シンガポール 「超熟練」家事労働者の賃金が増加
超熟練な「外国人家事労働者」の需要がここ数年で30%近く増加していると、シンガポールの地元ニュースで伝えられました。
日本ではあまり一般的ではない”外国人メイド”ですが、シンガポールでは自宅でメイド(ヘルパー)を雇っている家庭も珍しくありません。
今回の記事では、シンガポールの「外国人家事労働者」の実態について解説します。
シンガポール 「超熟練」家事労働者の賃金が増加
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 10月25日
- シンガポールを拠点とするリゾートホテルグループ 日本初進出
- 月餅をお供えして神に感謝する「中秋節」 |中国
- シンガポール 「超熟練」家事労働者の賃金が増加
- 新鉄道開通で2300億円損失?シンガポール小売業界の危機と対策
「超熟練家事労働者」の需要が増加
ニュースでは、シンガポールでは人口が高齢化するにつれて、高齢者を介護するための、プレミアムで超熟練な外国人労働者の需要が増加していると伝えていました。
さらに、シンガポールでより良い賃金と雇用を得るために、自国で新しいスキルを学ぶメイドが増えているとも伝えていました。
フィリピン人の44歳の女性とのインタビューで、彼女はより良い給料と仕事を得るために、新しい技術を学んできたと応えていました。
賃金は10%増し
雇用主は彼女のような熟練の家事労働者には10%増しの賃金を支払うそうです。
シンガポールでの外国人の家事労働者の月収は、通常500~600シンガポールドル(約5.8~7.0万円)程度で、熟練の家事労働者は現在700シンガポールドル(約8.1万円)近くを得ています。
仕事が忙しいシンガポールの夫婦にとっては、このような熟練の外国人家事労働者を雇うことは、生活を営んでいく一定の条件になりつつあります。
「メイド」大国シンガポール
シンガポールには現在約25万人の外国人家事労働者がいます。これらの労働者は主にフィリピンやインドネシア、ミャンマーなどの近隣国から来ています。
彼らは家事全般だけではなく、子供や高齢者、障害を持つ家族の世話を担当しています。シンガポールの約5世帯に1世帯がメイドを雇っているとされ、多くの家庭で非常に重要な役割を果たしています。
なぜ「メイド」が一般的なのか?
では、なぜシンガポールでは外国人メイドを雇用するのが一般的なのでしょうか?
その理由には主に以下のようなものがあります。
①家事労働に対する価値観
シンガポールでは古くから家事を外部に委託することが一般的であり、社会的にも受け入れられています。家事労働者を雇うことは、家族の生活の質を向上させるための手段のひとつとして認識されています。
②住み込み制度
多くの外国人家事労働者は雇用主の家に住み込みで働きます。シンガポールの家庭ではメイド用の小さな部屋があるのが一般的で、これにより、雇用主の家事や育児、高齢者の介護などを24時間体制でサポートすることができ、雇用主も安心して仕事に専念できます。
③労働ビザの制度
シンガポール政府は、外国人家事労働者向けの労働ビザ制度を整備し、合法的に労働者を雇用できるようにしています。この制度により、家事労働者の権利と福祉を保護することができます。さらに、労働条件や健康診断、医療保険などに関する厳格な基準を設けて、外国人家事労働者の権利を守ることで、家事労働者の供給を安定化しています。
違法労働が蔓延
シンガポール労働省には、働く環境に関するメイドの相談が毎年多く寄せられていて、休憩時間はわずか30分、15~16時間も労働させていたケースもあり、違法労働が蔓延していることも事実です。
労働省では雇用ルールを厳格化し、その徹底を図っています。
雇用という対等な関係
外国人家事労働者を使用人としてではなく、仕事を依頼する相手という対等な雇用関係が成立することが望ましいでしょう。
雇用主側は規則をしっかりと遵守してメイドを人間として扱い、被雇用のメイド側もスキルアップをして自らの「熟練度」を雇用主に認識させ、対等なパワーバランスになることが必須でしょう。