海外ビジネス成功のための情報収集 手法:メリット・デメリット
海外ビジネス展開のためにいざ、市場調査を実施しよう、そう思ったときに、何をどうやって情報収集(調査)すれば良いのか分からなくなることもあるかと思います。各情報収集(調査)手法はそれぞれ、メリットとデメリットがあります。また手法毎にその限界も存在します。
今回は代表的な調査手法とその特徴を解説します。もちろん、詳細な調査手法の設計や選定は調査会社に依頼することが多いとは思いますが、それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことで、より適切な調査の依頼が可能になるかもしれません。
海外ビジネス成功のための情報収集 手法:メリット・デメリット
著者:gramマネージャー 福田 さやか
公開日:2021年07月27日
デスクリサーチ
全ての調査の基本となります。基本的には公開情報ベースですが、有料ソースに当たることもあります。いずれにしても、インターネット上にあるデータを基本に、その他書籍や新聞・雑誌などの情報にあたる調査手法となります。メリットとしては、比較的安価に実施できるという側面があります。デメリットとしては、すでにある情報ベースとなるため、特殊なニーズに答える情報はいくら調査しても出て来ないということもあり得るため、費用をかけても思うような情報が取れない場合があります。このように情報が取れない場合は、定量調査、定性調査を行い情報を取得します。
定量調査と定性調査
定量調査はアンケート調査のようにある程度の人数(最低100人以上)に同じ項目を聞いたり、購買データ(POSデータ)や、その他SNSのアクセス数その他などの一定のデータを分析したりするなどし、「定量的に」に分析する手法です。街頭アンケート、ウェブアンケート、会場調査(CLT:セントラルローケーションテスト)などが代表的手法として挙げられる他、最近は膨大なデータを分析するビッグデータ分析などもニーズが高まっています。市場の全体性や傾向が把握しやすい反面、個々の理由となる背景などを探るには不向きです。
定性調査は、インタビューなど1人1人の傾向の性質を把握するものであり、定量調査のように個々の個性を消して全体の傾向を見るというよりは、より詳細な理由や背景などの性質を具体的に探っていく、「定性的な」調査手法となります。1人から聞いた情報が全てを代表していないことには注意が必要ですが、より突っ込んだ事情や背景など詳しく知ることができるのが特徴です。以下に定性調査の各手法を解説します。
デプスインタビュー
1対1で通常60分以上の時間をかけて丁寧にインタビューする手法です。個人個人で話が聞けるため、よりじっくりとそのその人の意思決定の背景に迫ることができます。消費者インタビューにも使いますが、有識者インタビューや業界関係者インタビューなど、B2B分野の調査にもよく使われる手法です。
グループインタビュー
通常同じ属性を持つ5-6名の参加者に1つのテーマで話し合ってもらう手法です。同じテーマで議論することで見えにくかったインサイトが分かったり、同じ傾向の人たち者が何を考えているのか具体的に聞いたりすることができます。お互いを良く見せようとすることによるバイアス、議論がうまい、発言力があるインタビュイーの意見が多数の意見と思わないような注意は必要となりますが、お互いに議論を重ねることで消費者同士も認識していなかったような側面が明らかになる時も多いです。
通常、異なる属性や習性のグループを2グループ以上作り対比させることが多いです。
以上のような手法は、従来型の調査手法であり、「アスキング手法」とも呼ばれます。つまり、「聞いて答えてもらう」手法です。これに対し、最近ニーズが高まっているのが、「リスニング手法」であり、「消費者が発言していることを傾聴する」手法です。これの代表格は、ソーシャルリスニングです。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、TwitterやInstagramなどのSNS媒体の書き込みを分析し、消費者のありのままの姿を理解するものです。これには書き込みを定量データとして扱い、ポジ・ネガ分析(発言内容がポジティブなものかネガティブなものか)、同じトピックの書き込み量の推移など、定量的な側面からの分析と、インフルエンサー分析やペルソナ分析、カスタマージャーニー分析など、1人の消費者に目をつけて深掘りしていく定性的な側面からの調査の両方の側面があります。いずれも、AIを活用した調査が行われることが多いです。
以上、今回ご紹介したのは数ある調査手法の一部ですが、調査を行う上では、知りたいこと、調査の目標のニーズや予算から、色々な調査の特性を捉えた上で調査設計をする必要があります。
SNS時代のマーケティング施策「ソーシャルリスニング」解説まとめ