1人でカウンセリングを受けているイタリア人は珍しくありません。
「悩みがあるなら専門家に相談してみたら?」という言葉を耳にすることもあり、専門家を頼ることへの心理的なハードルは日本より低いように感じています。
離婚の話し合いの中で提案されたカウンセリング
取材に応じてくれたのは、イタリア人の夫と結婚した日本人女性です。
夫婦関係が悪化し、離婚に向けた話し合いが始まった頃、夫から「一度、夫婦カウンセリングを受けてみないか」と提案があったそうです。
しかし、彼女は当初あまり前向きではありませんでした。
「夫婦の問題を第三者に相談して、本当に意味があるのだろうか。」
そんな思いがあったといいます。
その後話し合いは続き、弁護士を通じた離婚手続きや別居の準備も進みました。彼女は娘を連れて一度日本へ帰国します。
それでも「できることなら両親がそろった環境で育ってほしい」という思いから、イタリアへ戻った後夫婦でカウンセリングを受けることを決めました。
相手だけでなく自分にも目を向ける
実際にカウンセリングを受けた後、彼女は「もっと早く相談すればよかった」と振り返ります。
夫婦だけで話し合おうとすると、どうしても感情的になり、同じ議論を繰り返してしまいます。しかし、第三者が間に入ることで、お互いが冷静に話せる環境が生まれたといいます。
彼女は、自分は問題が起きるとすぐに話し合い、できるだけ早く解決したいタイプだったと話します。一方、夫は話し合いになると黙り込んでしまうタイプでした。
以前は、「なぜ話し合ってくれないのだろう」「向き合う気がないのではないか」と夫を責め、問題を解決しようとしないのは、自分への愛情がなくなったからだと思い込んでいたそうです。
しかし、カウンセリングでは、夫の反応が心理学で「ストーンウォーリング(Stonewalling)」と呼ばれる傾向に近いことを知りました。ストーンウォーリングとは、強いストレスや感情的な負荷を受けた際に、会話を遮断してしまう反応を指します。
その特徴を知ったことで、愛情がないからではなく、こういう反応をする人もいるんだと腑に落ちたといいます。
さらに、自分にも「すぐに答えを出したい」「自分の考え方が正しい」と思い込んでいた部分があったことにも気づきました。
「相手だけが悪いと思っていました。でも実際には、お互いに改善できる部分がありました。」
相手の性質を理解すると同時に自分自身の考え方も見つめ直せたことが、夫婦関係を見つめ直す大きな転機になったといいます。
専門家を頼るという選択肢
今回の取材を通して感じたのは、イタリアでは専門家に相談することが、問題が深刻だからするものではなく、問題を深刻化させないための選択肢として受け入れられていることです。
イタリア心理士協会(CNOP)が紹介する調査では、心理的支援は医療と同じように誰もが受けられるべきだと考える人が74%に上りました。もちろん、カウンセリングを受けたからといって、すべての夫婦が関係を修復できるわけではありません。
「夫婦関係が修復できるなら、喜んで払います。」
彼女が通うカウンセリングは、1回50分で85ユーロ。4月から当初は週1回、現在は2週間に1回のペースで通い続けています。
決して安くない金額です。それでも彼女は「もっと早く専門家に相談すればよかった」と振り返りました。
「二人だけで解決しなければならない。」そんな思い込みを手放すことも、ときには問題を解決する第一歩なのかもしれません。
【参考】
◇Rapporto salute mentale, pubblicati i dati sul 2024. Con Piano 2025-2030 nuove azioni per i servizi di salute mentale:
https://www.salute.gov.it/new/it/comunicato-stampa/apporto-salute-mentale-pubblicati-i-dati-sul-2024-con-piano-2025-2030-nuove/
◇Matrimoni, unioni civili, separazioni e divorzi – Anno 2024 – Istat:
https://www.istat.it/comunicato-stampa/matrimoni-unioni-civili-separazioni-e-divorzi-anno-2024/
◇L’assistenza psicologica è un diritto come quella medica, l’indagine Cnop | Sanità33:
https://www.sanita33.it/indagini/3113/l-assistenza-psicologica-e-un-diritto-come-quella-medica-l-indagine-cnop.html
◇令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/index.html
◇令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況(概況 PDF):
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/dl/gaikyouR6.pdf
◇日本の離婚率(割合)【最新版】 増えてる? 原因やケース別についても紹介 | 離婚のカタチ:
https://rikon.asahi.com/article/4484
◇世界と比較する日本の離婚 | 離婚の相談はデイライト法律事務所:
https://www.daylight-law.jp/divorce/column/column34/
◇離婚を94%見抜く心理学者が発見! 夫婦の“4つの地雷”とは | GOETHE:
https://goetheweb.jp/person/article/20230917-eric-barker-4?heading=2




















