ブータンに日本の100円均一店が急増!課題も浮き彫りに

ブータン

ブータンの首都ティンプーには、近代化の波が押し寄せ、人口が右肩上がりに増加している。近年、日本の100円均一の商品を扱う店が4店舗も開店しているが、まだブータン人に根付いていない。輸入品であるため、ブータン人にとっては高価であるため、需要はまだ限定的である。また、商品に書かれた説明が日本語のみであり、使用方法が分からないことが多い。店内の商品ラインナップも、ブータン人の需要に合っているかは疑問が残る。
お店の紹介とともに筆者が考える現時点での問題についてお伝えする。

ブータンに広がる日本の100円均一

   著者:ブータンgramフェロー よう 
公開日:2023年5月7日

ティンプーに増える日本製品の店

ブータンの首都ティンプーに近代化の波が押し寄せている。医療、生活、教育等どの面を見てもやはりティンプーが進んでおり、国中から人が押し寄せ、首都の人口は右肩上がりである。ここ数年は特に増える人口に伴い新しい家がひっきりなしに建てられ、新しい店も増えている。日本の商品、主に100円均一の商品を取り扱う店はここ数年で4店舗あるのを確認した。店舗の中は日本の100円均一とそう変わらず、商品のラインナップは食品雑貨や文房具、ペット商品、子どものおもちゃなど多岐に渡る。

見える課題点

やはり輸入品なので商品の値段は高く、日本の2〜3倍である。ブータンで暮らす日本人からすると、多少高くても便利で使い慣れている100円均一の商品が手に入るとなれば購入する人は多い。しかしブータン人にとっては高いと感じる人が多い。一人当たりのGDP(国内総生産)で比べると日本は40,048米ドル、ブータンは3,000米ドル(2020年:世銀調査)である。その差約13倍もあることを考えると、ブータン人が頻繁に購入できる値段ではないことがわかる。

値段が高くてもその価値があれば、もちろん購入する人は増える。実際、日本製品は質の高さで人気があり、UNIQLOや象印はブランド知名度も高く、高価だが購入している人が多い。しかし100円均一の商品は使い方を理解できず、値段の割に質が高いことも広まっていないように感じる。商品に書かれている説明も日本語のみで、ブータン人は購入しても使用方法がわからないだろう。

店内の商品のラインナップはかなり多い。しかしブータン人の需要に合っているかは疑問を感じる。例えばブータンには海がない。川はあるが冬は水温が低く、夏は増水するので水泳を楽しむ人はほとんどいない。スイミングプールもホテル等に限られており、日本のように友達と泳ぎを楽しむような文化はない。しかし100円均一には日本で最近人気の大きな浮き輪が何個も売っている。ブータン人の需要を把握し、それに合わせた輸入を検討する必要があるだろう。

ティンプーに暮らす若者はオシャレなものに関心がある人が多い。実際便利な日本製品のお店よりも若者たちは中国のMINISOによく訪れている。キャラクターものやカラフルで可愛い小物が多いMINISO商品は、若者だけでなく大人からも人気で、人々はバッグや雑貨を購入している。100円均一の商品は便利で日本人の生活には根付いているが、ブータン人に広まるにはまだ時間がかかるようである。

今後の展開

ブータンの人々はSNSの利用率が高い。日本でもSNSで紹介されている商品が売り切れるなど、SNS戦略は主流となりつつある。今後SNSを通じてブータンの人々に日本製品の便利さが伝われば、購入する人は増えていくだろう。また、さらに店舗数が増えることで興味を持つ人が増える可能性もある。近代化が進むにつれさらに便利な生活を求めるようになるだろう。ブータンでの生活に日本製品が根付いている未来は近いかもしれない。

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