マレーシア初の国産EV プロトンが発売

マレーシア

マレーシアのプロトン(PROTON)は、同社初でマレーシア初の国産EVとなる「e.MAS 7」を発売しました。
周辺諸国に比べてマレーシアはEVの導入が若干遅れていますが、今回はマレーシアのEV事情について深掘りします。

マレーシア初の国産EV プロトンが発売  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年3月27日

国民車メーカーとして初のEV

プロトンは、電気自動車(EV)の自社ブランドの「e.MAS(イーマス)」の第1弾モデルとして、スポーツタイプの多目的車(SUV)の「e.MAS7」を発売しました。
マレーシアにはBMWやメルセデスベンツなどのヨーロッパ勢、日産、BYD、そして米国のEV大手テスラなど、多くの会社がすでに参入しています。

リチウムイオン電池を搭載

同車は、吉利が開発したリチウムイオン電池を搭載していて、航続距離は最長で410キロメートル、約10分間の充電で最大135キロの走行が可能になるといいます。
価格はプライムが10万9,800リンギ(約382万円)からで、最初の購入者3,000人までは4,000リンギ(約14万円)の割引を行うそうです。

マレーシアの国民車メーカー プロトン

プロトンは、中国の浙江吉利控股集団(吉利集団)が49.9%出資している、マレーシアの国民車メーカーです。1983年、当時の首相マハティール氏のビジョンに基づき、政府の主導で「マレーシア初の国民車」 を生産するために設立された、マレーシアの自動車産業の象徴的存在です。

初期のパートナーは三菱自動車で、技術供与を受けながら生産が開始されました。初のモデルの「PROTON SAGA(サガ)」は国民車として爆発的な人気を獲得しました。
1990年代には、プロトンはマレーシア市場の70%以上のシェアを占めるほどの成功を収めています。

遅れを取ったマレーシアのEV導入

マレーシア政府は、2030年までに年間新車販売台数の20%をEVにするという野心的な目標を掲げています。
EV販売台数は2024年9月現在、年間総販売台数の5.11%に達しており、2023年の4.12%から大幅に増加していますが、シンガポールやタイといった周辺諸国に比べると導入がかなり遅れています。
マレーシア政府のEV導入推進のための「国家エネルギー移行ロードマップ」や税制優遇措置の導入も2022年以降と、比較的遅れていたことが原因と考えられています。

国産自動車産業育成

マレーシアの自動車産業は プロトンのほかにも「PERODUA(プロドゥア)」といった「国民車」ブランドが今でも中心です。これらのメーカーは従来型の内燃エンジン車を主力製品としており、国民の人気も高いため、EV市場への参入が比較的遅れています。

「国内の自動車産業保護」と「EVの普及推進」の政策が混在していて、企業や消費者にとって明確な方向性が見えづらい状況にあることも、EVの人気に火がつかない原因として考えられます。

マレーシア独自の事情

マレーシアは石油・天然ガスの主要生産国であり、化石燃料に依存するエネルギー政策が根強く残っています。国内のエネルギーコストが非常に低く抑えられているため、ガソリンやディーゼル車が依然として経済的に優位で、EVの最大の利点である「低コストのエネルギー供給」が、マレーシアでは相対的に魅力に欠ける状態となっています。

また、マレーシアの 平均年収を考えると、EVは一般消費者にとって手が届きにくい存在でもあります。
マレーシア政府はEVの導入を奨励し、必要なインフラを整備する取り組みを進めていますが、石油産業と自動車産業が主要産業で、世界的にEV人気の陰りが見え始めた中、マレーシア政府はどう方向を定めていくのかを問われています。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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