ジョホール州のGDPシェア 12%を超える可能性

マレーシア南端のジョホール州が、マレーシア経済の主役のひとつとして注目を集めています。 CIMB証券の最新レポートによると、ジョホール州とシンガポールが共同で開発を進める経済特区(SEZ)への投資が計画通りに進めば、2030年までにジョホール州がマレーシア全体のGDPの12%以上を占める可能性があるとのことです。これは、現在の約9.6%という比率から大幅な上昇を意味し、州としての存在感が一段と高まることを示唆しています。
今回は、あらためてこの経済特区について解説します。
(引用元:CIMB証券の最新レポート
https://www.nst.com.my/business/economy/2025/07/1238810/johors-gdp-share-could-exceed-12pc-2030-says-analyst)

ジョホール州のGDPシェア 12%を超える可能性
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年02月05日
ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)とは

JS-SEZは、両国の強みを生かして経済活動を広げる取り組みです。シンガポールが持つ高度な資本力や技術力と、ジョホールが誇る広大な土地、豊富な労働力、安定したエネルギー供給を組み合わせ、国境を越えた相乗効果を狙います。
この経済特区の面積は約3,588平方キロメートルに及び、シンガポールの国土の5倍以上というスケールです。大規模プロジェクトとしても異例の注目度を集めています。
現在のジョホール州経済の規模
マレーシア国家統計庁のデータによれば、2024年時点でジョホール州のGDPは約1,580億リンギット(およそ5.5兆円)。これがマレーシア全体のGDPに占める割合は約9.6%です。これだけでも国内上位に入る経済規模ですが、今後の投資効果によりさらに大きな飛躍が期待されています。
データセンター投資が成長をけん引
とりわけ近年、ジョホール州ではデータセンター関連の投資が急増しています。2024年には建設業が前年比42.7%の成長を記録し、サービス業も6.0%増と堅調でした。
2025年の第1四半期にはすでに301億リンギット(約1兆500億円)相当の投資が認可されており、その大半を占めるのがシンガポールからの資本です。こうした流れが今後数年間続けば、ジョホール州の経済成長はさらに加速するでしょう。
なぜジョホール州なのか?
この地が特に注目されているのは、いくつかの明確な要因によるものです。
まず、シンガポールに隣接するという地理的優位性があります。両国間の人やモノ、資本の移動がスムーズに行えるため、物流やビジネス展開において大きな強みとなっています。
これまでに整備されてきたIskandar特区やForest Cityなどのプロジェクトにより、インフラや土地開発が進んでおり、受け入れ体制も万全です。
さらに、製造業や建設業、農業、サービス業といった多様な産業構造が形成されており、近年はデジタル経済やAI関連分野などへのシフトも進んでいます。
人材と教育体制の整備が急務
一方で、急成長にはそれに見合う人材の確保が欠かせません。特に高度なスキルを持つ技術職やマネジメント層の需要が高まる中、地元の人材がそれに応えられるかが問われています。
教育機関との連携や実践的なスキル教育の導入、必要に応じた移民政策の見直しなど、量と質の両面からの人材戦略が求められます。
インフラと環境への負荷
経済成長が進む中で、電力や水資源といったインフラへの負荷も無視できません。特にデータセンターは膨大なエネルギーと冷却水を必要とするため、地域のインフラ供給に対する慎重な設計が必要です。同時に、環境への影響評価(EIA)を徹底し、経済と自然が両立する持続可能な開発モデルを描くことが重要になります。
シンガポール依存からの脱却も課題
ジョホール州の発展がシンガポールとの連携に大きく支えられているのは確かですが、あまりに依存度が高まると、金融政策の変動や地政学的リスクの影響を受けやすくなります。
将来的には欧米やASEAN諸国、中東など他地域からの投資を誘致することで経済の多角化を進め、より強靭な成長モデルを構築していく必要があるでしょう。


















