スペインで躍進する小売業MERCADONAにみる日本食材の可能性

スペイン

スペインではおそらく知らない人はいないであろう大人気スーパー・MERCADONA(メルカドーナ)がスペイン国内小売業売上首位をキープ、2023年現在も店舗数を増やし続けている。

今回は品質と価格で顧客のハートをガッチリ掴んで離さない主軸の4つのプライベートブランドにHACENDADO・Deliplus・Bosque Verde・Compyがある。その中のHACENDADOに進出している日本食材、SOPA MISO(インスタント味噌汁)にフォーカスし、人気の秘密を探ると共にまだまだポテンシャルを秘めている日本企業進出の可能性を探っていきたい。

スペインで躍進する小売業MERCADONAにみる日本食材の可能性

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2023年11月18日

スペインNo.1スーパー、メルカドーナの歴史と業績

現地スペイン人からも在日本人からも絶大な人気を誇るスーパー、MERCADONA(メルカドーナ)

1977年創業、筆者が住んでいるスペイン・バレンシア州に本拠地を置き、1981年には僅か8店舗だった店舗数が、2023年8月の時点でスペイン全土に1627店舗と大躍進中である。

2019年には隣国ポルトガルにも海外初進出を果たし、2023年の新規オープンが10店舗とこちらも順調に店舗数を増やしており、今年中に49店舗を有することとなる。

Retail-Indexによると、スペイン国内首位の同社の2021年の年間売り上げは€25.26billion(1€=¥159換算で4兆16億円)翌2022年には11%UPの€31billion(4兆9323億円)にも及び、2022年12月時点での市場シェアは27.4%。2位のCarrefourの7.6%を大きく引き離し圧倒的な存在感を示している。

日本国内で最大手の売り上げ約9兆円を誇るイオンの市場シェアが約16.1%であることと比較しても、スペインで最も成功したスーパーマーケットチェーンといわれていることがお分かりいただけるのではないだろうか。

(引用元:Mercadona https://www.mercadona.es

(引用元:European Supermarket Magazine | ESM Magazine https://www.esmmagazine.com/

(引用元:Statista – The Statistics Portal for Market Data, Market Research and Market Studies
https://www.statista.com/

(引用元:ダイヤモンド・チェーンストアオンライン :コロナ後のインフレが合従連衡誘発、食品スーパー市場占有率&上位ランキング2023
diamond-rm.net/market/market-share/415535/

メルカドーナが成功している理由

メルカドーナの大躍進を支える理由は主に以下の点が考えられる。

1.地元農家と提携し、新鮮なローカルプロダクトをリーズナブルな価格で提供
2.品質の良い低価格な4つのプライベートブランド(PB)

  □食品・HACENDADO
  □ヘルス&ビューティ・Deliplus
  □ホーム・Bosque Verde
  □ペットケア・Compy

3.従業員のトレーニングに多額の投資を行い、よりよい顧客サービスを実現
4.SDGsの積極的な取り組み
5.地域コミュニティとパートナーシップを結びサポート
6.オンラインショッピングのプラットフォームを確立

中でも今回はプライベートブランドの食品部門、HACENDADOとして現地でも人気があり日本人からも美味しいと評判のSOPA MISO(インスタント味噌汁)について詳しくみていきたい。

(引用元:Mercadona https://www.mercadona.es

現地でも高評価!SOPA MISO (味噌汁)

SOPA MISOが売られている様子

世界中で健康への関心が高まり、日本食材の認知度が上がる中、ここスペイン・バレンシアでも現地スーパーで入手可能なものが少しずつ増加中である。

メルカドーナで入手できる日本食材は
インスタント味噌汁、緑茶、わさび(チューブタイプ)、豆腐、抹茶、カップ焼きそば、冷凍枝豆、テリヤキソース、SOJA(醤油)などがある。

また、店舗によるがパエリアやトルティージャなどの総菜コーナーもある。

SUSHI(9.75€~10.75€)、チャーハン(4.5€)、YAKISOBA(4.5€)、テリヤキチキン丼(5€)、ポン酢のポケ丼(5.5€)など、アジアン弁当コーナーもなかなかのラインナップである。

今回はメルカドーナのホームページでも一押しのSOPA MISO(インスタント味噌汁)に注目する。

SOPA MISO
26.2g X 3pack
2.25€
35kcal / 1pack
Hikari Miso Co., Ltd ( ひかり味噌)

あたかも日本製のように見せて実は日本以外のプロダクトであるというのはよくあることで、そういった場合、往々にしてお味のほうも・・・となるわけだが、このSOPA MISOは日本でも人気の長野に本拠地を置くひかり味噌の商品であるという点にメルカドーナの本気を感じる。

実際、野菜だしのシンプルなワカメ味噌汁だがとても美味しい!

また、ひかり味噌(株)側の、各国の嗜好を研究し50ヶ国以上に展開している企業努力も相まって、品質に妥協しない姿勢が異国の地でのヒット商品につながっていると考えられる。

メルカドーナのホームページでは、原材料からアレンジレシピに至るまで、あますところなく味噌汁の魅力が紹介されており、アジアンフードに興味のない全くの味噌汁初心者のスペイン人でも購買意欲が高められるような内容となっている。

サスティナビリティな食品の購入・レビューが可能なabillionでもメルカドーナのSOPA MISOは37人のレビューの平均が★4.25(5段階評価)となっている。日本人でも納得の品質とカップにお湯を注ぐだけのお手軽さに加え、実際に購入した方のレビューの高評価も人気が出る一因であろう。

(引用元:Mercadona https://www.mercadona.es

(引用元:ひかり味噌株式会社 https://www.hikarimiso.co.jp/

(引用元:abillion :Find the best vegan food and products near you https://www.abillion.com

まとめ

今回とりあげたメルカドーナは、2025年までに本拠地バレンシアに大型冷蔵物流センターを完成させる計画で、今後もまだまだ躍進を続ける様相だ。

Sushi, Gari, Wasabi, Udon, Ramen, Umami など、日本語のまま世界的に認知されている食に関するワードが増え続けているにも関わらず、ここスペインではまだまだ入手困難な日本食材は多い。第二、第三のSOPA MISOになり得るチャンスは大いにあると考えられる。

個人的には、昨今日本でも大ブームのレンジで簡単に完成する冷凍うどん、ラーメン、パスタなどは現地でも人気が出るのでは?と考えている。

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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