【越境EC 第2回】越境ECでどう日本製品を売っていくか?

越境EC

前回のコラムでは、ECの日本と世界における全体的な市場規模を考察し、以前から拡大路線にあったEC市場が、新型コロナを契機に動きが加速してきたことをお伝えいたしました。
今回は、実際に日本の事業者が越境ECを利用して海外にモノを売っていく際に参考となる秘訣をお伝えします。

越境ECでどう日本製品を売っていくか?

著者:gram フェロー
公開日:2020年12月30日

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どこの国が狙い目か?

拡大する世界のEC市場の内訳(2019年)を見てみると、絶対王者は中国で、その市場規模は1兆9348億ドルと、日本円で200兆円を超えています。中国1国だけで実に世界のeコマース売り上げの半分以上を占めています。その市場を支える要因としては、中国の圧倒的な人口数はさることながら、アリババが火付け役となったW11(毎年11月11日に中国で行われている独身の日を祝うイベントで、2020年は中国国内で12兆円以上のECにおける売上があったと見込まれる)に代表されるイベントなど、国民の消費行動にECが入り込んでいる点が大きいといえるでしょう。

2位にアメリカの5869億ドル、3位にイギリスの1419億ドル、4位に日本の1154億ドル、5位に韓国の1034億ドルといった先進国がリストにランクインしており、中国と比較したら小さく感じるかもしれませんが、非常に大きなEC市場を持っており、日本製品が売れることも期待できるでしょう。

ソース:
“ECOMMERCE SALES BY COUNTRY IN 2019”
https://www.oberlo.com/statistics/ecommerce-sales-by-country

また、インド、インドネシアなどの新興国においても年率20%近くでEC市場が成長しており、市場構成は今後ますます大きく変動すると見込まれます。日本の事業者で出品を考えていらっしゃる方は、急成長しているこれらの市場も見逃せません。

ソース:
“Global ecommerce opportunities for online retailers”
https://www.searchlaboratory.com/us/2019/04/global-ecommerce-opportunities-for-online-retailers/

新型コロナウイルスはEC市場にどんな影響を与えたのか?

~実店舗からECへのシフト~

新型コロナウイルスによる海外渡航禁止と、実店舗での買い物の社会的抑制などにより、自宅からモノが買えるECプラットフォームへ買い物需要がシフトしています。

OECDは、2020年10月7日に『COVID-19の時代のEコマース』というレポートを出し、実店舗での小売りからEコマースへの需要のシフトがあると発表しました。そのレポートによると、米国では小売、食品サービスの売上高は2019年の同時期に比べて7.7%減少したが、Eコマースでの売上高は14.8%増加し、EU27か国では小売総売上高は17.9%減少したが、インターネットを介した小売業の売上高は30%増加しているとのこと。これらの実店舗での小売りから電子商取引への移行現象は、アメリカやEU諸国だけでなく、統計が取れていない他国でも同様の現象が起こっていると推定され、今後も加速する可能性が示唆されています。

ソース:
“Connecting Businesses and Consumers During COVID-19: Trade in Parcels”http://www.oecd.org/coronavirus/policy-responses/connecting-businesses-and-consumers-during-covid-19-trade-in-parcels-d18de131/

~「日本ロス消費」が加速?~

実店舗での買い物からECサイトでの買い物へ需要がシフトしているという現象をご紹介しましたが、その中でも、来日したくてもできない外国の方が「越境EC」を用いて、日本製品を取り寄せる、いわゆる「日本ロス消費」の流れがおこっています。

越境EC「Buyee」を展開するBEENOSグループが取り扱った、日本発・海外向けの年間流通総額は、今年度9月期決算で前年度よりも1.2倍も増加し、同グループCEOの直井聖太氏は「インバウンド需要が越境ECに移行。“日本ロス消費”が生まれ、世界に商品を売るチャンスが拡大している」と語っています。
この流れを読み、多くの事業者が越境ECを用いて海外の消費者に向け「Made in Japan」を売り込み、ビジネスの拡大を狙っています。

ソース:
https://www.sankei.com/premium/news/201205/prm2012050013-n1.html

今後、どの国でどんな日本製品が売れるのか?

では、どのような日本製品が「売れる」のか?それは、コロナ前に来日していた外国人観光客の購買項目にヒントがあるかもしれません。

アジア地域No.1規模の “日本好き”コミュニティサイト『FUN! JAPAN』を運営する株式会社Fun Japan Communicationsは、台湾・香港・タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナム・インドのアジア7カ国に対して日本製品の購入に関する調査を行いました。対象国の方に「今まで、どんな日本製品・商品を使ったことがある?」といったアンケートを実施したところ、全対象国において家電の利用が50%以上であり、日本のカメラ、テレビ、冷蔵庫といった生活家電が人気であることが分かります。

また、ファッションや食といった項目に関しても、どの国でも利用割合の数値が比較的高く、訪日した際に「お土産」として購入されやすい、品質の高い洋服やお菓子、調味料なども根強い人気がありそうです。

東南アジアでは車やオートバイの数値が高く、日用品や医薬品といった数値は台湾や香港で高いのが特徴であり、美容家電、化粧品は美容やコスメに比較的関心が高い、東アジア、東南アジアで数値が高いのが特徴です。

このことからも、家電や食といったカテゴリは幅広い人気を獲得していますが、その国の文化や流行、意識によって、各国ごとに日本製品への嗜好はばらつきがみられることが分かり、各国の消費者の需要をうまく汲み取ることで、大きなビジネスチャンスを得られるのではないでしょうか。

同一調査内で「今後購入予定の日本製品・商品は何ですか?」というテーマのアンケートも実施しましたが、前述の「今まで、どんな日本製品・商品を使ったことがある?」のアンケートの結果とおおむね相関する結果が出ました。一度購入した、もしくは使用した日本製品を引き続きリピートすることからも、日本製品の根強い人気が垣間見えます。

日本製品購入に関する調査 FUN! JAPANがオンライン調査結果を発表
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3287/

むすびに

以上、どの国にどのような商品を出品するといいか決定するうえで参考となる情報をご紹介してまいりました。当然のことながら、国によって売れやすい日本製品は異なります。
次回以降のコラムでは各国ごとにフォーカスし、EC市場がどのようになっているのか考察していきます。
第1弾は世界最大の市場である中国を予定しておりますので、お楽しみに。

【第3回】中国大陸におけるEC市場を徹底的に解説!(その1) コロナ禍における必勝策 市場拡大中 いま話題の「越境EC」を特集!まとめ

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