ユネスコ無形文化遺産へ!ウクライナとエストニアが提案するイースターエッグ
春が近づく3月下旬のヨーロッパはイースタームードに包まれる。スーパーにイースター関連の商品が並ぶのはエストニアも例に漏れず。人々は一種のイベントとして楽しんでいて、そこには古くからの伝統もある。
多文化が育んだエストニアのイースター伝統とその素晴らしさ
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2024年5月1日
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イースター期間の様子
イースターは3月下旬頃から4月の日曜日で祝われることが多く、今年は3月31日に設定されていた。そしてその数日前の金曜日は「Good Friday(聖金曜日)」として祝日になる。この3連休を利用してイースターの催を家族でするのである。筆者の友人たちも実家に帰って家族でランチやディナーなど、まるでクリスマスのように過ごしていた。なにか行事があると家族で集まるのはエストニアのみならずヨーロッパの習慣だ。
エストニアのイースターエッグ
イースターといえばカラフルな卵。よくイメージされるのはパステルカラーでペイントされた色とりどりのカラフルな卵だ。イースター期間はスーパーや雑貨店にカラフルなイースターエッグを模した雑貨やお菓子がたくさん並んでいて、カラフルな卵を作るためのキットも販売されている。しかし、エストニアの伝統的な手作りのイースターエッグはカラフルではない。どちらかというと茶色っぽい色をしている。
ところどころマーブル模様になっているのは手作りの証拠。この色や模様をどうやってつけているのかというと、たまねぎの皮を使っている。
白い卵にたまねぎの皮を巻き付けて固定し、それを茹でる。通常、イースターエッグの飾りを作る際は、卵にごく小さな穴をあけ中身を取り出し空にしたうえでペイントを施す。しかし、このたまねぎ染めのイースターエッグの場合は、卵の白身も黄身も入ったまま皮と一緒に茹でて、ゆで卵にする。そもそも食用の素材を使っているから大丈夫、というわけだ。
このたまねぎ染めイースターエッグにはデザイン性も兼ね備えた亜種もある。
殻にはっきりと植物の模様が描かれた卵。これはハンドドローイングで描いているわけではなく、茹でるときに本物の葉を殻にぺったりと貼り付けることによって色が入らない部分をわざと作っている。
このたまねぎで自然に染めたイースターエッグの風習はエストニアだけでなく東欧やスラブ系の文化でもある。東欧やスラブ系とは現在あまり接点のないエストニアだが、現在までその影響を受けているというのは、古くは様々な国と交流がありその文化を伝承していると言えるだろう。
ウクライナと共同でユネスコ申請
エストニアとウクライナは、イースターエッグを飾るピサンカの伝統をユネスコの無形文化遺産リストに加えることを提案しており、ユネスコは2024年末までに決定を下す予定である。このイースターエッグはエストニアの伝統的な方法とは完全に異なり、「蝋」を使ってきらびやかに描かれるものだ。
ピサンカの伝統は戦時禍においても世界中のウクライナ人を団結させ、エストニアのウクライナ人コミュニティにおいても特別な位置を占めている、と文化大臣は述べている。
まとめ
エストニアのイースターエッグの習わしは、異文化の交流と適応を示す良い例だ。手作りの茶色い卵の伝統はエストニアの文化に根付いているが、東欧やスラブ系の影響も受けている。それが今回エストニアとウクライナが共同でユネスコの無形文化遺産に登録を申請した理由にもつながっているのではないか。
ピサンカの伝統がユネスコによって認められことは、文化の交流と団結の象徴である。この申請が受理されれば、戦時中でもウクライナ人を結びつけ、エストニアのウクライナ人コミュニティにおいても特別な意味を持つだろう。
【参考】
◇Global ESTONIAN:
https://globalestonian.com/en/news/easter-estonia-old-traditions-and-new-beginnings
◇Celebrating Easter in Estonia | Visit Estonia:
https://www.visitestonia.com/en/why-estonia/estonian-easter-traditions-old-meets-new