エアアジアX、563%増収で黒字回復!大阪-クアラルンプール路線再開で日本3路線目の運航へ

マレーシア

2023年1月20日、アジア最大のエアアジアの長距離部門「エアアジアX」がクアラルンプールと大阪(関西国際空港)間の路線を再開しました。これにより、エアアジアは東京(羽田空港)、札幌(新千歳空港)に続く3つ目の日本路線を運航することになります。エアアジアXはコロナ禍で苦戦しましたが、2022年第3四半期には利益を563%増加させ、黒字に回復しています。エアアジアは常識破りのビジネスモデルで知られ、LCCの先駆者として、格安運賃を提供しています。今回の再開は、コロナ禍で停止していた路線が再び稼働し、旅行需要の回復を示す一例となっています。
今回の記事では、世界でもいち早くLCCを開業したエアアジアについて解説します。

エアアジアX、563%増収で黒字回復!大阪-クアラルンプール路線再開で日本3路線目の運航へ   

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年3月16日

エアアジア・ジャパン

「エアアジア・ジャパン」はエアアジアグループの日本法人として、楽天などの出資を受けて2014年に設立、国内線の3路線などを展開していました。しかし、コロナの影響で運休を余儀なくされ、経営が状態が悪化し2020年末に破産しています。コロナ禍において、国内航空会社では初の破綻でした。

エアアジア自体もコロナ禍で営業不振に苦しんでいましたが、多くの路線で運行が再開し利用客の急激な増加により、2022年の第 3 四半期で利益を前年比で 563% 増加させ、黒字に回復しています。

衝撃の出会い

エアアジアとの出会いは本当に衝撃的でした。

当時は筆者はシンガポールに駐在中で、近隣国のマレーシアやタイ、インドネシア、ブルネイへ度々出張していました。航空券はプロモーションなどを利用してはいましたが、結構な金額となっていました。

しかし、エアアジアではすべての手続きが簡略化され、価格も大手と比べると断然に安く、その登場は驚きをもって迎えられました。

それから数年で、当時エアアジアの機体に書かれていた「Now. Everyone Can Fly」の通り、多くの若者や家族連れがサンダル履きや普段着スタイルのまま利用するのを目の当たりにしました。

エアアジアは、まさに航空機を列車やバスのように誰もが利用できるように変えました。

常識破りのビジネスモデル

LCCの始まりはサウスウエスト航空で、1971年米国のテキサス州ダラスで設立されました。1978年の航空運賃の自由化を機に、格安運賃を設定し、乗客が殺到しました。
その後このビジネスモデルが世界に波及し、欧州やアジアでLCCが誕生しました。エアアジアもそのひとつです。
エアアジアはトニー・フェルナンデス氏が2001年に設立し、クアラルンプール国際空港 (KLIA) を本拠地にしています。格安運賃を実現して当時国内線を独占状態であったマレーシア航空を破り、2003年には黒字化に成功しました。
トニー氏は、「マレーシアで飛行機に乗れるのは人口のわずか6%だけだ。ならば残りの94%の人たちのために安い飛行機を飛ばすことで、大きなビジネスになる」と確信して事業を進め、現在に至ってます。

宝の持ち腐れ

日本には現在100もの空港が存在しています。LCCの参入が増え、多くの路線が展開されています。ただ、地方にも素晴らしいものがたくさんあるにもかかわらず、これらを活かしていく手段として数多くの空港がしっかりと活用されていないと感じます。駅ビルの開発などと違って、総合的にプロジェクトを進めていくプロデューサー的な役割を果たす組織が弱いためだと考えられます。

LCCの誕生から、アジアでは画期的に流通が進み、以前は航空機で出かける動機にはならなかったような理由でも人々が活発に移動するようになりました。

コロナ禍で足踏みはありましたが、この流れは確実に加速していくでしょう。

海外のLCC勢は日本にはマーケットの伸びしろがまだまだ多いと、虎視眈々とさらなる展開を狙っていくことでしょう。

地域活性化が課題となっている現在の日本では、既存のインフラの効果的な宣伝と活用が非常に重要であると、LCC先駆けの地マレーシアの現状を見て痛感しています。

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