日焼け対策は美容の一環 中国UVケア商品市場の急伸への道のり
最近の上海市は25度を超える日もでてきて、3月30日の最高気温は29度に達した。長い冬が終わり、やっと春の季節が訪れたと思った矢先に続々と各都市で夏入りする。中国の夏は、もうすぐそこまで来ている。近年中国ではUV対策商品が男女共に人気が高まり、販売数が増加している。本記事では、中国でUV対策商品が売れている背景や現状、人気商品について紹介する。
中国で紫外線対策グッズが男女ともに人気の理由とは
著者：上海gramフェロー 米久 熊代
公開日：2024年5月10日
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中国の夏とユニークな紫外線（UV）対策商品
中国のハワイといわれている海南島では、すでに30度を超える夏日が続いている。昨年の4月には広州や重慶が夏入り、5月には北京や天津、上海、成都、西安などの地域が続々と夏入りした。筆者が住む中国上海市は夏になると湿度と気温が非常に高く、40度に達する日もあり、猛暑日が続く。
そんな中国では数年前、主にビーチのUV対策に欠かせない商品として「フェイスキニ」が人気となった。見た目は覆面プロレスラーのようだが、日焼け止めクリームよりも紫外線や日差し防止に高い効果があり、クラゲなどの生物からも物理的に守ってくれるので、身に着ける人が増え、一時期ビーチの風物詩となった。
そして現在中国の夏の風物詩は、Tシャツを胸下まで捲り上げて腹を出すおじさん、真夏にも関わらず視界以外全身を布で覆い、徹底的な日焼け対策をするフェイスニキの現代版のような姿に変化した。日本に比べて、徹底的な日焼け対策をする人は圧倒的に中国の方が多いと感じる。
目以外を紫外線からガードするフェイスマスクや、頭から首にかけてカバーする紫外線防止ウェア、マスクをしていても血色の良い顔色に見えるUV対策冷感マスクなど、多岐に渡る商品が毎年続々とすごいスピードで販売され流行している。春先からはサンバイザーをつける女性が増える傾向にある。20代〜50代の中国人女性の知人にサンバイザーを所有しているか尋ねると、持っていない人の方が少ない結果となった。また、2023年は紫外線対策グッズの人気が爆発したという。
ECプラットフォームのデータによれば、広東省、北京市、江蘇省などの消費者がUV対策グッズを最もよく消費し、UV対策ウェア、UV対策マスク、UV対策冷感腕カバーなどは最近の一定期間の販売量が前期より50％以上増加した。また服飾製品のUV対策新製品の取引額は前年同期比180％増加した。
（引用元：人民網 http://j.people.com.cn/n3/2023/0703/c94476-20039022.html）
中国で紫外線グッズが度々話題に挙がり人気になる背景には、夏になると連日の猛暑日が続くほか、コロナ禍が明け在宅勤務する人が減ったこと、レジャーや旅行などで外出する人が増えたのが要因だと考えられる。また、中国では美容市場も成長していて、「美白」「アンチエイジング」などに効果のあるスキンケア商品が人気だ。UV対策グッズが人気になっている背景には、中国人の美意識向上も関係していると言えるだろう。
紫外線対策をするのは女性だけではない。中国では男性も美容に気をつかっている人が多く、特に若い男性はアームカバーやツバの広い帽子を身に着け、さらに日傘をさしている人も少なくない。こういった光景は上海市の街を歩けばよく見かける。
ここ数年は男性消費者のニーズも急速に増加し、男性用のUV対策ウェアやUV対策パンツなど、涼感や速乾性などを備えた多機能UV対策服飾製品が爆発的に売れている。ECプラットフォームのデータによると、2023年6月には男性用UV対策新製品の数が前年同期比2倍増加し、中でもUV対策ウェア、UV対策フィッシャーマンズハット、男性用大型日傘、アウトドア用の耳から首まですっぽり覆うフェイスカバーなどが好調な売れ行きであった。
（引用元：人民網 http://j.people.com.cn/n3/2023/0703/c94476-20039022.html）
中国の男性美容市場は数年前から急成長している。その背景には、韓国アイドルや人気オーディション番組などの影響により、美の価値観に変化が生じてきていることが考えられる。また、Z世代とその親世代では文化や価値観が全く違うことも関係している。親世代は、男性は経済力があることが正義で、結婚前にマイホームを購入することが伝統のような考え方がある。しかし、現代を生きるZ世代は結婚離れが進み、見た目を重視する傾向にあって親世代とは価値観が異なる。こうした様々な複合的な理由が、ここ数年の容姿を気にして紫外線対策をする男性の増加につながっていると考えられる。
中国では2024年も猛暑予測。今年も紫外線対策グッズの追い風となるか
中国国家気候センターの専門家は2024年の中国の気象状況について、エルニーニョ現象による猛暑や異常気象が増えるとの見方を示した。中国国営の中国中央テレビ（ＣＣＴＶ）が報じた。中国は2023年、1850年以来となる記録的な猛暑に見舞われた。気候センターの専門家は「2024年は一段と気温が上がり、異常気象も頻発に発生し、より深刻になる恐れがある」と述べた。
（引用元：REUTERS https://jp.reuters.com/world/china/6PENMNPVAFNENMMLDPA5XSICXE-2023-12-26/）
中国のSNSでは、日焼け対策の可愛い着こなし方がちょっとした話題となっている。特にサンバイザー、サングラス、マスク、UVカットパーカー、日焼け止めクリーム・スプレーの投稿が目立つ。ECサイトの口コミを見ると、すでに紫外線対策として様々な商品を買う消費者がでてきている。今年も猛暑が予測される中国で、紫外線対策グッズは更に人気となることが期待される。
