多国籍料理を楽しめるマレーシアに潜む健康問題とは

マレーシア

食べ物が美味しい国マレーシア。ですが糖尿病患者数が5人に1人、健康診断受診率は国民の約半数、約30%の幼児が発育不足といった、重大な健康問題が潜んでいるのです。このような実情から、最近では国民や政府の健康意識が高まりが見られます。マレーシアでの食事事情に触れながら健康問題について考えていきます。

多国籍料理を楽しめるマレーシアに潜む健康問題とは  

   著者:マレーシアgramフェロー Eri Uzurahashi
公開日:2023年12月27日

マレーシアのローカルフードの特徴とは

マレーシアは日本人が住みやすい国として有名です。その理由のひとつに食事に困らないというのがありますが、特に気を付けたいのが健康管理。マレー料理は日本人の口にも合い食べやすいですが脂っこい、甘いものが多く健康面が心配になることも。朝ローカルの食堂へ行くと、たくさんの揚げ物が並びます。野菜炒めや麺料理などにもかなり油が使われています。また、ローカル食堂などで販売される飲み物は甘いものが多く、お茶にも砂糖がたっぷり入っていてしばしば驚くことがあります。

マレー料理 ラクサ

マレーシア潜む健康問題とは

多民族国家のマレーシアでは、マレー料理、中華料理、インド料理などが揃いますが、実は重大な健康問題が潜んでいます。なんとマレーシア人の5人に1人が糖尿病に罹患(2019年時点)していて、東南アジアの中で一番の肥満国なのです。

さらには子どもの健康問題も懸念されています。最近保健省は親の所得に関係なく幼児の約30%が発育不足であると指摘しました。理由としては様々ですが、マレーシアは外食文化で料理をしない家庭が多いのです。女性も男性も働くのが当たり前なので、帰ってから晩御飯を準備する時間がないのでしょう。ファストフードで済ませる家庭もよく見かけます。場所を選べば家庭料理より外食で安く済ませることができてしまうので、外食を選ぶ家庭が多いようです。

また、親が働く間、幼児をプレスクールなどに預ける方も多いです。日本は管理栄養士が栄養バランスを考えて献立を決めていますが、マレーシアではあまり栄養バランスが良いといえない献立がよくあります。朝食を与えてくれるスクールもあり魅力を感じますが、内容はビスケット、パンケーキのみなど栄養面が心配になるものも。朝食は1日のエネルギーの源になるものですが、これでは幼児が発育不足になるのも納得です。

運動不足と健康診断受診率の低さも懸念

運動不足も健康問題のひとつと感じます。マレーシアは車社会なので歩道もほとんどなく、歩くこと自体難しい道路の設計です。移動は車で済ませることが多く、体を動かす機会があまりありません。

また、政府は健康診断受診率の低さを指摘しています。日本に住む会社員の場合、労働安全衛生法によって、健康診断実施の義務が定められています。ですが、マレーシアの会社では実施義務がないのです。国民の半数しか健康診断を受けず、健康問題に気が付くのが遅くなってしまうのが現状。現在は国会議員の中で健康診断の受診が義務とされ、意識改革が起こっています。

コロナ以降、国民の健康意識が高まる

最近では健康意識の高まりも見られます。Herbalifeが実施した調査によると、コロナ後に健康意識が高まったマレーシア人の割合は79%。その中でも52%が健康的な食習慣の構築を目標にしています。また、多くのマレーシア人が健康的な食品や栄養補助食品の購入の支出額を上げてもよいと考えているといいます。

実際にスーパーなどでは、オーガニック野菜コーナーが見られるほか、健康食品に特化した店舗も2022年にオープンしています。

(参考:79% Malaysians more health conscious after pandemic : Survey
https://thesun.my/local/79-malaysians-more-health-conscious-after-pandemic-survey-AA11339393

まとめ

マレーシアは住みやすい国とはいえ、食事や健康問題が心配です。マレーシアで生活する上で、日本人である私たちも気を付けていきたいですね。コロナ後から現地の方々の健康意識が高まり、健康食品に特化したスーパーが昨年オープンするなど少しずつ変化が起こっているので、今後さらに食事・健康問題が解決に向かうことを期待したいです。

Eri Uzurahashi

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マレーシア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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