エストニアで人気のスポーツ、ディスクゴルフって何?
人口130万人の小さな国で人気のスポーツのひとつに「ディスクゴルフ」がある。日本では馴染みのないこのスポーツは、ヨーロッパの北部地域において局地的に人気のあるもので、中でも人口に対するアクティブ会員数はヨーロッパ内ではエストニアが一番である。日本では馴染みのないスポーツ、ディスクゴルフの内容とそのエストニアでの盛り上がりを紹介する。
エストニアで人気のスポーツ、ディスクゴルフって何?
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2023年8月21日
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馴染みのないスポーツ、ディスクゴルフ
エストニアの主要観光地をひとしきり見尽くし、緑の広がる郊外を散策していると、いつかはこのような不思議なバスケットを見る機会があるだろう。
形はバスケットのゴールや玉入れのカゴのように見えるが、高さは150cmにも満たないし、バスケットゴールのネットの代わりにジャラジャラと鎖がついている。見慣れないこのバスケットは「ディスクゴルフ」というスポーツに使われるゴールだ。
名前からわかる通り、ゴルフに似たルールをしている。端的に言ってしまえば、ゴルフのボールをディスク(=フリスビーのようなもの)に変更したスポーツである。基本的には、いかに少ない投てき回数でゴールに入れることができるかを競う。
このスポーツでは、ディスクをバスケットボールのようにゴールの上から入れる必要はない。バスケットの下にある受け皿に最終的に入ればいいため、勢いよくバスケットの鎖にあててゴールの下にある受け皿に落とすやり方でもOKだ。というより、大会の映像などを見るとそのやり方でゴールさせている人の方が多い。
ちなみに2022年の女子プレイヤー世界トップは、エストニアのKristin Tattarだ。
今年の4月にあったFPO Champions Cupでも優勝している。
エストニアにおけるディスクゴルフ人口
PDGA(プロディスクゴルフ連盟)が発表した2022年11月末時点のヨーロッパにおける国別アクティブ会員数は以下の通りだ。
順位 | 国名 | アクティブ会員数 | 国の人口 |
1位 | スウェーデン | 4939人 | 1030万人 |
2位 | フィンランド | 4615人 | 550万人 |
3位 | ノルウェー | 3253人 | 540万人 |
4位 | エストニア | 1445人 | 130万人 |
5位 | デンマーク | 1046人 | 580万人 |
上位5カ国すべてヨーロッパの北に位置していることから、ディスクゴルフの人気は局所的なものだと言える。ちなみに、世界規模で見ると競技人口1位はアメリカで、その数10万人以上と桁が違う。
3位と数字が大きく離れて4位にエストニアがランクインしている。ここで、国の人口を考慮に入れるとエストニアでのディスクゴルフ熱が良くわかる。先のランキングの国別人口を見ると、スウェーデン1030万人、フィンランド:550万人、ノルウェー540万人、エストニア130万人、デンマーク580万人で、人口に対するアクティブ会員数を考えるとエストニアが上位5カ国の中で最も比率が高いのだ。
(引用元:DiscGolfFanatic https://discgolffanatic.com/estonias-disc-golf-in-numbers-2022/)
国内のどこにでもあるディスクゴルフコース
競技人口で見るとアメリカが最も多いのだが、人口当たりのコース数で見るとエストニアは世界トップクラスに多い国である。
ディスクゴルフをする設備が整っているコースの国内の分布は画像のようになっている。
(画像引用元:DiscGolfFanatic https://discgolffanatic.com/estonias-disc-golf-in-numbers-2022/)
オレンジの部分大きいほどコースが多くある地域であることを指しており、北はタリン、南はタルトゥ、と人口の多い第一、第二の都市に多くあるのはもちろんのこと、全国すみずみまでコースがあることがうかがえる。その中で、西部のパルヌという都市に比較的多くのコースがある。これは、パルヌはエストニアにおけるリゾート地で「夏の首都」と呼ばれる場所であるためだろう。夏の休暇をリゾート地で過ごし、ついでにディスクゴルフで体を動かし楽しむこともできるという一石二鳥の体験が、パルヌではできる。
ちなみに、ディスクゴルフにはディスクを収納する専用のバックパックが販売されており、コース周辺を散歩しているとこのバックパックを背負って移動している人をよく見かける。
まとめ
日本ではマイナースポーツのディスクゴルフではあるが、ところ変われば好みも変わるのか、ここエストニアではよく知られたスポーツである。雪で地面が覆われる冬に遊んでいる人はさすがにいないが、雪が解けて緑が芽吹き始める5月ごろにはコース内でディスクが飛び交っている。動きやすい服装とディスクさえあれば気軽に体験できるため、新たな趣味として始めるのには向いている。
競技人口こそ他国よりも少ないが、人口当たりのアクティブプレイヤー数とコースの分布を見るとエストニアがディスクゴルフ大国になる日も近いのかもしれない。