イスラム教徒が約64%のマレーシアでのアルコール販売事情

マレーシア

イスラム教徒の信仰者はお酒を飲むことができませんが、マレーシアは多民族国家であり、海外からの移住者が多いため、アルコール飲料の市場規模は拡大傾向にあります。マレーシアのイスラム文化を理解しながら、アルコール飲料がどのように販売されているのかを見ていきましょう。

イスラム教徒が約64%のマレーシアでのアルコール販売事情  

   著者:マレーシアgramフェロー Eri Uzurahashi
公開日:2024年1月17日

「ハラル」「ノンハラル」とは

イスラム教徒の信仰者は、マレーシア国民の約64%を占めます。イスラム教徒には食事に関して様々な制限があります。

「ハラル」とは合法で許されているものを指し、「ノンハラル」とは非合法で許されていないものを指します。例えば、ノンハラルフードとして豚肉やアルコールが挙げられます。アルコールについては、ビールやワインの摂取が禁止されているだけでなく、調味料であるみりんや料理酒使用・摂取も許されていません。お菓子に入っている洋酒などもNGなので、お土産などで渡す際も気を付けなければいけません。スーパーでアルコール飲料や豚肉を購入する場合は、ノンハラルコーナーで購入可能します。基本的にはイスラム教徒以外の方がお会計をしてくれますが、もしイスラム教徒の方にレジでノンハラル商品のお会計をしてもらう際は商品に触れさせないのが鉄則のようです。

(出典:日本外務省 :外務省・マレーシア基礎データ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/malaysia/data.html

コンビニエンスストアでのアルコール飲料販売規制

2021年から現在にかけて、コンビニエンスストアや漢方薬店でのアルコール販売が制限されています。販売時間は午前7時から午後9時まで、販売できるのはビールのみです。レストランではカクテルやワインなどの提供が許されておりますが、販売時間は午前10時から午前0時まで。また漢方薬店での酒類販売には販売許可が必要で、宗教施設や学校などから100メートル以上離れた場所でしか販売できないという制限もあります。

2023年11月にローカルニュースが上記のアルコール販売制限が撤廃されると報道されましたが、その後クアラルンプール市役所はそういった事実はないと発表しました。

アルコール飲料市場規模について

では、イスラム教徒の多いマレーシアでは、アルコール飲料の需要は全くないのでしょうか。マレーシアは多民族国家であり、中華系が国民の約23%、インド系が約7%を占め、海外からの移住者も多いため需要があるといえるのではないでしょうか。

実際にアルコール飲料の市場規模を見ていきましょう。2023年のアルコール飲料市場の収益は8 億 7,060 万米ドルに達し、2023年から2028年にかけての年平均成長率は 5.93% と見込まれています 。現在一番支持されているのはワインで、2023年の市場規模は3億3,870万米ドル(市場の約40%)に達します。中産階級の増加によって高価なワインを楽しむ人が増えているようです。また、最近ではクラフトビールも人気を集めています。

(出典:Statista・Alcoholic Drinks – Malaysia https://www.statista.com/outlook/cmo/alcoholic-drinks/malaysia#key-market-indicators

まとめ

国民の約64%がイスラム教徒であるマレーシア。イスラム教徒の人々はアルコールを摂取することを禁じられています。ですが、中華系やインド系、在住の外国人には需要のあるアルコール飲料。今後ますます市場が拡大していくことが期待できそうですね。また、アルコール販売規制に関してのニュースも引き続き注目していこうと思います。

Eri Uzurahashi

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マレーシア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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