日本ブランドが人気を集める中国の飲料市場

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中国上海市に熱い夏がきた。ドリンク店にあるポスターは夏の新商品に次々と入れ替わり、喉を潤したい、期間限定の味を楽しみたいなどという客たちが商品を買い求めていた。近年中国では飲料市場が急成長し、2024年には1兆3000億元(約23兆5543億円)を超えると予想されている。人気の芸能人を起用したり、業界の垣根を超えたブランドとコラボ合戦をしたりと飲料市場競争は高まっている。当記事では中国で人気のある日本ブランド飲料と、成長が止まらない飲料市場について紹介する。

日本ブランドが人気を集める中国の飲料市場

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年7月29日

現在もドリンク一杯が50分待ち

中国で最も人気で話題性の高いティードリンクチェーン「喜茶 KEYTEA」。オープンすると何時間も行列に並ぶのは当たり前だった。オープンしてから数年経つ現在も、筆者が住む近所の店舗ではドリンク1杯を受け取るまでなんと50分もかかった。店内には客が数人しかいないにも関わらず、スタッフは次々とドリンクを作り殺伐とした雰囲気。「デリバリーの注文が多いためオーダーが間に合わない」と従業員は教えてくれた。

20代の中国人知人がほぼ毎日飲んでいるマンゴードンリンクが人気の「7分甜 SWEET7」も「喜茶 KEYTEA」と同じような状況だった。店内に客は居なかったが、デリバリー注文が多いため、店内でドリンクを受け取るまでに注文してから30分以上かかった。

上海市では連日40度を超える猛暑が続き、新型コロナウィルスの影響で外に出ることを控えるため、筆者の周りでもデリバリーを利用する割合が圧倒的に多い。飲料に限らず飲食デリバリー需要の高い中国だが、まさか大ブームが過ぎた現在もドリンク一杯に50分待ちとは、中国の飲料消費の成長を感じずにはいられない。中国ではローカルブランドだけではなく日本ブランド飲料も人気を集めている。

日本ブランド飲料が中国で大ヒット

(出典:小紅書)

日本ブランド飲料といえば、サントリー烏龍茶は中国でも健康志向の若者の生活に浸透しており、冷蔵庫の飲料がすべて烏龍茶だと投稿する人もいるくらいだ。スーパーやコンビニはもちろん、動物園にある屋台でもサントリー烏龍茶は販売されている。中国といえば「王老吉」や「冰紅茶」などの甘いお茶のイメージだが、中国で販売されているサントリー烏龍茶も「低糖」と表記のある烏龍茶は甘い。筆者を含め周りの日本人の多くが、初めて甘い烏龍茶を飲んだ時にその味に衝撃がをうける。日本で馴染みのある無糖の烏龍茶も中国で販売されていて、40代の中国人の友人は「もう少し甘くても良いと思うけど、若い子は好きだと思う。健康にも良さそう」と言っていた。健康ブームの中国では、少し前にサントリー烏龍茶を牛乳で割ったお茶がヘルシーで美味しいと中国SNSで大バズり。多くの若者が買い求めては牛乳割り烏龍茶を飲みSNSに投稿。さらにサントリー烏龍茶の認知度を広めることとなった。

ローカルブランドのペットボトル飲料が約4元(約80元)~6元(約120円)で販売されているの対し、サントリー烏龍茶は約4元(約80円)と商品によっては中国ブランドよりも安く購入できるのだ。

(出典:小紅書)

アリババが運営しているスーパー「盒马」のネット売上ランキングお茶カテゴリーでは、サントリー烏龍茶の他に伊藤園の「お~い お茶」や「大麦茶」も人気である。また、機能性飲料の売上ランキングでは大塚製薬の「ポカリスエット」が堂々の1位、ミルクティー部門ではキリンの「午後の紅茶」が2位となっている(2022年7月17日現在)。乳酸菌飲料ではカルピスやヤクルトが人気で、カルピスはカフェなどの飲食店で他フレーバーと合体させた商品や、カルピス単体でも販売されているのをよく目にする。また、中国のSNSではヤクルトを使ったオリジナルの飲み方や、「コーヒーとバツグンの相性」と明治の牛乳が話題となっていた。

Z世代が牽引する中国の飲料市場

「2021年Z世代の食品飲料消費リポート」によると、1995年生まれ以降のZ世代2億6000万人のうち、飲料のヘビーユーザーは93%を占めている。若いZ世代は新しい飲料への関心が高く、低脂肪、低糖、低カロリーのヘルシーな飲み物を好むという。

第一財経(China Business Network)商業データセンターとオンラインモールの天猫(Tmall)が発表した「2021年飲料消費動向リポート」によると、飲料市場は2019年に9914億元(約17兆9629億円)に達し、2024年には1兆3000億元(約23兆5543億円)を超えると予想されている。
(引用:AFP BB News https://www.afpbb.com/articles/-/3384973

(出典:小紅書)

ヘルシーな飲み物といえば、中国ではオーツミルクやアーモンドミルクなどの植物性ミルクが人気を集めている。環境にやさしいことが若年層の好感を得たこと、また近年の健康志向とコーヒーブームが相まって植物性ミルク市場の追い風となっている。中でもスウェーデン発のオーツミルク「OATLY」は中国の植物性ミルク市場で大躍進を遂げた。一般の中国人の生活に浸透しつつ、「スターバックス」や「喜茶 KEYTEA」「マクドナルド」など大手飲食チェーンともコラボをしているのだ。

ニールセンの調査によると、2020年に入ってからオーツミルクは食品・飲料品の中で最も急速に成長しているカテゴリとなり、オーツミルクを製造するブランド「Oatly」の天猫Tmallとタオバオにおけるその売れ行きは、昨年の同月に比べて今年の1-4月期にそれぞれプラス115.4%、2305.7%と、大躍進を見せました。

(引用:マナミナ https://manamina.valuesccg.com/articles/1189

ペットボトル飲料に参入する人気ドリンク企業

近年、中国ソフトドリンク大手の娃哈哈(Wahaha)や王老吉(Wanglaoji)をはじめ多くの飲料メーカーがティードリンク業界に進出している。一方、ティードリンクショップの大手チェーン、「喜茶HEYTEA」や「奈雪的茶 Nayuki」はペットボトル入り飲料の販売を始めている。

喜茶の担当者は『ボトル入り飲料分野に参入することで、コンビニやスーパー、eコマースを通じてより多くの消費者にたどり着ける』と説明。店頭のティードリンク販売と並行してビジネスを展開する。

(引用:AFP BB News https://www.afpbb.com/articles/-/3384973

左:当店人気No.1と書かれていた葡萄ティー18元(約360円)右:無糖乳酸菌炭酸飲料4.9元(約100円)

「喜茶 KEYTEA」では現在、期間限定でペットボトル飲料の「买一送一(1本購入するともう1本は無料)」キャンペーンを実施している。筆者が訪れた店舗にはペットボトル飲料が12種類あり、その内5種類が無糖の炭酸飲料となっていた。近年の炭酸水市場拡大と健康志向ブームを意識した商品と考えられる。店内にいた家族連れの2グループが、キャンペーンを見て無糖炭酸のペットボトル飲料を購入し、どちらのグループも40~60代と見られる女性が飲んでいた。ペットボトル飲料が喜茶 KEYTEAにもあるということを、消費者へ着実に認知させることに成功していた。

筆者が飲んだマスカットフレーバーのペットボトル飲料は、ほんのり甘くヨーグルト風味で、暑い夏にぴったりの爽やかな味。一部のペットボトル飲料に含まれる食物繊維は、成人が必要とする摂取数の約30%を満たしてくれ、内臓脂肪を低減させるなどの効果があるホエイエキスが1000㎎入っている(筆者調べ)。喜茶 KEYTEAは冷やして飲むことを推奨しているが、常温でも十分に美味しかったため、若年層だけではなく冷たい飲み物を避ける世代にも受け入れられるのではないかと感じた。喜茶 KEYTEAのドリンクが15元(約300円)~28元(約560円)するのに対し、ペットボトル飲料は4.9元(約100円)~7.9元(約160円)と低価格。さらに作る工程がないため、客は比較的早く飲み物を受け取ることもできる。

まとめ

近年、急成長している中国の飲料市場には日本ブランド飲料も広く浸透し、大ヒットした商品もある。ヘルシーだったり、健康の保持・増進に役立つとされていたりと、近年の健康志向ブームに沿う商品は特に人気を集めている。また飲料に限らずだがSNSの活用必須といえる中国市場では、消費者に商品の使い方を決めてもらう「使いやすさとイマジネーション」をブランディングすることが今後も重要になってくるだろう。

 

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