ハラール製品輸出 昨年比で15%増加

マレーシア

マレーシアの投資貿易産業相のアジズ氏は、ハラール製品輸出額が2024年に617億9,000万リンギット(約2兆873億円)に達したことを発表しました。

このニュースはマレーシアの経済戦略や国際的な立ち位置において重要な意味を持ちます。

ハラール製品輸出 昨年比で15%増加  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年7月31日

前年の輸出額より15%増加

アジズ氏は、先日クアラルンプールで開催された「マレーシア国際ハラールショー」の発表式典でこれらの数字を発表しました。

世界イスラム経済指標ランキングで、サウジアラビアやインドネシアなどの他のイスラム教国を抑え、マレーシアが10年連続でトップの座を維持しています。

マレーシアの強みに

ハラール産業は、マレーシアの総輸出額の1兆5,100億リンギ(約51兆175億円)の約4.1%を占める規模です。マレーシアの国内総生産(GDP)の大きな部分も占めており、ハラール産業が国家経済の重要な柱となっています。

大臣は、2030年までにGDPへの貢献が10.8%まで増加することが予測されていると指摘しました。

魅力的なハラール産業

ハラール製品に対する世界の需要が現在は1兆ドル(約145兆2,000億円)を超えていて、2030年までに5兆ドル(約726兆500億円)まで増加すると予想されています。大臣は世界的に見ても非常に魅力的であることを強調しました。

ハラール産業の多様化と高付加価値化

ハラール産業は、食品や飲料だけでなく、医薬品、化粧品、観光、金融などさまざまな分野に広がっています。特に高付加価値の食品・飲料製品や非食品分野の輸出が拡大しており、2023年にはハラール加工食品の輸出額が300億リンギット(約1兆150億円)で、非食品が240億リンギット(約8,120億円)に達しました。

国際市場開拓

マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)は、2024年に初めてドバイでも開催され、215社が出展し、中東市場への販路拡大を図りました。

今開催中の大阪・関西万博でもマレーシア館でハラールビジネスのコンサルティングが開催されており、アジア市場への進出も加速しています。

今後の展望と予測

マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は、2025年のハラール製品の輸出額を650億リンギット(約2兆2,000億円)と予測しています。

ハラール産業は、上述のように2030年までにマレーシアのGDPの10.8%である約2,310億リンギット(7兆8,150億円)を占めると見込んでいます。

日本への影響

マレーシアのハラール製品輸出額は、日本の農林水産物・食品の輸出額である約1.5兆円を上回っています。 これは日本がハラール市場への対応を強化する必要があることを示しています。特に、ハラール認定の取得や、イスラム市場向けの商品開発、国際展示会への参加などが求められているのではないでしょうか。

期待される成長と日本とのかかわり

マレーシアのハラール製品輸出の成長は、マレーシアの経済多角化戦略の成功を示すもので、国際的なハラール市場におけるリーダーシップをすでに確立しています。

今後も、製品の多様化や国際展開の強化、品質管理の徹底などを通じて、さらなる成長が期待されています。

日本を含む他国にとっても、マレーシアの取り組みは模範的なモデルとなるケースであり、ハラール市場への参入戦略を検討する契機となるでしょう。

Malay Dragon

29,819 views

マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

プロフィール

関連記事一覧