【2022年版】東南アジアの越境EC大国『シンガポール』を簡単解説!

越境EC

2022.04.26 更新
今回は、シンガポールの越境EC事情を取り上げていきます。
近年、東南アジアのEC市場が拡大の一途をたどっていますが、海外資本が入った越境EC企業が台頭し、急成長を続けているのがシンガポールです。そんなシンガポールEC市場の傾向や現状、主要なプラットフォームを3つご紹介いたします。
ECを活用して海外へ拡販を行いたいとお考えの方は、是非参考にしてくれたらうれしいです。


東南アジアの越境EC大国『シンガポール』を簡単解説!

シンガポールのEC事情~市場規模と売上~

シンガポールには、人口の592万人(2022年1月時点)に対して約330万人のEコマース利用者(2021年12月)がおり、2025年には410万もの人がECを利用する見込みが立てられています。

有名な市場統計サイト「statista」のデータによると、
シンガポールEコマースの2021年の売上は約62億8,000万ドル(日本円に換算すると約8068億円)

そして2022年には約72億ドル、2025年には114億5,000万ドル(日本円で約1兆1400億円)の売上が予測され、
その市場規模の拡大速度、規模は期待できるものがあります。
(2022年4月24日レート  1USD=128JPYで換算)

「Digital 2022」のデータによると、シンガポールのECプラットフォームで特に購入されている商品のカテゴリは、

1.「電子機器」16億8,000万ドル(約2158億円)

2.「アパレル 」16億3,000万ドル(約2094億円)

3.「家具」8億9,200万ドル(約1145億円)

4.「トイレタリー・家庭用品」6億3,700万ドル(約818億円)

となっており、電子機器や洋服、家庭用品といったカテゴリの商品が多く買われていることが分かりました。
ここで一つ注目したいカテゴリーが、生鮮食品です。
他のカテゴリーと比べ売上は高くないものの、成長率が著しく前年比62%増と、100万ドル近く増えています。
シンガポールは外食文化だと言われていますが、コロナの影響もあり食品のECの市場は拡大しています。
他にも、パッケージ・ツアー(前年比50%増)やホテルブッキング(前年比101%増)といった旅行関連のEC市場が
盛り上がりを見せています。

ソース:eCommerce Singapore

シンガポールのEC事情~EC化率~

東南アジアの一部の国では、日本ほどインターネット、スマートフォンが普及しておらず発展途上ですが、各国の様々なインターネット状況をまとめた「Digital 2022」の調査によると、シンガポールのインターネットの利用率は人口の92%とかなりの高水準であり、そのうちのスマートフォン所有率は143%です。

また、シンガポールの90%の人がオンラインストアを訪れたことがあり、2022年においてEC化率は約60%です。EC比率が高かった部門は、コンピュータ・通信機器で53.6%、次いで家具・住宅機器が31.9%、スーパー・ハイパーマーケットの15.1%と続きました。(2022年2月時点) インターネット普及率から、これからもまだ発展の空間がありそうですね。

ソース:DIGITAL 2022: SINGAPORE

新型コロナウイルス感染拡大による越境EC市場の変化

シンガポール統計局の情報によると、シンガポールの厳しいロックダウン政策が実行された2020年4月前後の小売業全体の売上高は21億シンガポールドル(約1,650億円)と、前年同月比40.5%の減少となり、部門別で最も下げ幅が大きく、時計・宝飾品で前年同月比87.8%減、衣料品・靴が85.3%減、百貨店が84.6%減でした。

コロナ禍で小売業全体の売上高が減少していますが、その需要の方向性はEC市場に向いていると考えられます。
2020年4月時点で、ロックダウンや外出自粛の流れによる「巣ごもり需要」により、消費者がパソコンやスマホを利用して商品を購入する傾向が加速し、4月は売上全体の17.8%がオンラインでの販売となりました。

コロナ前では、小売売上高のオンラインシェアは比較的穏やかでした。 2018年には5.0%、2019年には5.8%。
厳しいロックダウンの影響を受け、オンライン小売売上高のシェアは2020年には平均12.7%、2021年上半期には12.2%に増加しました。
2022年にかけては、現在小売売上高のオンラインシェアが13.6%、コロナの規制の緩急に合わせてシェア率も変化している模様です。
小売業の変化としては、オンラインとオフライン双方からアプローチする店舗が増えてきております。

関連記事の【越境EC 第2回】越境ECでどう日本製品を売っていくか?https://global-biz.net/b-column/cross-border-ec-20201230/ 
にも記載がありますが、実店舗での小売り事業が停滞する一方で、ECといったオンラインでの買い物に人々の需要が移行していく現象がシンガポールでも確認されていることが分かります。 

ソース:Statistics Singapore https://www.businesstimes.com.sg/

シンガポールの人気ECサイトを紹介

Statista ECサイトのユーザー数統計より (2021年4Q時点)


では、シンガポールの主要越境ECプラットフォームには、どのようなものがあるのでしょうか。
Amazonは言わずもがな、以下では1位のShopee、2位のLazada、4位のQoo10の3つのプラットフォームについてご紹介したいと思います。

Shopee 

Shopee(ショッピー)は台湾発のECモールで、東南アジア初の「ユニコーン企業」であるSea Limitedがシンガポールをはじめとする東南アジア計7カ国に展開しています。サービス開始からわずか1年で総流通総額18億円を達成し、東南アジア圏内での総売上は1兆円を超えている、非常に勢いのある越境ECプラットフォームです。

もともとShopeeは消費者が出品して消費者が購入するCtoC型のビジネスモデルとして開始したサイトですが、現在はCtoCに加え、BtoC(企業が消費者に商材を売るビジネスモデル)も利用できるハイブリッド型の越境ECサイトへと進化し、LAZADAを上回る勢いで成長している企業の一つです。

Shopeeの大きな特徴として挙げられるのが、販売手数料とリスティング手数料が無料であることで、固定費や変動費がかからないことから、売り手はリスクを抑えながら東南アジア市場で越境ECの販売ができるところにあります。

Shopee https://shopee.sg/

LAZADA 

LAZADA(ラザダ)は、シンガポールだけでなくベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイにも展開している、東南アジア最大のECモールです。2012年にRocket Internetという会社によって設立されましたが、中国の大手企業の Alibabaグループが同社を1000億円で買収したことにより、現在はAlibabaグループの傘下にあります。

ラザダはモバイル機器やパソコン、家電、美容品、ファッション、玩具といったほぼすべてのカテゴリの商品を網羅しており、その商品の豊富さやサービスの幅広さ、そして購入者・出品者ともに便利で使いやすいモールとなっているため「東南アジアのAmazon」と呼ばれています。シンガポールでの物流の弱さを改善するため、「Seller Center」という専用システムを使って商品の管理や配送を行うのが特徴で、ラザダ内の決済システム「Payoneer」への登録も必要となっています。

LAZADA  https://www.lazada.sg/

Qoo10  

Qoo10(キューテン)は、韓国のGMarket社がアメリカのeBay社とのジョイントベンチャーという形で生み出した越境ECサイトです。シンガポールのEC市場にいち早く登場し、ファッションや健康食品、ダイエット商品、デジタル機器、家電などの商品を幅広く扱っています。シンガポールでは登録ユーザー数が非常に多く、日本でも利用することができ、世界に拡大を続けているのが特徴です。

出店者は販売額とサービス評価によってグレード分けされるのが特徴で、これが上がるとサービスフィーが割安となります。なお、グローバルサイトに登録するには、日本のサイトへの登録が必須となっています。

 Qoo10  https://www.qoo10.sg/?__ar=Y

むすびに

今回はシンガポールのEC市場の動向、主要なECサイトについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

シンガポールのEC市場拡大や、新型コロナウイルス感染拡大によるEC化の加速など、今後もシンガポールのEC事情には期待できるものがあります。ご紹介した3つの主要越境ECプラットフォームは今後も市場拡大の一端を担っていくでしょう。

シンガポールだけでなく、Shopee(ショッピー)、LAZADA(ラザダ)、Qoo10(キューテン)も事業領域を拡大している東南アジア各国への越境EC進出は、新たなビジネスチャンスになるかもしれません。


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