日本食のうま味「MSG」がニュージーランドでは表示義務化!「MSG」って何?

オセアニア

海外で日本食の美味しさを再認識するとともに、海外の食べ物にはうま味の足りなさを感じることがある。うま味成分である「MSG」について、ニュージーランドでは摂取に注意を払うルールがあり、スーパーで売られる商品には表示が義務付けられているが、レストランでは表示の義務はなく、スタッフが説明する必要がある。
MSGはアジア料理や日本の調味料などに多く含まれており、アジアスーパーマーケットでは「NO MSG」という表示のある商品もある。
本記事では、ニュージーランドのMSGの取り扱いを解説いたします。

ニュージーランドにおける日本食のうま味の隠し味「MSG」について

   著者:ニュージーランドgramフェロー 河本 梨奈
公開日:2023年1月19日

MSG(グルタミン酸ナトリウム)とは?

「MSG」という言葉を聞いてもわからない可能性がありますが、グルタミン酸ナトリウムという名前でアミノ酸と表記されています。アミノ酸によって生まれるうま味の名前は1908年に日本の化学者によって名付けられました。それが日本からアジア圏に広がり、後に「MSG」と呼ばれるようになりました。

MSGは自然から発生するものと人工的に作られるものの2種類あります。自然から発生する天然MSGは、キノコや魚介類、肉や野菜に含まれます。タンパク質が多いものほどMSGも多いです。人工的に作られる合成MSGは、サトウキビ、ビート、コーンスターチを発酵させて作ります。天然と人工のMSGに科学的な違いはないので、区別がつけられません。

ニュージーランドでMSGに対する調査と規制

MSGを摂取してもほとんどの人は体に影響ありませんが、ごく少数の敏感な人には以下の影響が挙げられます。

 ・頭痛が起こる
 ・喉や胸周りが赤くなったり火傷のような感じがする
 ・吐き気がする
 ・心拍数が速くなる
 ・呼吸困難になる

これらの症状が発症しても、すぐに治まるケースが大半です。2003年にNZFSA(New Zealand Food Safety Association)がMSGへの調査をしたところ、体への大きな影響や死亡の要因に繋がる証拠はないという結果が出ています。

しかし、スーパーで売られる商品のラベルにはFlavor enhance(MSG)もしくはFlavoe enhance(621)の記載が義務付けられています。レストランやテイクアウェイの料理に関しては記載の義務がなく、スタッフがMSGについて聞かれた場合は受け答えによる回答が必要です。

MSGが身近な食べ物とスーパーマーケットで見かけるMSGについて

日本で最初に販売されたMSGの商品は、誰もが知る「味の素」です。ほとんどの日本料理に使われていて、とても身近な味といえるでしょう。また、ニュージーランドの中国料理のレストランではMSGを大量に使う料理が多く、中国料理が美味しいと感じる理由のひとつです。

MSGが使われているのはアジア圏がメインであることから、アジアスーパーマーケットに行くと「NO MSG」と大きく表記されているものをよく見かけます。また、日本の醤油やドレッシングなどに含まれるMSGが天然のものか人工のものかが一般人にはわからないため、商品ラベルにNO MSGと大きく書かれています。うま味は料理の美味しさの秘訣だと思っていましたが、様々なところでMSG表記を見かけるので、無意識に体への影響を考えるきっかけになりました。

まとめ

味を表す五味に加えて「うま味」が一般的な日本では、MSGはポジティブなイメージがありましたが、ニュージーランドでは気にする人も少なからずいます。そのため日本の商品をスーパーで売りに出す場合、MSGの有無を考慮してマーケットに出さないとマーケティングが難しくなります。日本食のおいしさの秘訣であるうま味。多くの日本人がニュージーランドで日本食を恋しくなるのは、これが理由のひとつかもしれません。

【引用】
◇Ministry for Primary Industries:Monosodium glutamate or MSG
https://www.mpi.govt.nz/food-safety-home/food-additives-preservatives/monosodium-glutamate-or-msg/

◇FOOD STANDARDS Austlaria New Zealand:MSG in food
https://www.foodstandards.govt.nz/consumer/additives/msg/Pages/default.aspx

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