マレーシアが日本のIT職の給与を抜いた!

マレーシア

英国の人材サービス大手ヘイズが発表した「2026年ヘイズアジア給与ガイド」によると、IT部長職の給与最高額において、マレーシアが日本を上回ったと報告されました。日本はアジア5カ国・地域の中で最も低い水準となったとも書かれており、「最も低い」という言葉が刺さりました。

今回は、このショッキングな記事について探っていこうと思います。

(引用元:高度IT人材の給与、日本はアジア5カ国・地域で下位 ヘイズ調査 | 日経クロステック(xTECH)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/03141/

マレーシアが日本のIT職の給与を抜いた! 

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年07月06日

数字が語る事実

調査は2025年10月から11月にかけて、アジア5カ国・地域の社会人1万3,372人を対象に実施されたもので、1,200超の職種の給与を比較しています。IT職の管理職級のトップでは、日本は中国・香港・シンガポールとの差が顕著で、最高額に2倍以上の開きがある職種も目立っています。

さらに昇給の実績を見ると、過去12カ月で6%以上の給与アップを経験した割合は、マレーシアでは30%、日本は14%でした。「給与に不満がある」と答えた割合も、日本が5カ国の中でいちばん高かったと報告されています。

かつて「安い国」と呼ばれたマレーシアは、少なくともIT分野の上位職においては、日本を超える報酬になり始めているのです。

なぜマレーシアで、給与が上がったのか

マレーシアに来て最初の頃、私はシンガポールから国境を越えるたびに物価の落差に驚いていました。食事も交通費も家賃も明らかに安く、それが当たり前でした。

ところが今、クアラルンプールの中心部には高層コンドミニアムが次々と建ち、モントキアラやバンサーのカフェでは、外資系企業のIDカードを首にかけた若者がラップトップを広げています。その多くは英語と中国語で技術資格を持つITエンジニアたちです。

背景には、世界的な地政学の変化があります。米中の摩擦が長引く中、グローバル企業はリスク分散のために拠点や投資先としてマレーシアを選んでいます。インテルなど半導体の大手がこぞって投資を拡大し、ペナンを「東洋のシリコンバレー」と呼ぶ声まで出てきました。さらに、隣国シンガポールが電力や土地の制約でデータセンターの新設を制限したことで、ジョホール州にGoogleやMicrosoftが進出しています。

外資が入れば、外資の給与基準が入ってきます。それが今のマレーシアに起きていることです。

日本語の先生として、肌で感じること

私は日本語を教えています。毎日、マレーシアの若者たちと向き合っています。彼らは本当によく勉強します。英語・マレー語・中国語の3つを使い分けながら、その上に日本語まで学ぼうとしています。その姿を見ていると、「この国の人たちはどこまで伸びるのだろう」と思います。語学力というのは、給与の話と無関係ではありません。英語でグローバル企業と直接仕事ができるという強みが、マレーシアのIT人材の価値を押し上げている一因でもあるからです。

日本が直面している問題は、給与の数字だけではないでしょう。専門職に見合った報酬体系への移行が遅れていることや、英語に弱いこと、そして何より、「自分の価値を市場に向けて提示する」という習慣が薄いことだと思います。こうしたさまざまな課題が、静かに積み重なった結果が、今の数字だと強く感じています。

日本語が「武器」になる理由

街全体がいきなり変わるわけではありません。でも確実に、マレーシアは動いています。

このニュースを受けて私が思うのは、だからこそ「日本語」という専門性には価値があるということです。英語だけでは差別化できない時代に、日本語スキルを持つ人材の希少性は高まるでしょう。

「安い国」の終わり

今回のIT上位職での給与逆転のニュースは、単なる経済ニュースではありません。マレーシアで15年過ごしている者として、それは「時代が変化した」という感覚として伝わってきます。日本も、働く人の専門性に正当な報酬を支払うことを、もう先送りにはできないでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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