シンガポールが競争力ランキングで1位に

シンガポール

スイスの名門ビジネススクールIMDが6月18日に発表した2026年版「世界競争力ランキング」で、シンガポールが70の国・地域のなかで首位に返り咲きました。2024年に頂点に立ったあと、2025年はスイスに首位を譲って2位。2年ぶりの王座奪還ということになります。2位は香港、3位はスイスでした。

今回の記事ではシンガポールの強さと実情について深堀したいと思います。

(引用元:2026 World Competitiveness Ranking – IMD business school for management and leadership courses
https://www.imd.org/centers/wcc/world-competitiveness-center/rankings/world-competitiveness-ranking/)

シンガポールが競争力ランキングで1位に 

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2026年 09月30日

シンガポールの強さ

シンガポールの上位定着はもう見慣れた光景で、数字だけ見れば「また1位か」で終わってしまいそうですが、今年は中身が少し違います。ランキングは、経済データと世界のおよそ6,900人の企業幹部への調査を組み合わせて算出しているそうです。

電車が時刻表どおりに来る、という強さ

私はシンガポールで12年暮らし、いまはマレーシアに移って15年になります。両国を行き来していると、シンガポールの安定感を感じる場面が何度もあります。物価は世界でも指折りの高さで、暮らしは決して楽ではありません。駐在員が家賃の高さに絶句しているのが現状ではあります。

それでも、この島国が国際社会で存在感を保ち続けるのは、ルールが予測でき、約束が守られ、役所がきちんと動くという土台があるからだと実感しています。時刻表どおりに電車が来る、その当たり前が、実は競争力の正体なのかもしれません。

ものさしが「安さ」から「信頼」へ

今年のランキングで面白いのは、競争力を測るものさし自体が変わってきたという点です。IMDは、競争力の源が「コスト・規模・生産量」から「制度への信頼」へ移っていると分析しています。世界競争力センターのアルトゥーロ・ブリス所長は、世界の分断が進むなかで、独自の信頼できる制度を持つ国が優位に立つと語っています。

国際的な枠組みが揺らぐほど、自前の確かな仕組みを持つ国の方が、企業は安心していつもどおり事業を続けられるのです。そういう時代になった、というわけです。安さや大きさで競う時代から、信頼で選ばれる時代へ。そう言い換えてもいいのかもしれません。

シンガポールが首位に返り咲いた理由

シンガポールの返り咲きは、幅広い分野の底上げに支えられています。特に「ビジネス効率性」の伸びが引っ張りました。政府効率性は3位を維持し、インフラは順位を1つ上げて5位です。

反対に、前年首位のスイスは経済パフォーマンスが大きく落ち込み、2つ下げて3位。直接投資の流れが急に悪くなったことが響いています。世界一競争力のある国でさえ、地政学と投資の波から自由ではいられないということも、今年の結果は示しています。

派手さはないが堅実さが強み

マレーシアからコーズウェイ越しに眺めていると、シンガポールの強さは派手さではないと改めて思います。目立つのは、独立以来、地道に積み上げた制度への信頼です。また、それを確実に堅実に守っていく国民の強さです。

世界が揺れ、ホルムズ海峡の緊張が私たちの電気代や食卓にまで跳ね返る時代に、変わらないことそのものが強みになると強く実感するのです。急がず、けれど土台は崩さない。そういう国のあり方を、私は少し羨ましく思うことがあります。派手さはないけれども、毎日同じ時刻に電車が来て、約束が守られる。

その退屈なほどの確かさを、30年アジアで暮らしてきて私は何よりも信頼するようになりました。世界がこれだけ揺れる時代に、「変わらない」と言い切れることがどれほど贅沢か。シンガポールは、静かにそれを証明しているように見えます。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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