相次ぐ公共料金の値上げ|シンガポール
ウクライナ戦争などの影響で、世界的に原油高などが続き、世界各地で値上げラッシュが続いています。
日本でも、大手電力会社7社が2023年6月に電気代を値上げしており、昨年に続く値上げとなりました。
シンガポールでも、電気代とガス代が2023年10月から値上げされています。
今後も公共料金の相次ぐ値上げが予定されており、家計への負担がますます増大しそうです。
そこで今回は、シンガポールの公共料金の値上げの話題を取り上げ、生活コストが高いシンガポールについて解説します。
世界的に原油高などの影響でシンガポールも相次ぐ公共料金の値上げ
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年 11月17日
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電気代・ガス代値上げ
シンガポールでは「シンガポールパワー (Singapore Power )」という政府系の企業が、電気・ガス・水道などの工事や各種手続きなどを行っていますが、先日、2023年10月から12月までの3ヶ月間で、電気料金を平均で3.7%値上げする予定だと発表しました。また、都市ガスの料金も同時に2.3%引き上げられました。
値上げラッシュ
シンガポール政府はすでに、2023年の12月下旬から、バスやMRTなどの公共交通機関の料金を7%値上げすると発表しています。
また、今回の電気・ガス料金の値上げに前に、シンガポール・ポスト(シンガポールの政府系郵便事業者)が10月9日から郵便料金を値上げすると発表しています。
さらに、水道料金の値上げも発表されており、2024年と2025年の2回に分けて、現在と比べ18%の値上げが予定されています。
消費者の負担がさらに増える
前にこの記事でも紹介しましたが、長引くインフレの影響が、国民の食生活を守っている「ホーカーセンター」と呼ばれる集合屋台など、国民生活にもじわじわと波及してきています。
シンガポール政府は家計を支援する政策を打ち出し、生活に困窮する人が増えないようにしていますが、将来に不安を感じる国民も増えています。私の姪夫婦も、比較的高給を得ていながらいまだに車を購入することも購入を考えることもできず、子ども世代の生活を非常に心配しています。老後のマレーシアへの移住を考える方も増えています。
GST(消費税)が来年から8%に
2024 年の1月にはGSTと呼ばれる、いわゆる「消費税」が9%に引き上げられることが決まっています。
専門家は、インフレの影響がさらに厳しくなり、経済成長も鈍化することが余儀なくされると予測しています。
人材の流出
もともと生活コストが世界でも有数に高いシンガポールで、さらなる生活コストの上昇は、優秀な人材の海外流出、海外の優秀な人材の獲得にも影響が出ることにもつながりかねないと警告されています。
今後も急速なインフレが家計に大きな影響を及ぼす可能性が強まれば、政府はさらなる支援策に踏み切る可能性もあると考えられています。
人材が唯一の資源とされるシンガポールには、非常に厳しい未来となっていきそうです。
国民は投資で対応
この数年はインフレ傾向が続いていて、2022年にも、電気代が26.5%、食品は6.9%も値上がりしています。
そこで、国民は生活を守るために自身で対応をとっていて、そのひとつが投資です。
以前この記事で紹介したように、シンガポールの世帯月収の中央値が2022年には10,099シンガポールドル(約110万円)となり、初めて1万ドルの大台に乗りました。
これは、日本の世帯月収の中央値である約36万円の倍以上です。
現在は20%を貯蓄に回している家庭が多いですが、インフレが長引けば、支出のパターンを変え、投資に回す可能性が高いと専門家は予測しています。
これからシンガポールで暮らしていくには、金融リテラシー(情報を理解して活用する能力)が日本人も含め、より重要になってくるでしょう。