シンガポール・ジョホール経済特別区(JS-SEZ)開発

シンガポール

シンガポールとマレーシアは先日、シンガポールとジョホール州間の経済的な協力を強化するための取り組みの覚書に署名しました。

以前、シンガポールとジョホールバル間の高速輸送システム(RTS)の建設が順調で、予定通り2026年末までに運行を開始すること、シンガポール・クアラルンプール間の高速鉄道計画の復活について紹介しました。

今回の経済協力の調印で、両国間はさらに結びつきを強めていきそうです。

そこで今回は、両国間の結びつきの強さについて再び解説します。

シンガポール・ジョホール経済特別区(JS-SEZ)開発

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2024年 3月8日

重要な貿易相手国

両国は、お互いが貿易相手国として中国に次ぐ第2位、マレーシアにとってシンガポールは直接投資総額の2割強を占める重要な国です。

また、シンガポールと国境を接しているジョホール州は、製造業の対内直接投資のうちの約7割がシンガポールからの投資です。

ジョホールから通勤

シンガポールとジョホールバルとは、わずか1Km程度しか離れていません。

そこを毎日約40万人以上もの人々が国境にある2つの橋を渡って往来しています。勤通・通学者のみならず、荷物を載せたたくさんのトラックがシンガポールに向かっていき、シンガポールの人々の生活と経済を支えています。

シンガポールとジョホールバルとは、このように地理的にも経済的にも切っても切れない関係なのです。

開発の目標

経済特区の開発の目標は、シンガポールとジョホール間で物品や人の移動を強化すると同時に、このエリアで全体的なエコシステムを強化することを目指しています。

具体的取り組みとしては主に以下の項目があります。

・ビジネス投資サービスセンターの設置
・シンガポールからの投資に関する許認可の迅速化
・QRコードを使った出入国管理の導入
・通関手続きのデジタル化

また、共同声明に明記はされていませんが、この経済特区に誘致する重要産業として、電気電子、金融、ヘルスケア、ビジネス関連サービスなどが報じられていて、ジョホールバルの「イスカンダル計画」と同じ産業に注力しています。

イスカンダル計画に再注目

イスカンダル計画についても以前記事で紹介しましたが、ジョホール州南部にあるイスカンダル地域(総面積2,217平方キロ、東京都とほぼ同じ面積)に2006年から計画がスタートしています。

2005年時点でジョホール州のGDPの6割をこのイスカンダル地域が占めており、アジアを代表する高所得国シンガポールとの地理特性を活かして発展しています。

今回の経済特区は、おそらくこのイスカンダル地区もすべて含まれているものと予想され、さらなる総合的な発展を目指します。

(引用元:ジョホールのイスカンダル計画
https://global-biz.net/southeast-asia/singapore/johor-bahru-economic-zone-2022/#rtoc-6

インセンティブが成功の鍵

経済特区が成功するかどうかは、優先的に有するであろうインセンティブの種類と、政策が実際にどのように実行されるかによって決まるでしょう。

また、ジョホール州の政府が、どのような役割を果たしていくのかを明確にする必要があります。

両国首相のリーダーシップが重要

議論と計画をしっかりと実施のプロセスに移していくには、再び動き始めた両国間の高速鉄道計画のように、両国間の首相がMOUの進捗状況やさまざまな取り組みについて、定期的に最新情報をアップデートし、さらに利害関係者には、具体的な措置を講じるように圧力をかけなければならないでしょう。

シンガポールとマレーシアがお互いに協力的に補完しあうことで、両国、そしてこの地域がさらなる経済発展を遂げていくでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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