チャンギ空港で自動運転バスの実証実験

空港運営会社のチャンギ・エアポート・グループが、2年間の実証実験を開始する契約を締結しました。
空港業務の生産性を自動化によって向上させる取り組みの一環です。チャンギ空港の制限区域内で、作業員を輸送するバスの自動運転の試験運用が2024年中に開始される予定です。
今回は、世界の中でも最も進んでいるシンガポールの自動運転の実態について紹介します。
チャンギ空港で自動運転バスの実証実験
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 2月21日
2段階で実証実験

チャンギ・エアポート・グループは、2段階で行われる実証実験で自動運転バスの運用性能、安全性などの自動運転機能を評価する予定です。
第1段階は約9ヶ月間、乗客を乗せない状態で、空港の管理された制限区域内で実施される予定です。
第2段階では非自動運転車両と同じように、実際に運用される環境でテストされます。
作業員の業務効率化
今回の実験は、自動運転によって空港内の作業員が日常的な運転作業を行う必要がなくなり、より複雑な作業に集中できるようになることを実証します。
第1、第2段階のどちらも訓練された安全ドライバーが常に乗車する予定です。
同グループの副社長のシュー氏は、「自動運転バスをチャンギ空港の業務に導入することで、空港内の車両数を最適化することができ、これにより生産性、道路の安全性が向上し、長期的には混雑が緩和される」と期待を述べました。
すでに試用運転段階
現在チャンギ空港には約 2,500 台の空港内車両が運用されています。同グループはすでに数年前から、空港内車両の一部で自律型の自動運転車両を試験運用していますが、人の輸送にはまだ使用されたことはありません。
チャンギ空港では、シングテル(シンガポール最大手の通信会社)と5G試験の一環として、手荷物を移動するための自律走行車の使用運転を進めています。新技術をテスト導入し、航空機の地上運用や保守サービスなどの生産性の向上を目的にしています。
積極的な自動運転技術の導入
シンガポール政府は同国を「スマート国家」へと進化させるために、自動運転技術の研究開発と実用化を強力に推進しています。
これは、限られた土地と急速な都市化に伴う交通渋滞、労働力不足問題を解決する手段として、自動運転が重要視されているためです。
積極的に実証実験
2016年から自動運転車のテストを行うために、西部の「One-North」地区にテストエリアが設けられています。このエリアでは、自動運転技術が都市環境でどのように機能するかをテストすることができます。
空港やビジネス地区での運行を目指し、2021年には自動運転バスの実証実験を行いました。2023年にもチャンギ空港周辺で自動運転シャトルバスのテストが実施されています。このテストは、利用者の安全性を検証し、将来的な商用化に向けた準備を進めるものです。
法整備
シンガポールは2017年に「道路交通(自動運転)法」を導入し、自動運転技術のテストや商業運転のための法的枠組みを整えました。
この法令は、テスト運転を行う企業に対する厳格な条件を設けつつも、技術の発展を妨げない柔軟なアプローチをとっています。
スマートシティでアジアのリーダーに
シンガポールは2030年までに自動運転の商用化を目指しています。
都市のより効率的な管理や、課題となる労働力不足への対応、そして「スマート国家」へと変革する道筋を築くために、自動運転技術は重要な役割を果たすと考えられています。
シンガポールのコンパクトで高度に発展した都市環境は、他国への技術輸出やモデルケースとしても有望であり、今後の展開が注目されています。