特集:世界では東京五輪についてどのように報道されているのか?(中国・前編)

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世界では東京五輪についてどのように報道されているのだろうか?
日本のオリンピック開催に向けての取り組みや実態に対し、海外メディアはどのような評価をしているのかを世界の媒体でのニュース記事をリサーチし考察した。

中国・前編

オリンピックはスポーツを通した人間育成と世界平和を目指すことを掲げ、57年ぶりに東京に戻ってきた。しかし2019年12月に新型コロナウィルスが蔓延、2020年に予定されていた東京五輪は延期となる。世界中が注目するオリンピックがこの異例な事態になってしまい、開催国である日本が対応を余儀なくされた。
日本のオリンピック開催に向けての取り組みや実態に海外メディアではどのような評価をしているのかを紐解くため、本稿では中国のニュース記事を4つ抜粋し、考察した。

  著者:gram フェロー
公開日:2021年8月24日

中国では東京五輪についてどのように報道されているのか?

中国のニュース記事の調査の結果、中国は日本を冷静にみていることが伺える。
大坂なおみ選手がテニス女子シングルス3回戦で敗退しSNSなどで叩かれたことについて、単一民族国家の日本という見方で矛盾を指摘している。また日本がオリンピックでの経済効果に期待していたが観光業は思わしくなかった事、その代わり小売などでビジネスチャンスが生まれたことなどが綴られている。
その他には、コロナなどの新規感染者数が増える中での五輪のコロナ対策、効果などにも言及している。
1年後に冬季の北京オリンピックが開催される中国にとっては、東京五輪でのコロナ対策や課題は良くも悪くもお手本になるところが多くあったのではないだろうか。

日本人にとっての東京オリンピック 訳なき「愛」も「恨み」もない

(日本人对东京奥运会 没有无缘无故的”爱”与”恨”)

7月27日、聖火リレーの最終走者大坂なおみがテニス女子シングルス3回戦で負け、SNSで散々言われることになる。「汚点」という人まで現れた。なぜ、たった1回の試合を負けただけでここまで叩かれるのか。 大坂なおみに対する論争は今に始まったことではない。彼女は以前の大会で会見を拒否・辞退し、その理由は長い間うつ症状に悩まされているからだと言い、選手のメンタルヘルスへの関心を呼び掛けている。また、アメリカで人種差別に関して声を上げるなどの活動をしてきた。しかし、これらの件で不満に思う日本人は少なくない。「わがまま」「日本人なのに黒人のためにあれこれする」などの評価を目にする。日本の論調は大坂なおみに対していろいろな不満があるように見えるが、その裏には彼女の「人種」があった。 この件から、単一民族国家の日本では、国民の「ハーフ」に対する矛盾している見方が読み取れる。一方、大坂なおみと似た背景を持つ人々は、自身の人種的な特徴でファッション界やアスリート界で活躍しており、多くの人に崇拝されている。しかしもう一方で、日本の人々は彼らを心から内側の人間として見なしてはいない。皮肉なことに、大坂なおみが聖火リレーの走者に選ばれた理由は、日本政府が示したい、日本社会の多様性を表したかったからであった。
观察者網: https://www.163.com/sports/article/GGA9EKMM00059BF9.html

(東京オリンピック)日本消費市場のオリンピック要素を解説

((东京奥运会)盘点日本消费市场的奥运元素)
日本の消費市場では「商戦」という言葉がある。毎年、季節行事の時期になると「商戦」の大波がくる。そして今年は「五輪商戦」がテーマになっている。 3月に海外の観光客の受け入れをやめたことで、観光業界に1500億円もの損失が出たと言われている。しかし、同時に新たなビジネス機会も生み出されている。テレビを代表とする家電、小売りや出前、四連休の影響など、ビジネスの転機が見られる。オリンピック開幕以来、流通・サービス業界では五輪需要がみられ、日本のGDPの成長効果は3000億円と推算される。
新华社 : https://ishare.ifeng.com/c/s/v002aMZROS2ovY9yr4IUBX0019rANX37pwEARG43RiDEEIs__

(東京オリンピック)東京オリンピック委員会:6人が感染症対策違反で資格剥奪

((东京奥运会)东京奥组委:6人因违反防疫规定被注销奥运证件)

東京オリンピック委員会は8月1日、五輪関係者6人(うち選手2名)が感染症対策違反で参加資格を剥奪されたと表明。オリンピック開幕以降で初めて、東京オリンピック委員会が違反行為に対する処罰を明らかにした。うち2名の選手はメダルを獲得した。処罰で日本を離れたが、メダルを取り消されることはない。
新华社 : https://ishare.ifeng.com/c/s/v002P5mtnUr7IUdWSFg5ongTaz6Lb8JP1-_S-_I5H9dVqJWnQ__

オリンピックの盛況 コロナ感染状況に対する温度差

(东京奥运随笔:奥运热情似火 疫情“内外”不同)

オリンピック情緒が燃え盛る一方、五輪区域外のコロナ情勢は芳ばしくない。これが今の東京の現状である。7月31日、東京における感染者数は初めて4000人を超えた。日本のコロナ状況が楽観視できないのに対して、五輪区域内の感染状況は始終低いレベルに維持されている。
新华網 : http://sports.xinhuanet.com/c/2021-08/03/c_1127725861.htm

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