マレーシアの超富裕層、2031年に1,881人へ

マレーシア

ナイトフランクの『The Wealth Report』が、マレーシアの超富裕層が2026年の1,566人から2031年には1,881人に増えると予測しました。純資産3,000万ドル、日本円でおよそ45億円を超える人たちのことです。5年で20.1%の増加となります。直前の5年間が6.5%だったので、ずいぶん加速する見通しです。ちなみに、100万ドル超(約1.6億円)の富裕層まで広げると、マレーシアには今およそ58,000人がいるそうです。

今回は、この記事を深堀していこうと思います。

(引用元:Malaysia ultra-high-net-worth individuals to rise 39pc by 2031, says report | Malay Mail
https://www.malaymail.com/news/malaysia/2026/04/28/malaysia-ultra-high-net-worth-individuals-to-rise-39pc-by-2031-says-report/217961)

マレーシアの超富裕層、2031年に1,881人へ 

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年09月28日

支えているのはリンギットと株式市場

なぜ超富裕層が増えているのでしょうか。ナイトフランク・マレーシアのキース・オイ氏は、世界が不安定でエネルギー価格も揺れているのに、マレーシア経済がしっかり伸びていることを理由に挙げています。リンギットの底堅さや、2020年から毎年増えている新規上場に支えられた資本市場も効いているとのこと。私がこちらに来た十数年前は、クアラルンプールシティ周辺で「億ションだ」と話題になったコンドミニアムがありました。

当時は「そんな値段で誰が買うのだろう」と半信半疑でしたが、今その部屋の相場を見ると、もう驚かなくなっている自分がいます。感覚が慣らされてしまうほど、この国は上のほうへ動いてきたのだと感じます。

高級住宅は、じわっと上がっている

不動産のデータも同じ方向を指しています。ナイトフランクの「プライム国際住宅指数」によると、クアラルンプールの高級住宅価格は2025年に1.1%上がりました。派手な数字ではありません。しかしここ数年ずっと崩れずに来ているという点が大事なのだと思います。

同社は、先行きが不透明でも高級住宅は値を保つと見ています。提案中の不動産開発法や「Teduh」というデータ活用の仕組みが、冷えた市場心理を支えるだろう、という見立てもあります。爆発的に上がるのではなく、下がりにくい。そういう資産だと考えられているようです。日本の感覚だと1.1%は小さく見えますが、下がらないことがまず難しいのだと、こちらに住んでいると実感します。

「あちこちに家を持つお金持ち」が増えている

面白いのは、富裕層の暮らし方そのものが変わってきたことです。

税金や政治のリスクを分けるため、いくつもの国にまたがって生活を組み立てる。昔ながらの拠点に、年間90日も滞在しない人が増えているそうです。マレーシア人の海外の住宅用地の購入額は世界で9番目、とくにオーストラリア人気が根強い。私の知人にも、子どもをパースの学校に入れ、ご自身は年の半分をKLとメルボルンで行き来している方がいます。

以前は「移住」と呼んでいた暮らし方が、今は「拠点を分ける」に近いように思います。ひとつの国に根を張る、という発想ではないのです。国境が昔ほど重くないのだなと、話を聞きながら感じます。

幅の広さがマレーシアの豊かさ

シンガポールで12年、マレーシアで15年。2つの国を行き来してきた私にとって、この数字は格差の一言では片づきません。高級住宅が上がり続ける裏には、通貨や制度への信頼、育ってきた資本市場があります。ただ、その一方で、燃料補助金の話題に一喜一憂する日々の暮らしも、まぎれもなくこの国の現実です。私自身、屋台のナシレマの値段が少し上がっただけで「おや」と思う、ごく普通の生活者の一人です。ぴかぴかの高層階と、屋台で朝食をとる私と。どちらも同じクアラルンプールの顔だと思っています。この国の豊かさは、こういう幅の広さにあるのかもしれません。

急がず、土台を崩さず。国も人も、続けることでしか行けない場所があるのでしょうね。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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