海外ビジネスの情報収集は成功への近道。

ビジネスコラム


海外ビジネスを展開するするためには、情報収集(調査)は必須です。
多くの成功例や事例があり、その中には資金調達により大きく売上を伸ばすなど海外ビジネスには大きなメリットもあります。しかしその反面しっかりと調査を行わずに海外で戦うことは、暗闇の中を手探りで進んでいくようなもので 、周りの景色も、そこにいる人たちも、自分の立ち位置さえ分からない状態によりトラブルやデメリットもあります。そのような状況で目的に至ることなどできないことは容易に想像できるでしょう。
やはり、しっかりと情報収集(調査)を行い、目的に対する道筋を設定して進めていくことが重要となります。
今回は、海外ビジネス成功のためのPDCA、マーケティングメソッドをお伝えいたします。

海外ビジネスのためのPDCA、マーケティングメソッド

著者:gram代表 谷村 真
公開日:2021年07月27日

海外で利益を上げるための2つセオリー

「海外に展開する際にどのようなことをすればいいですか」といった漠然とした話をされることが多くあります。
海外展開するために、事前にやらなくてはならないことはいくつもありますが、私から言えることは、展開先の国を理解することです。
これは何ら特別なことではなく、皆さんが何かを始めるとき、事前に情報収集し、シミュレーションし、実際にやってみるといった行動を考えれば当たり前なことであり、私たちの提案もやるべきことを順序立てて提案しているだけであると言えます。
それでは、日々私たちが提案している調査とは何なのかといいますと、私たちの目線では、皆さんの事業スピードを上げる、収益化までの期間を短くするといったことになります。
皆さんが海外展開する目的は、「収益を上げるため」に限るといっても過言ではありません。ですので、私たちの提案する調査は、皆さんの目的に直結するように海外に展開することで利益を上げることや、投資回収スピードを上げる一つの方法としてとらえるほうが正しいかもしれません。
つまり、調査を海外展開前の事前調査に活用することもさることながら、展開後の運用においてもうまく活用することが重要となります。

5年計画の内訳 投資と回収目標

例えば、多くの企業は、現地で展開する際に5年計画を作ります。
1年目は投資フェーズで、2年、3年とぐっと投資が先行し、3年目あたりから単月利益を上げられるような体質になり、5年目あたりで回収する計画を立てますが、ほとんどのケースではその通りになりません。
実際に今計画を立てている既存ビジネスの延長戦で、5年で回収を見込めることなどはほとんどないのが実情です。当初計画した利益が上がってくるタイミングを目安として、積み上がった資産をベースに次の手次の手を当てていかなければ、当初描いた回収曲線は想像通りに進まないでしょう。
つまり、海外のマーケットのスピード感は、今のビジネスを5年続けさせてくれるほど甘くないといったことが言えるのです。
重要なのは、PDCAやマーケティングメソッドを活用して常に起こっている現状を把握し、次の手を打っていく施策をやり続けないといけないのです。
そこで普段調査を行っている中で、どのような考え方で各種テーマを組み立てているかについてお話ししたいと思います。

「なぜ」や「現状の不備、不足」などを明らかに

まずは、計画から展開してきた中で気づく問題を設定します。
問題は、当初設定した経過とのギャップにあります。問題が設定出来たら、その問題に取り組むための課題を定義していき、課題が設定出来れば、なぜそれが必要なのか課題を分解し、分解された要素から解決案を導いていきます。
課題は、問題に対して行うべきアクションであり、課題に対して分解するということは、その課題に対してなぜその課題を行うべきなのかの根拠を導くために必要です。
これがなく、一足飛びに施策に走ってしまうと、そこに至るロジックが破綻してしまう可能性が生まれます。従って、課題を分解して、その課題に対する根拠となる「なぜ」や「現状の不備、不足」などを明らかにし、その不備、不足に対して施策を設定するといった考え方で行います。
私たちの提案は、目的、背景、課題といった形で与件の整理から始まり、課題解決した際のゴールを提案し、課題の解決案を調査項目で解決できるよう項目に落とし込み、お客様に提案するといった形になっています。

まずは2次情報を活用しロジカルに考える

次に、調査実施にあたってのステップは以下の通りとなります。
まず2次情報を集めます。2次情報とは、既に誰かによって集められた情報であり、例えば官公庁や協会・団体、メディアなどで集められた統計やネット・書籍・文献等の情報を指します。
この2次情報を活用しながら、目的に沿ってロジカルに考えられた提案項目を洗っていき、全体感をつかんでいくことから始めていきます。
そのような段階を踏まずにいきなりピンポイントの答えを集めに行っても、目的の根拠となる情報に漏れや抜けが発生し、課題解決案が目的とずれてしまう可能性が生じます。

仮説と検証は1次情報と2次情報を組み合わせる

このように、全体をつかむステップを踏んだ後、1次情報の収集に臨みます。
1次情報とは、各種統計、ネットや書籍に落ちている情報ではなく、現地視察やインタビューを通じ、今回の課題解決の根拠となる実態を今回の課題に沿って設定、収集していく生情報となります。
このようにして集められた1次情報と2次情報を組み合わせ、全体感とピンポイント、全体像から導く仮説とその実態の検証といった使い分けで情報の精度をあげていく作業を行っていきます。
具体的には、設定された目的から課題、解決策と順を追ってストーリーにしていく作業を行い、目的に沿った枠組みで情報を整えていきます。
また、情報を整えていく際には、3C、ファイブフォース、4Pなど伝統的な手法やフレームワークを使って設定していきます。
以上のように、私たちが提供する調査は、皆さんが事業運営で行っている思考を、調査といった形で提供しているのものであることが言えます。

むすびに

最後に、皆さんが展開する海外、特に新興国となると、そのスピード感はものすごいものとなります。そのような環境だからこそ、思考や施策を常に回し続けなければいけません。
新興国では毎日が当たり前でない連続である、ということを想像し、収益化を目指す過程で、ひらめいたり、仮説を立てたりするためには、多くの2次情報、1次情報に触れておかないとなりません。
つまり、海外展開をする実務者は、常に自分にインプットをしていく必要があるし、そうでなければ本来の目的のアウトプットにつながらないことを考えておかなければならないと言えるでしょう。
私たち調査マンをこのような現場の最先端で戦う皆さんに必要なインプットとして少しでも役に立てていただきたい。
そして私たちも、皆さんの新たな仕掛けやひらめきの下支えになれるよう、更にインプット・アウトプットし続けていかなければならないと考えています。

TanimuraMakoto

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gram パートナー / コンサルタント gram 代表取締役 電機、機械、化学、コンテンツ、消費財、食品、サービス、地方自治体など、多岐にわたる業種のクラ...

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