紅茶王国アイルランド、日本茶の新たな地位を探る
アイルランドでは国民1人当たり年間で紅茶を約2,000杯も飲む、世界有数の紅茶文化が根付いています。こうした濃厚な紅茶流儀に加え、近年は様々なフレーバーティーやグリーンティーの需要も高まっています。
そんな中、健康食品店では日本の緑茶や番茶なども取り扱われるようになってきました。アイルランドでは日本茶を”MATCHA”や”SENCHA”と呼び、オーガニックや高級な健康飲料としての位置づけが強いようです。
長年に渡る紅茶文化の中で、日本茶はどのように受け入れられ、新たな価値を見出されていくのでしょうか。アイルランドにおける日本茶の新しい可能性が注目されます。
濃い紅茶に匹敵する存在か? 日本茶のアイルランド進出
著者:イギリスgram fellow リリーゆりか
公開日:2024年3月19日
アイルランドの紅茶消費量は世界2位!
紅茶が有名な国といえばイギリスを思い浮かべる人が多いかもしれない。アイルランドは長い間イギリスの支配にあったため、やはりイギリスの影響が大きかったのだが、面白いことに現在はイギリス以上に紅茶を飲む国として名前が挙がっている。
年間の国民ひとり当たりの紅茶の消費が世界で最も多い国は実はトルコ。それに次いで2位がアイルランド、3位がイギリス。アイルランドでは1日平均6杯の紅茶を飲む。
(参考元:Which Country Drinks the Most Tea : Kent Tea & Coffee Co
https://www.tea-and-coffee.com/blog/which-country-drinks-the-most-tea#:~:text=Kent%2Dbased%20factory.-,Conclusion%20%2D%20What%20Country%20Drinks%20the%20Most%20Tea,%2C%20Chile%2C%20Egypt%20and%20Poland.)
(引用元:味わうケルト・紅茶|ケルティック・ジャイア|Celtic Gyre
https://plankton.co.jp/gyre/taste_tea.html)
(引用元:Irish Tea Culture- Warming Hands And Hearts
https://www.enjoy-irish-culture.com/irish-tea-culture.html)
アイルランド流、紅茶の飲み方
アイルランドの紅茶文化は、イギリスと違ってかなり濃く出すのが特徴である。1つのティーバッグからはかなり濃いめのお茶が出るようブレンドされているのに加え、熱いお湯で長めに蒸らす。ティーバッグを2ついれる人もいるぐらいである。そこにアイルランドの新鮮なミルクをたっぷり加えて、大きなマグカップでクッキー(正しくはビスケットと呼ぶ)と共に頂く。朝起きた時、家に誰かが来た時、仕事の合間などいつでも「お茶はいかが?」な文化である。
アイルランド紅茶の歴史
アイルランドの紅茶文化の歴史は1800年初頭にさかのぼる。イギリスは中国を介して紅茶をインドから輸入していて、紅茶は上級階流の飲み物であったが、アイルランドは関税が低かったので最初から庶民の飲み物として広まった。
その後、1900年代にアイルランドで初めて直輸入の会社が設立され、仲介のイギリスを排除。産地から直接輸入するようになって良質な紅茶が手に入るようになり、独自の紅茶文化を展開した。
イギリスの支配下にあったアイルランドは、紅茶の輸入に対してもイギリスにコントロールされていた。アイルランドの輸入用に回される紅茶は品質が悪かったため、ミルクや砂糖をたっぷり入れて味をごまかしていたとされている。その文化が今でも長く引き継がれている。
(引用元:Irish Tea Traditions & Customs: A Brief History | Sips by
https://www.sipsby.com/blogs/tealover-101/irish-tea-traditions)
健康食品店で見られる日本のお茶
お茶といっても紅茶だけではない。健康食品店では特に様々なフレーバーティーや日本茶が手に入る。ほうじ茶や緑茶などの日本茶が、少し値は張るが健康食品として売られているのは興味深い。スーパーなどで見かけるグリーンティーは、基本的にジャスミンティーのような味わいで、日本の緑茶とは全く異なる。日本でいう緑茶は、ヨーロッパではMATCHAやSENCHAとして展開されている。Clearspringという日本のオーガニック食品を扱うイギリスのメーカーの商品を見かけることが多いが、日本のメーカーのお茶はほとんどと言っていいほど見ないのが現状である。日本のお茶にも一定数のファンがいることに間違いはないのだが・・・
(引用元:Our Story – Clearspring https://www.clearspring.co.uk/pages/our-story)
まとめ
アイルランドで定番であるブラックティーを筆頭に、現在では様々なフレーバーティーがスーパーだけでなく雑貨屋さんでも売られている。アイルランド人にとってお茶とは、コミュニケーションであり、おもてなしであり、長く築いてきた文化である。アイルランドにおける日本茶は、どちらかといえば健康志向・高級というイメージがあり、そのようなブランディングの店舗では取り扱われている。