シンガポールの中秋節 – Mooncake Festival –

シンガポール

中華系の国民が全体の70%以上を占めるシンガポールでは、中秋節は中国系の大切な年中行事のひとつです。
中国では旧暦の8月15日、家族や親しい友人たちが集い提灯を灯し、月を見ながらお菓子「月餅」を食べる習慣があります。
現在では、日頃お世話になっている人に月餅を贈るのが習わしになっています。
中秋節の1~2ヵ月ほど前から、デパートやショッピングモールには特設売り場が設けられ、中華系のレストランや有名ホテル、洋菓子店などの月餅が売られます。
そこで、今回はシンガポールの中秋節と月餅について解説します。

シンガポールの中秋節 – Mooncake Festival –

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年9月2日

中秋節の歴史

中国の周王朝時代、古代の皇帝たちが、収穫の月を祭ることで翌年の豊作をもたらすと信じ、月の女神にお供え物を捧げたことが中秋節の起源といわれています。
月が最も明るい時に明るい月を拝み、共に食事をすることが、幸運と幸福をもたらすと信じられてきました。
北宋時代(西暦960〜1279年)には、旧暦の8か月目の15日(太陽暦では9月または10月上旬)が、「中秋節」として制定されて以来3000年以上、中秋節は中国系の人々にとって旧正月に次ぐ2番目に重要な祭りとして受け継がれています。

餅の歴史

中秋節といえば月餅が欠かせません。長い歴史の中で中秋節のお供え物だった月餅を、一般的に食べる習慣がはじまり、月餅と呼ばれだしたのは唐中期の頃といわれています。
月餅を食べる伝統は、一説には、モンゴル帝国によって統治された元王朝から始まったとされています。その当時は、モンゴル帝国に対する反逆のメッセージが月餅に込められていたといわれています。反モンゴル勢力の間で、軍隊へ秘密裏に指令を伝える手段として月餅の中に手紙を隠し送り、受け取った側は月餅を食べて情報を隠滅するという方法をとっていました。情報を4つの月餅の表面にパズルのように刻印して送り、受け取った側はそれを4つに切り、16になったパーツを組み合わせて情報を読み取り、その後食べて情報を消したという説があります。

バラエティ豊富な月餅

中秋節の目玉ともいえる月餅。
小豆や蓮のあんこと卵の黄身を入れて焼いたものが、伝統的な月餅です。
餡の中にクルミやナッツ類、黒ゴマが入っているものもあります。
最近では味もバリエーションも増え、焼いてないお餅のような生地の白いタイプも出ており、ドリアン味やライチ味、抹茶やチョコレート味、チーズ味の餡まであります。

ランタンのライトアップ

シンガポールの中秋節は、ランタンを展示しライトアップするイベントが各地域で催されるなど、毎年欠かせない行事となっています。
月への感謝と未来への祈りを表すランタンのライトアップ。毎年変わるテーマに合わせたランタンの展示がみどころです。
代表的なランタンのライトアップは、やはりチャイナ・タウンのライトアップです。
チャイナタウンでは、通りに沿って700個の彫刻が施されたランタンが飾られ、毎年大賑わいです。その年のテーマを描写したランタンなどが飾られ、毎日夕方から深夜までライトアップが楽しめます。

中華圏の独特のお祭り

中秋節や月餅は、シンガポールだけの文化ではありません。中国本土や香港、台湾、マレーシアなど、中国人の住む国ではごく普通に行われている行事の一つです。日本にもありますね。
中国人のいるところには「月餅」があるといっても過言ではないくらい、中国系の移民とともに月餅は世界中に広がっています。
大きさや食感、風味も日本のものとは全然違います。バラエティも豊富で楽しいので、ぜひトライしてみてください。


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